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旅③

食事を終え食器を洗うグレゴリ、何事も持ちつ持たれつなのだ。

灯は暖炉前で猫と遊んでいた

「神にゃん暖かいねー」

「にゃー、ごろごろごろ・・・」

「良い毛並み、マヌマヌ猫みたい」

撫で撫で、猫を愛でる。

「にゃーあ」

「ん、くすぐったい」

「ごろごろ・・・」

「あはは、っ、ダメだって神にゃん!」

台所で食器を洗いながらグレゴリの耳にも、灯と猫がきゃっきゃっとはしゃいでいる声が聞こえていた。

「うむ、子供が元気なのはいい事だ」

しばらくすると様子が変わる


「あん、だめっ」

「っ!?」

「んふ、やん」

猫と戯れているんだよな!?突然の色気のある声にドキリとなるグレゴリ。


「あ・・・、んっ」

「!!??」

様子を見るだけだ、そう、美少女と猫の戯れを見て癒されるだけだ、無理矢理自分を納得させて食器洗いもそこそこに暖炉の部屋を()()()覗く



「や、くすぐったいってば神にゃん」

「にゃー」ぺろぺろ

そこには暖炉の前で猫を撫でる灯と、首筋を舐める猫が居た。

「・・・」


「?、ゴリさん終わったの?」

「いや、まだだ・・・」

とぼとぼと台所に戻り食器洗いを再開するグレゴリ

「???」

何故終わってないのに暖炉に来たのか?灯は疑問に思うも

「あ、手冷たかったのかな?」

「にゃー」

すぐに納得して追求はしなかった。



「一瞬でもっ、一瞬でもこんな事を考えるなんて、俺は(よご)れた(きたなら)しい大人だっ!!」

ガクリと床に跪くグレゴリ、夜は更けていった・・・



翌朝、やたらと静かなグレゴリを不審に思い声を掛けるも

「ゴリさん大丈夫?元気ないよ」

「だ、大丈夫だ、すまない、本当に申し訳ない・・・」

「???」

理由も言わずに只管謝るグレゴリに困惑するばかりの灯であった。



ザク ザク ザク・・・

山の中腹より上は雪も凍り付き、埋もれる心配もなくなる

「あ、ゴリさんそこで止まってしゃがんで」

「此処の窪みか?」

「うん」

灯が指示を出す、氷柱の陰、窪んでいる場所でしゃがむと氷柱を挟んで反対側から足音が近付いてくる

サクサクサク

「グルル・・・」

アイスウルフ、群れると面倒だが一頭だけならと剣を取り出すが小声で止められる

「ダメ・・・、この子の後ろの方に一定の距離を取って付いてきてる子が居るの」

「囮か、だが二頭なら一瞬で、」

「ううん、その後ろの子から更に距離を置いて三十頭近く居るから多分そっちが本命」

灯の言葉にギョッとするグレゴリ

「狼系が群れるのは知っていたが、ここまで頭を使うのか」

「分かんないけど、避けられる戦いなら避けた方が良いし、ここは足場悪いし」

「なるほどな、了解した」

狼が去るまで息を潜めて待つ、匂いも気配も遮断しているが稀に第六感とも言うべき反応で襲ってくるモンスターも居るので大人しくする。

「そう言えば灯はずっと俺に掴まっていて疲れないのか?」

この雪山登山の長時間もそうだし、激しい戦闘中もピッタリ肩に張り付いたように追従している、手を滑らせて一度や二度振り落とされても不思議ではない。

「ああ、魔法でくっ付いているから大丈夫、ほら!」

「お、おい」

突然肩から手を離したので手を添えようとするも

「全然バランス崩さないな・・・」

「ね?ゴリさんは気にしないで激しく動いて大丈夫だよ」

「ああ、そう、だなっ!」

突如グレゴリが走り出す、狼がまだ近くに居るので慌てて止めようとする灯、


ッドン!!!


今まで居た場所に白い塊が降って来た

「えっ?」

「アイスベアー、だが」

「気配も匂いも消してたし、索敵もしていたのになんで!」

「アレは変異種だな、見ろアイツの目」

「金色の瞳・・・」

モンスターの目は一部例外を除いて皆赤目である、その例外の一つ「変異種」

どの生き物にも例外は居る、毛の色や肌の色、モンスターにも突然変異的に現れる個体、変異種。

そう呼ばれる個体は全て例外無く強い、そして特殊な特性を持つ事で有名だ、今回のアイスベアーは恐らく隠蔽術看破と完全気配遮断。

しかも灯の魔法を見破り、索敵を掻い潜るレベルのもの。

「灯」

「分かってる!行くよ」

「狼は?」

「こいつが現れてからは遠くへ逃げて行った」

「つまり、こいつが此処のボスか・・・」


「ぐぐぐぐ、グルオアァァァァァッ!!」

獲物と認識したのだろう、アイスベアーが襲い掛かってきた。


アイスベアーとの戦闘は苦戦した、何故なら足場が悪い。

氷に雪、そして斜面、いつも盾で受け止め反撃するところが

ガンッ、ズザザ、受け止めると後方に滑り攻撃が届かない

更にはアイスベアーがこの土地に適したモンスターである事も要因だった。

氷雪に滑るような体では無い、そして変異種の為か身体能力も通常のアイスベアーより遥かに高かった

麻痺(パライズ)!」

「グオオオオオッ!」

「魔法効かない!」

抵抗(レジスト)か!?」

「完全抵抗かなにか!」

言いながらもドンドン次の弱体魔法(デバフ)を飛ばす灯

毒、麻痺、鈍化、その他どれもが効かない。

「なら、閃光(フラッシュ)!」

杖の龍眼から光が放たれる、その強烈な光はアイスベアーの目を焼く

「ギャッ!」

「効いた!直接作用する弱体は効かない、外部からの刺激は通る、なら」

「魔法無効化か!」

「デバフには期待しないで、強化をメインにするからゴリさんお願い」

「任せろ!」

盾で受け止めては反撃に移れないので大盾と大剣を仕舞い、ガントレットと長剣に持ち替える、受け流し、接近戦(ガチンコ)で押し切る!



万能強化(マイティブースト)!」

灯の強化魔法がグレゴリを包み込み、力が漲って来る

その効果は杖・神龍の瞳によって段違いに引き上げられていた、負ける要素は無い筈だった。





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