友達②
詩奈を連れて公爵邸に帰って来た
「エル、お願いがあるんだけど・・・」
「良いよ、今日はお母さんと寝るから」
「ありがとう」
「友達なんでしょ?大事にしなきゃね」
「うん、シイちゃんこっち」
「う、うん・・・」
もう1つの故郷の友達、ゆっくり話したい事もあるだろうとエルは気を利かせてくれた。
灯は詩奈の手を取り、部屋に連れて行って話をする
何も聞かずにリトラがお茶を出してくれた
「ありがとう、リトラ」
無言の笑顔で頷くと部屋を後にするリトラ
二人きりの部屋で話を聞く
「シイちゃんはどうしてこっちに来たの?」
「実は・・・」
話を聞くと、アヤコと一緒に召喚されて来たらしい
灯にした事が許せなくて、どうしても直接本人に言わないと我慢出来なかったらしく、卒業式後に詰め寄った
そして、言い争っている時に巻き込まれてこの世界に来たと言う
アヤコは聖女として祭り上げられ、お情けでずっと侍女として働いていた
外に放り出されては何をしても良いか分からない
どんなに過酷でも食事と寝床がある城を出る事が出来なかった・・・
「そう、なんだ・・・」
「灯ちゃん、私も聞きたいんだけど・・・」
「なに?なんでも聞いて!」
「その耳・・・、本物?どうして・・・」
「あ、これ?触ってみて」
「わ、え!?暖かい・・・、本物!!?」
「獣人になっちゃった、えへへ」
「どういう事!?」
驚く詩奈に最初から説明する灯
「そっか、瞬先輩達も来てたんだ」
「うん」
「灯ちゃん、あの、」
「ん?」
「帰れるのかな、お家に・・・」
「・・・」
「駄目、なんだね・・・、お城の人が言ってたの聞こえたんだ、召喚者は帰れないと言うのに、って」
「シイちゃん違うの、実はね・・・」
灯は包み隠さず伝えた
元の世界では自分達を知っている人が居ない可能性が高い事
両親、友達、みんな自分の事を知らない、と
帰還魔法はもう少しで完成しそうで、瞬達の帰るのを待って地球へ帰るかどうかを考えている事
灯自身はこちらに残ると決めた事
「そう、灯ちゃんは残るんだ」
「うん、魔法の術者が私だから制御しないといけないし、それに私の居場所は此処だから」
「あの時の事のせい?」
「ううん、違うよ関係無い、ただ決めただけ・・・」
「私は、どうしよう・・・」
「・・・後悔しない様に、」
「お父さん達は私の事分からないんだよね・・・」
「うん・・・、ごめんね」
「灯ちゃんが謝る事じゃないよ・・・」
「・・・」
時間は有るようで無い、いつ瞬達が帰ってくるか分からないが恐らく数ヶ月中には帰ってくる。
「うん、決めた!」
「え!?もう!!?」
「うん!残る!」
「良いの?」
「良い!お父さん達に会って誰?なんて言われたら辛くてムリだし、魔法使えるんだよねコッチ」
「う、うん」
「ふふ、使ってみたかったんだ魔法、だから残るよ」
「本当に良いの?帰還魔法だけど、多分一回しか使えないよ」
「そうなの?」
「うん」
神龍の瞳を使用して異世界、地球への扉を開く
計算上ゲートは開く筈だが恐らく限界まで魔力を引き出す事になる、きっと宝玉は砕けてしまう
今は神龍の瞳からカミィの情報を抜き取り、別の媒体をカミィの依代にする為の魔法を修得しようとしている
ネル爺は使えるらしい、でも
「アリィの魔法で生まれた魔法生物じゃからのう、主が移す事が原則じゃぞ、他者の魔力が混ざると生物自体の情報が変容してしまう可能性がある」
との事だ、だから自分でカミィの本体を移し替える
中々難易度が高いが、何とかなるはず・・・
「ま、良いよ、うん、で灯ちゃんお願いがあるんだ」
か、軽い・・・、即断即決だ・・・
「何?」
「私を此処で雇って下さい!」
「ええ!?」
「働かないとだし、だからと言って行く宛もないから、お願いします!」
「でも、普通に一緒に此処に住んでも・・・」
「ダメ!それはきっとダメになるよ、だから、ね?」
「良いの?」
「うん!」
「・・・分かった、お父さんとお母さん、セバスさんに言ってみる」
「ありがとう!灯ちゃん!あ、アリエット様って呼んだ方が良いかな?」
「ううん、灯で良いよ、お願いシイちゃん」
「分かった、じゃあ灯ちゃんこれからよろしくお願いします!」
トントントン・・・
丁度切りの良いタイミングでノックが響く
「はい、どうぞ」
「アリィ様、お客様にも軽食を・・・」
「あ!ありがとうリトラ!」
「ありがとうございます・・・」
夜会では緊張で食べ物が喉を通らなかったし、途中も食べる暇は無かったから有難い。
「シイちゃん、えっと私付きの侍女リトラ、リトラ、この子は詩奈ちゃん、地球の友達なの」
「そうでしたか、シーナ様どうぞよろしくお願いします、リトラと申します」
「あ、はい!詩奈です!リトラさんよろしくお願いします!」
リトラは優しく笑うとお茶を入れ直してまた部屋を出て行く
「ありがとうリトラ」
「いいえ、ごゆっくり・・・」
「・・・灯ちゃん、本当に貴族様になったんだね」
「え?」
「アリィ様って・・・」
「あ、でも、みんな家族なんだよ、私も最初は様付けに落ち着かなくて・・・」
「うん、分かってる、灯ちゃんは何も変わってない
昔から優しいし、今も・・・」
「あ、う・・・」
昔を知っている人に今の自分を知られるのは何となく気恥しい・・・
気にしなくはなっていたけど、貴族だったよ自分・・・
「と、取り敢えず、明日話すから食事終わったら、お風呂入ろう?」
「うん、いただきます!灯ちゃん髪伸びたよね、お風呂大変だから手伝うよ」
「あ、ありがとう・・・」
二人で仲良く食事をとる
灯が見た限り詩奈は元気にモリモリ食べていてホッとする
お風呂は二人で入った。
「わあ、灯ちゃん綺麗・・・、お肌もツルツルだし髪もサラサラだ・・・」
「屋敷のみんなが頑張ってくれるから・・・」
「そうなんだ、お嬢様になったんだもんね」
「うん」
「ね、尻尾も触ってみていいかな?」
「良いよ、優しくしてね?」
「灯ちゃん、なんかやらしい・・・」
「へえっ!?」
「そんな裸で照れながら優しくしてね、なんて、えっちぃ」
「にゃ、だだって、お風呂だし、尻尾は敏感だから・・・」
「そうなんだぁ」
ふーん?とニヤリと笑った詩奈が灯に迫る
「シイちゃん、ちょっとその笑いなにを、やめっ、あんっ!!」
「ふっふっふー、ここか?ここが弱いのかー?」
「あ、あんっ!や、ンンンっ、ダメ!シイちゃん!!」
シャンプーを泡立てて尻尾を先から根元までヤワヤワと触られる
慣れてきたと言っても、やはりそういう意図を持って触れられると感じてしまう。
「あ、これはいけない・・・、私女の子もいけるかもしれない・・・」
「え、ちょっ、んふ、あ、、っはあ・・・」
「ヤダ、灯ちゃんエロ・・・、喘いで・・・」
「待って!本当に尻尾は、その」
「ん、なに?」
「えっと、ね、」
「何?言ってよ」
「せ、」
「せ?」
「性感帯、なの・・・、だから止めて、お願い・・・」
「・・・・・・ごめんなさい」
「うん・・・」
性感帯と言われては流石に詩奈も謝って止めた・・・
完全にそういう目的で襲いかかっている様なものだ。
若干気まずくなりながらもお風呂を済ませて上がる
「ベッドもふかふかだー!」
「気持ちいいよ」
「凄い、久々によく眠れそう」
「良かった、じゃあ寝ようか」
「うん、って灯ちゃん、何で脱いでるの?」
「え?寝るから」
「・・・下着も脱ぐの?」
「うん」
「・・・」
「・・・?」
詩奈がなんとも言えない表情で灯を見つめた
なんだろう?と考える灯
「・・・あ!」
灯は思い出した、そうだ人族の時はパジャマ来ていたんだっけ!
「シイちゃん、あのね獣人になると尻尾生えてるでしょ?」
「う、うん・・・」
「実は尻尾って、そのとても敏感だから・・・」
「うん、それは、知ってる・・・」
「獣人は裸で寝るのが普通なの、服着てると全然寝れなくて・・・」
「そ、そうなんだ、じゃあ仕方ないね・・・」
「ほ、ほら、下着もこの通り、ね、紐だから・・・」
「灯ちゃん・・・」
「うん?」
「エロい・・・」
「エロっ!?」
「無自覚エロ・・・」
「・・・」
「・・・」
「寝よ?」
「・・・うん」
またもや気まずくなるが、スルリと全裸になって灯はベッドに入る、詩奈もベッドに入るが端の方から来ない
「端っこだと寒いよ、ほら」
灯はいつもの様に、エルと寝る時と同じく詩奈を抱き寄せ
その胸に頭を抱える
尻尾を腰に回し、脚を絡ませ、ピッタリとくっ付いた
「ああああかりちゃーん!私女の子もいけるかもって言ったけど、まだ覚悟が!!」
「んー?おやすみぃシイちゃん・・・」
チュ・・・、と詩奈のおデコにキスをして灯はスヤスヤと眠りに入ってしまう
「ま、マジですか、灯ちゃん・・・」
ふにふにと幸せな感触に挟まれる、暖かくて柔らかい
そして意外と大きい、灯ちゃんって結構着痩せするんだ・・・
詩奈はドキドキしながらも約一年ぶりに平和で安全な寝床で安心して眠った。
朝・・・
少し早いかも知れない、まだ空は暗いけど目覚めてしまった
がっちりと灯ちゃんに抱きしめられている
変わらず胸の中に顔が埋まっている、やだ、本当に女の子でもいけそうな気がしてきた・・・
少しモゾと動く、すると
「ん・・・、エルまだ早いよ、」
灯ちゃんはそう言って力強く絡み付いて来る
動けない・・・
「あ、灯ちゃん、少しだけ離して、ね?」
モゾモゾと脱出しようとするも
「んん、エル、またぁ?」
そう言って寝ぼけたまま詩奈に胸を押し付ける灯
「待って、灯ちゃ、んん」
「エル、本当に胸好きだね・・・」
「好っ?、!?!!!?」
何してるの?エルって、あの金髪の美人さんだよね!
灯ちゃんと双子の姉妹のエリューシアさん
なになに?本当に何してるの!!?
「ほら、ね・・・」
甘く、どこまでも甘やかすかのような声色
頭を抱えられてさわさわと髪を撫でられる
トクトクと灯ちゃんの鼓動が・・・
「ん・・・?エルなんで服なんか着てるの?寝にくいでしょ、脱ぐの手伝ってあげる・・・」
「ふえっ、待って灯ちゃん、私、詩奈、あ、ちょ、やっ!」
灯が徐ろに詩奈が着ているパジャマを脱がし始める
詩奈も抵抗するが、灯のとてつもない力を止められず
上を脱がされ、下も脱がされ、下着も剥ぎ取られる
「あか、りちゃ・・・」
「ほらあ、」
ちゅ、またもやおデコにキス
ちゅ、頬に
ちゅ、口の横に、首筋に、胸元に・・・
「灯ちゃ・・・」
スリスリと自分の胸に潜り込み頬擦りする灯
ちゅ・・・、と胸にもキスをして、今度はがっちりと背中に手を回されて抱きつかれた
その体勢のまま
「ん、・・・すー、すー」
灯は熟睡、顔を赤く、鼓動がドキドキと胸を打つ詩奈だけ取り残された。
「灯ちゃん、責任、取ってよね・・・」