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王妃。

それは城のマーガレットの部屋で勉強会をしていた時の事である

「失礼致します」

侍女が休憩時間の準備をする為に数人部屋に入って来た


の、だが・・・

どう見ても侍女じゃない人が混ざっていた

魔法国は多種多様な種族が居て国を回している

人、エルフ、獣人、魔族、妖精、ドワーフ・・・

貴族、平民問わず多くの人種によって構成されているので

城の使用人も色々と居るし、公爵家も獣人の比率が多めではあるが人もエルフも居たりする


マーガレットの部屋に入って来た数人の侍女の一人に

虎柄のような尻尾に黒いスジの模様がある尻尾を持つ獣人女性が居た

肌はきめ細かく美しい、髪も長く綺麗に結われて

立ち居振る舞いもとても品のある様子でどう見ても「侍女」じゃない

周囲の侍女の様子もどこか居心地が悪そうな・・・

しかも何故かニコニコと灯の事を見ているものだから余計に目立つ。


(メグ・・・、メグ!)

灯は小声でマーガレットに話し掛けた

マーガレットはエルに教えるのも一段落して読書に集中していた

「何?」

(そこの人、絶対侍女じゃないよね・・・?)

「え?侍女じゃないってどういう・・・、お母様!?」

「え、メグのお母様って、」

「王妃様!」

「サ、サーシャ王妃様!?」

まさかの侍女姿で現れた王妃サーシャ

マールは驚き、立ち上がって頭を下げた

「ああ!良いのよマリルーシェさん、座って座って!私も座るから」

「そんな格好で何しに来たの、お母様!」

「あら、アリエットちゃんに会いに来たのよ、当たり前じゃない」

平然と言い放ち、何故か灯の隣へと座る王妃サーシャ

「当たり前も何も、そんな格好の王妃がどこに居るの!?」

「此処に居ます」

「居るか居ないかの話をしているのではなくて!

って、何故アリィの隣に座って・・・」

「だって、隣に座らないと抱き締められないじゃない」

「えっ!わ」

ギュッとされる灯、訳が分からない

「ああ、本当に可愛らしいわね、レティが夢中になるのも分かるわ」

「お母様、な、なにを」

「何をってレティ、貴女最近アリエットちゃんの話しかしないじゃないの、娘が夢中になるアリエットちゃんがどんな子か気になったから来たのよ

アレクも中々紹介してくれないし、レティは何回も会っているのに私が会えないなんてズルいわ」

「な、ちょ、、余計な事言わないで!」

「アリエットちゃん聞いて?レティったらね、あ、レティはマーガレットの愛称で私はそう呼んでいるのだけど、アリエットちゃん達はメグって呼んでいるのね、可愛い愛称ありがとう。

でね、レティったら最近毎日本当に楽しそうで昨日の夜も・・・」

「ぎゃーーー!!止めて止めて、お母様止めて!」

「うふふ、ベッドでギュッとくっついて来てね」

「え!?メグ、お母様とは一緒に寝られなかったわ、って」

「あら、そんな事言ってたの?レティ嘘はいけないわ。

ルナリア公爵家から帰って来たその日に楽しそうに何があったか話してくれて、突然黙り込んだと思ったら「今日、一緒に寝ても良い?」なんて甘えて・・・」

「ぎゃぁぁぁぁ!やめてぇぇぇ・・・」

マーガレットは発狂、断末魔の声をあげながら死んだ・・・

エルは「へえー?」とニヤニヤ笑い

マールは「王女様が、ぎゃーって・・・」と変な所がツボに入ったのかプルプル震えて笑い出すのを我慢していた、王妃の手前、必至に耐えているようだ。

灯は王妃に横から抱き着かれ動けない、頭をなでなでされながらマーガレットが甘える様子をマシンガントークで言う王妃の話を聴き続けた。


「あの、王妃様」

「やだ!サーシャって呼んでアリエットちゃん!」

「やだも何も、お母様アリィに名乗ってないじゃない・・・」

「あらあら私とした事が会えて嬉しくってごめんなさい、サーシャ・ライオネルです、宜しくねアリエットちゃん」

「はじめまして、アリエット・ルナリアです」

「うふふ、よろしくねアリエットちゃん、ううんアレクがアリィちゃんって呼んでいたのだし、私もアリィちゃんって呼ぶわ、アリィちゃんもアレクの事をアレクさんって呼んでいるのだから私もサーシャさんで良いわよ」

「あ、はい、サーシャさん・・・」

「ああもう!本当に可愛いわね、数年前のエルちゃんとそっくり、姉妹って良いわ、もう一度アレクと頑張ろうかしら」

「お母様、そんな生々しい話を友達の前でしないで!」

「何よレティ、妹欲しくないの?エルちゃんとアリィちゃんが羨ましいって言ってたじゃない」

「もう・・・、本当に止めて・・・」

王妃によるマーガレットの死体蹴りが止まらない

顔を両手で覆い俯くマーガレット、流石に気の毒だった。


「メグ・・・」

「何も言わないで、お願い・・・」

「・・・」


「サーシャ様」

音もなくサーシャの後ろに立つ侍女

「マーサ!?背後に立つの止めてよ、驚くじゃない」

「あ、マーサさん」

マーサは灯の方を見てニコリと笑い、次いでサーシャには厳しい目を送り言った

「侍女から侍女服を奪うのを止めてください、あと子供の輪に入るのは褒められた行為ではありません、子は子、親は親の世界があるのですよ?」

「分かった分かった、出て行けば良いんでしょう?

もう!アリィちゃん()()()、レティ今日も一緒に寝るのよね?」

「・・・」

「サーシャ様?」

青筋を浮かせ、固めた笑顔でマーサが窘めた

「なによ、少しくらいいいじゃない・・・」

「なるほど・・・、ではわたくしめからも少しだけ。

皆様にお話がございます、サーシャ様は昔、」

「きゃあああっ!何を言うつもりなの!?」

「中庭の噴水で、穴・・・」

「待ちなさいマーサ!それはダメよ」

マーサの言葉に大慌ての王妃サーシャ、それを見てマーガレットが息を吹き返した

「マーサ!後で私に昔のお母様の事教えて」

「はい、喜んで」

「マーサダメよ!許さないわ」

「おや?それはサーシャ様の行動次第ですが、はてどう致しましょうか・・・」

「皆さんごきげんよう?また会いましょう、ほほほほ」

自分の不利を悟り退却していったサーシャ、だが

「では私も御前失礼致します

姫様、後ほどごゆっくりと・・・」

「ええ、楽しみにしてるわ!」

マーガレットの反撃の狼煙は既に上がっていた・・・




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