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教室

校舎の前にはクラス分けが張り出されていた

エル、灯、マーガレット、マール、みんな同じクラス

連れ立って教室へと向かう

サイリ、リリス達とは馬車止めで別れた

保護者は先に式を行う講堂で待つ事になる。



四人が教室へと入ると、賑やかに再会を喜んでいたクラスがシンと静まり返る


視線が集まる

特に黒獅子の編入生である灯に

怯む灯だが、エルが痛い程力を入れて握る手が頼もしい


「皆さん、御機嫌よう?どうぞ楽に為さって、私達は同級生なのだから()()()しましょう」


マーガレットが一歩前に出て声を張った

王女が来たから黙った訳では無いが、そういう事だと場を誘導する

クラスメイトも王女と同じクラスになれるだけの教養を身に付けている者ばかり

裏を返せば

「こんにちは、ジロジロ見るな、構うな、同級生なんて毎日顔を合わせるのだから珍しくもないでしょう?」

との意を受け取り、皆元に戻って話を再開した。


「わあ、メグ王女みたい・・・」

灯がのんきに感想を口にする

「みたいじゃなくて、王女なの。

あまり近寄る人間も居ないと思うけど疑問があるなら聞きなさい、冒険に関してはアリィの方が上手だけど、貴族に関しては私達の方が知っているからね」

「うん、ありがとうメグ」


(メグ!?)

(マーガレット王女の事をメグって呼んだ!?)

(て言うか、取り巻き居ない上に、なんでマーガレット様とエリューシア様が一緒に居るんだ!?)

(マリルーシェさんは元々エリューシア様の側に居たけど、あそこまで露骨に近くには居なかったよね!?)


困惑の極みクラスメイト、魔法事故により学園閉鎖、それが明けてみると王女と公爵令嬢の交友関係が激変

しかも、基本無表情を貫いていたマーガレットとエリューシアがにこやかに会話している

あまりの豹変ぶりに付いていけなかった。


気にはなっても直接聞きにはいけない

王女と公爵令嬢に話し掛けられる人などひと握り

このクラスには唯一話し掛けられる爵位の家、侯爵家令嬢ご居るが

流石にとっかかりもなく話しかけには行けなかった。


そうこうしているうちに教師のフィーネが教室へと入って来る

「はい、皆さん席に着いてください、アリエットさんは前に」

「は、はい・・・」


「何故エリューシアさんも前に?」

「アリィが心細そうなので!」

「ま、まあいいでしょう、自己紹介の都合がいいですから」

「皆さん、こちらに居る子はアリエット・ルナリアさん、知っての通りルナリア公爵家の子ですが生い立ちが少し特殊です、出来る限り手助けしてあげて下さい。

さあアリエットさん、自己紹介を」

「はい・・・

初めましてアリエット・ルナリアです、勉強は出来るだけして来ましたが貴族の事、この国の事、知らない事ばかりなので色々と教えて貰えると嬉しいです・・・」

緊張しながらも無難に挨拶を終える灯

パチパチパチと疎らに拍手を貰う


「アリィは私の大事な妹だから、宜しくね」


「あの、聞きたい事があるんですけど・・・」

「なんでしょうか?リズベットさん」

「マーガレット王女様とは・・・」

「メグとは少し前に友達になりました、ね!メグ。」

「え、ええ・・・、そうね」

「お話を沢山したいのですが・・・、その・・・」

「?」

「アリィ、お母さんに習ったでしょ、爵位の高い人に低い人が・・・」

「あ、えと、私とエルは気にしないので仲良くしてくれると嬉しいです」

灯はチラリとマーガレットとマールを見る

マールはニコっと笑って了承を示す

マーガレットは

「私も構わないわ好きになさい、でも最低限のマナーは守りなさいね」

「は、はい!」

ぱぁーと明るい笑顔になったリズベット

どうやら興味津々なのだが、灯は公爵令嬢なので話し掛けても良いのか不安で

しかも王女と一緒に居るとなれば、そちらの顔も窺わないといけない

この場において、爵位が最高位のマーガレットの意思表示は「ある程度」の気安さを許可されたも同然だった。


すると、

「アリエットさん!今度お茶会しましょうよー!勿論エリューシアさんも一緒に!」


「マーガレット様!アリエットさんと随分仲良いみたいですけど他の人はどうしたんですか!?」


「マリルーシェさん、あの三人と一緒にってどういう事!?」


ワッとクラスメイトが各々の近くに駆け寄った

リズベットだけでなく皆も興味津々だったようで機会を窺っていたようだ。


「あ、はい、あの私まだマナーに自信なくて・・・」

「じゃあ貴族学の時間にお茶会の練習もあるから一緒にやりましょうよ、色んな人と実践した方がいいわ!」

「う、うん、ありがとう」



「アリィとは城で会ったの、他の方については答えるつもりはないけど、まあ見ての通りよ」

「そうなんですね、こう言うのも何ですが、以前のマーガレット様より凄く柔らかくなったと思います、これからも話し掛けても良いですか?」

「え、ええ、でも他のクラスの人を連れて来るのは止めてね、キリがなくなるからクラスメイトだけでね」

「ありがとうございます!ずっと話してみたかったんです!」



「エルちゃんと色々あって、アリィちゃんを紹介された時にメグさんも一緒に居たの、だから・・・」

「そうなんだ、学園閉鎖中に何かあったの!?エリューシアさんもだしマーガレット様も全然様子違うじゃない」

「詳しくは言えませんが誤解があったんです、でも今は仲良くさせていただいてます」




その後も質問攻めに遭った四人であったが、クラスメイトとも仲良く過ごせそうで灯はホッとしていた。



「アリエットさん今度手合わせお願いします!俺騎士団志望で・・・」

「マーガレット様、踏んで下さい!」

「エリューシアさんの髪のお手入れ何使ってるの?」

「マーガレット様、罵って下さい!」

「マリルーシェさん、俺辺境隊入り目指してるんだけど何を覚えて行けばいいかな?」

「マーガレット様、蔑んだ目で見下して下さい!」


と、質問は式の為に講堂へ移動する時間ギリギリまで続いた・・・



「ちょっと!?さっきから私に変な事言うの誰!?」

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