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過去⑤

「ゲームやるぞ!」

瞬が突然言い出した

「灯がやってる奴?」

「アークオンラインね、別に良いけど突然どうしたの?」

「いや、この前の夏祭りで、」

ピシッと場の空気が凍り付く、この話になると何故か鈴の機嫌が悪くなって当たりが強くなる事に困惑していた瞬、灯の告白をサラッとスルーしているのだから当たり前と言えば当たり前、陸もそれを教えてやる程瞬には甘くなかった。

いっそ、この事に気付いた時に自分で穴掘って埋まれば良い、とは鈴談。

その空気に負けずに続ける瞬

「灯が寂しそうにしていたからさ、そろそろ夏休み終わるだろ?だからだと思うんだけど」

「ゲームなら直接会えないにしても話は出来るって?」

「そういう事」

「まあ、悪く無いんじゃない?アークオンラインはVRMMOだから、ほぼ顔を合わせているようなものになるし」

「良いよ」

と話がまとまり、必要な物を調べると・・・

「げ、結構するのな」

「VRギアは最新機種が必要だし、ナノプログラムがねー」

「よくこんな高い物買えたな灯」

「光さん達が買ったみたいだよ、その後灯はお金返したみたいだけど」

「返した、ってどうやって?」

「アルバイトして」

「灯バイトしてんのっ!?」

「プログラムの仕事手伝っているみたいね」

「マジか!スゲーな灯」

「あの子集中すると力発揮するからね、アークオンラインで魔法創ってたら光さん達が本気でダメ出しして、いつの間にか覚えていたみたいよ」

「いや、あいだ端折り過ぎじゃね?何があったよ」

「さあ・・・」

「さあ、って」

「ま、いいけど、それでもこんなの買えるほどバイトしてないだろ」

「してるわよ、灯、意外と稼いでいるわよ?」

「みたいだね」

「は?いやいや、どれだけ稼いでるんだよ」

「ごにょごにょ・・・、くらい」

「嘘だろっ!マジか!」

「嘘じゃない、俺も聞いた」

「食費とか払っているみたいよ、真面目よね、まだ14なのに」

少し前に「このままじゃダメなのは分かってるんだ」と言っていたけど、全然そんな事無いと言い切れる行動だ。

「もう自立してるじゃん・・・」

「光さんは最初要らないって断ったみたいだけど、迷惑掛けてるからって引かなかったみたいね、結局受け取っているけど積み立てにしているって」

「それだけやってて、なんで灯はあんなに自己評価低いんだ?」

同世代、いや成人を迎えた大学生以上にしっかりした行動であるし、全然ダメじゃない。

そんな素直な気持ちで疑問を口にした瞬に

「はあー、何でだろうね」

「なんででしょうね・・・」

鈴と陸が呆れた様子なのは、きっと気の所為ではない。


その後はみんなでアークオンラインに興じる様になり、灯は元の明るさを取り戻していった、当時未だに学校へは行ってなかったが俺達もその必要性は感じていなかった、勉強は何処でも出来る、それを証明するかのように灯は努力を重ねていた。

「これからは英語と中国語!」

と言っては自主的に勉強、ゲーム内でもその言語圏の友達を作って、自動翻訳を混ぜつつ生の会話していた。

「xxxxx?」

「xxxxxxxxxx!」

「xx、xxx」

「xxって、何?」

灯が交渉をしている

「何言ってるか解る?」

「全然」

「もう、アレだな、マジで学校必要無いな」

「そうね・・・」

まあ、あの様子ならこれからも何とかなるだろう、そんな風に思い始めていた矢先の今回の事件であった。



「で、分かった?」

「何が?」

陸の問の意味が解らない瞬、やはり陸にため息を吐かれる

「はあ、まあ良いよ、もう・・・」


灯の事は陸から話す訳にはいかない、瞬が自分で気付くならまだしも他人の口から伝わっても灯は喜ばないだろう。





次の日、部屋から鈴が出て来た

「悩んでも仕方無いから、まずは灯よ・・・」

その目は赤く、昨夜泣いていたのは明らかだったがそこは指摘しなかった

「取り敢えず情報集めて、この世界の事を知ろう、後はそれからだ」

「アークオンラインの世界でしょ?」

「それはそうだけど、灯が転移魔法陣に掛かった事からもわかる様に微妙な差異はあるようだし、再確認は必要だと思う」

「まあ、それもそうか・・・」

「具体的にはどうするの?」

「歩いて街を見て、話をする」

「観光ね・・・」

「そうとも言うな」

そんなのんきなことをしていて良いのだろうか、そんな不満が透けて見えたが瞬は話を進める

「問題は山積みなんだ、1つずつ潰して行こう」

「山積みって、例えば?」

「此処は王都、つまり王政が敷かれている、俺達の立場はどうなってる?」

それは、よくよく考えてみるとそうだ、異世界転移として異世界に来た、その人の立場は・・・?

例えばラノベ宜しく、王様達に異世界召喚された、おお勇者よ!良く来てくれた!この場合、異邦人は王族に保護された立場になる、最低でも平民、異世界召喚者が特別な価値を有するものとするならば貴族もしくはそれ以上の立場が保障されるだろう。

なら、自分達は?

平民、有り得る。

貴族、無い。

王族、特権階級、無い無い。

だが国の移動は恐らく制限されていない、これは今後確認する事だが、平民の冒険者と言う立場では無いのだろうか?

確認の必要はある、この世界で生きて行くしか今の所は方法が無いのだから・・・


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