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帰宅

邪魔者(王子)が居ないのでサッサっとキャンプへ戻った


キャンプ地には応援の騎士団が到着して丁度森へと進軍するタイミングだった

「マーガレットさん、皆さんも無事!?」

フィーネ先生が心配そうに飛び出す

「大丈夫、怪我人は、まあ居たけど治したし」

「そう、良かったわ・・・、所でロウラー王子は?」

「あー、お兄様は先に城へ、」

「城?」

「飛ばしました」

「飛ば、っえ!?!!」

混乱するフィーネ先生、そして状況を聞きに来た騎士団長に経緯を説明

王子をぶっ飛ばした事を話すとフィーネ先生の顔は引き攣り

騎士団長は「戦場で足でまといは居ない方がマシだからな」と豪快に笑っていた

そんな騎士団長を見て更にフィーネ先生は苦笑い・・・


騎士団長にモンスターの位置と数、内訳を書き込んだ地図を手渡す

道中、灯の魔法で王家にある魔力水晶に接続、マーガレットから国王アレクに連絡を入れた事も付け加えておく。


騎士団長は

「マーガレット王女、エリューシア様、アリエット様、マリルーシェ様、御協力感謝致します!」

敬礼して騎士団に情報共有、装備を整えて森の中へと進軍して行った。



クラスメイトは他クラスが合流したのでそちらの教師に任せて先に護衛を付けて帰還

フィーネ先生が待っていた所に灯達が帰還した次第である。


「ガハハッ!灯の嬢ちゃん達は俺達が同行して帰るぜ!」

「ありがとうジョーさん、こっちは良いの?」

「おう!騎士団の本体が来たからな組織行動に冒険者を混ぜると互いに足を引っ張っちまうから、此処からは役割分担よ!」


クラスメイトに遅れて二時間程、灯達は帰宅の途へと着いた。



「「ただいまー!」」

「おかえりなさい、エル、アリィ」

「大変だったね二人共」

両親が、祖父母が、みんなが待っていた

戦闘後なので土埃と煤で汚れているエルと灯を

いつもの様に構わず抱き締めるリリス

エルも灯も素直にハグを返す

「うん、でも楽しかったよねエル」

「ねー、マーガレットが大活躍したし」

「あら、そうなの?じゃあお風呂に入って上がったら聞かせて頂戴」

「うん!」


結局オーガの一件で二泊三日の予定が一泊二日となってしまったが

野営を通じてクラスメイトとは仲良くなれたし

マーガレットがリーダーシップを発揮していた所は格好良かった

マールも不慣れなクラスメイトを助けて、戦闘時にはオーガの足止めとその力を発揮していた



「ふふ、そう、みんなと仲良くなれたのね」

そんな話を楽しそうにする娘達を

にこやかにリリスとサイリは聞いていた。


「カレーを皆で食べるのも良いな、今度やらないか?

中庭で屋敷全員で食べるのも良いだろ」

「偶にはいい事言うねエクス」

「いや、俺はいい事しか言わ・・・、なくなくもなくなくないな・・・」

「どっち?」

「細かい事は気にするな!」

「何それー?」


仲良くアレコレと話していたが

やはりと言うかなんと言うか、王子の話になると

「へえ・・・」

「あらあら、うふふ・・・」

と、静かに笑っていたサイリとリリスであった・・・

エクスはそんな両親を見て「うへえ・・・」と引いていた


そもそも出会いからして最悪、王子ロウラーが灯の飲む紅茶に塩を混ぜた

周囲の機転で灯本人は何も知らないのだが

サイリには殴られ、父であり国王であるアレクからも怒られた王子

言うなれば灯は被害者、王子は加害者で


更には今回の件

被害者の灯が加害者である王子の尻拭いをした形

公爵家側からすると「本当に巫山戯た状況」


だが・・・


「王子を結界に閉じ込めて殴り飛ばした!?」


「・・・ふふ」

「・・・く」

家族全員静かに肩を揺らして笑っている・・・

見るとセバスさんでさえ、くつくつと笑い

視線が合うと

「コホン、失礼・・・」

と、取り繕ったくらいだ


「王子様に謝った方良いよね?」

「それは大丈夫、気にする必要は無いよアリィ」

「え、でも・・・」

「エクス、説明してあげなさい」

「はい、あのなアリィ、王子はやたらと男と女って事に拘ってたんだろ?」

「?、うん・・・」

「アリィには分からないかも知れないが、まあメンツと言うか、ザックリ言って男が女を守るって決め付けている人も結構居るんだよ」

「うん、」

「王子もそういうタイプだな、でだ、子供がアリィを守るんだ!って敵の前に出たらどう思う、アリィはどうする?」

「え、そういう気持ちは嬉しいけど、戦えないのにそういうのはちょっと・・・

私が倒すかな・・・、出来る人がやれば良いと思うの」

「それだよ、出来る人が出来る事をやる、それを男だから女だからって認められない人間も居るんだ」

「んん?つまり私の強い弱いは関係なくて、女の時点で引っ込んでろって事?」

「そういう事だな、んで、そういう風に思っていた女に助けられた、直後にその本人に「(助けて)ごめんなさい」なんて言われたら男としては堪んないんだよ」

「ふーん・・・、変な所に拘るんだね、王子様は」

「ま、そういう訳だから、ほうって置いた方がいいぞ、マーガレット王女と仲良いんだから何かあれば教えてくれるだろうし、王女にも止められたんだろ?謝罪」

「うん」

「なら気にすんなよ、な?」

「うん・・・」


寧ろ王子から灯に謝罪があっても良い程である

エクスも王子のこれまでの事はサイリから聞かされていた

まあ、焦っているんだろうな・・・

偉大な父、自分には何が有るのか

認めてもらうには・・・

といった具合だろう、自分にも覚えがある。


エクスは少しだけ、ほんの一欠片だけ王子に同情した

だが妹にちょっかい掛けて、迷惑を掛けたのは許さん



新緑会から3日は休講となるが、大半の者は休養に時間を注ぐ

その間ひっそりと王子は休学となり、先代国王の元へと預けられる事となる

学園で過ごす事が必ずしも人として勉強になるとは限らない

特に権力を振り翳してしまうような人間には立場の理解と反省が必要

先代国王は自分に厳しく、国民を国を愛した立派な人物でロウラーを更生するのに最適とされたのだった・・・




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