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30歳童貞聖騎士おじさんVSドスケベロリサキュバス  作者: 御園蟹太郎
第三章 「世界」の秘密
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夢の国のJK店長

すみません、第26部分の「異世界ソープランド①」でひもぱんについての細かい描写がありますが…、

よく考えたら第17部分で語ってるの完全に忘れてましたのでスルーして下さい。改めて修正かけるかもです。

ソープランドに来たと思ったら、店長がJKだった……。


JKは18歳もありえるからアリ……いやなし……異世界なら関係ない?そういう事じゃない?





「突然現れるから何事かと思ったぞ」


「ごめんなさいなの……」


「……まあ、今回は特別みたいじゃな。許すぞ。今後はダメじゃからな」



かわいい声なのに口調が明らかに老人のそれで、

かなりの違和感がある。見た目、声、明らかに若い女性というか、

そもそもこの世界に存在しないはずの衣類を着た、老人風な喋り方をするJK、もう意味がわからない……!



「え、て、店長さん……!?」


「そう。わしが店長じゃ。可愛い女の子のお店なんじゃから、店長が可愛い女の子なのも当然じゃろー?」


「確かに可愛い……!」


「冗談じゃったんじゃが……、お主ちょっと気に入ったぞ」


「え、ありがとうございます」


「お、エリザ、風邪は治ったのか……なるほど。そういう事か、『来訪者』よ」


「その呼び方」


「うむ、ではお前ら、わしらはこれから大人の話し合いをする。

この男はまた好きなだけおもちゃにしてよいので、今は席をはずしてくれるかな」


「はいっ」


「はーい☆」


「はいなの」



三者三様に返事をし、店から出て行く。俺はおもちゃにされる運命のようだ。


そして、今の――




「お主の事は知っておるよ。異世界からの来訪者、ウィード・ローツレスよ。

ここまで言えばわしについても大方の想像はつくじゃろ」


「……魔人、十傑?」


「そう、魔人十傑が一人『叡智』のサルガタナス。以後よろしくじゃ」


「叡智……!?今叡智って!?」


「声がでかい!ここは隠匿の結界で存在こそ気づかれんが、お主の声は普通に貫通するかもしれんからやめろ」


「あ、すみません……」


「良い。して、お主は何の目的でここへ来た?あの子らに仕事を辞めさせろ……という事ではないのじゃろ。

しかもわしの事もよく知らんかったと見える。単なる好奇心か?」


「ああ……その前にいいですか?まず店長さんの格好から質問したいんですけど……」


「敬語はいらんぞ。格好か?おしゃれじゃろう?これは異世界の貴族が着るものじゃ!ふっふっふ!」


「じゃあタメ口で……って待って?貴族?何の話?」


「違うのか?これは異世界で、学校に通うものが多く着ている衣服と見知っておる。それなれば貴族の服であろう」


「そうか、この世界では学校といえば貴族になるのか……」


「ん、その反応……まさか、違うのか!教えてくれ来訪者!代わりにこの世界の秘密とか色々教えるから!」


「世界の秘密軽いな!?その服は制服って言って、確かに学生が着るものなんだけど、

向こうじゃ学生って誰でもなれるんだよ」


「何ィ!?こちらのように、出自を気にしたりはせんのか!」


「しないなあ。義務教育って言って、皆通うことになってるんだよ。学校。高校は義務じゃないけど」


「な、何だと……学校がそのような存在になっていたとは……くく、これだから異世界は面白い!」


「でもどうして、異世界の学校の事を……?」


「ああ、それは我が主、魔王様より教えを乞うたのよ」


「魔王が……!?」


「様をつけろ。ああでもお主は敵っちゃ敵か。なら良いか。魔王様はわしに『叡智』を賜りこそしたが、

あのお方こそ本物の賢人よ。わしごときでは到底敵わぬ知識の持ち主。あのお方の下で十傑を名乗れる事、

この上ない誇りである」


「そうなのか……」



何故魔王が現代日本の制服について知っているのか――これはかなり重要なポイントになりそうだ。



「とかく異世界には面白いものがいくらでもあると聞いておるぞ。

わしのささやかな知識なんぞではとても敵わん」


「いや、でもシャワーとかソープとか……ここまでの近代設備を整えてるの相当すごいよ。

あれも魔王が?」


「いんや。夢の国関連はわしが考えた。もちろん、感覚共有を使って情報収集をしたにはしたが、

基本的には従業員と客、どちらも楽しめるようにしたまでじゃ」


「感覚共有……?」


「そうか、お主には馴染みがないものじゃな。夢の世界に入り、

情報を集めて回ることじゃ。色々な発想や、異世界まじりのものがあるのが面白いぞ~」


「解説を聞いてもわからなかった」


「1から10まで今知るのは無理じゃ。知識というのは如何様にもなる。

今無理せんでも良い。ほれ、来訪者よ、お主はここで成すべき事があるのじゃろう?」



「あ、そうだった……店長、いや、『叡智』のサルガタナスよ、どうか俺の話を聞いて欲しいんだが」


「話ならいくらでも聞くが、例えば谷の砦を撤去しろとかは聞きたくないのう」


「う~んめちゃくちゃ頭の回転はやいのに話が通じなさそうだ」


「かっかっか。若造めが。お主が頼むことなんざ目に見えとるわ。

大方、あの国王にでも頼まれたんじゃろ」




その通りすぎて何も言い返せない。

これが叡智。反則過ぎるだろ。心理戦で勝てる気しねえぞこいつ。



「わしに心理戦なんて挑まんでも、お主の剣なら一刀両断できるから安心せえ。

まあ、この外見のわしをそうせんじゃろうという事も知っておるがな」


「心を読まれた!?」


「そんな能力はない。なんとなくじゃ。表情がそんな感じだったというだけじゃ」


「うわあ……」


「お主は能力こそ高いじゃろうが……心の底からお人よしって感じがするのう。

そんなんじゃわしを殺せんぞ?」


「……もとより、殺すつもりはない」


「かっ。甘ちゃんじゃの~。魔王様の魔力の一端を埋め込んでやりたいくらいじゃ」


「表現が怖いけど爪の垢飲ませる感じだよな」


「まあそういう甘ちゃんは嫌いではないの。しかしどうする?このままでは王都と魔族の戦争は秒読み。

しかもおそらく、あやつらに勝ち目はないぞ」


「え?でも王都神聖騎士団は魔族に絶対有利なんじゃ……」


「魔族には、な」




魔族には?どういう事だ……?




「あやつらの強さは魔族ないし、魔力を持った相手への絶対優位性。

貫通性の高い攻撃と、鉄壁の防御がある」


「なら勝てないんじゃ」


「しかしわしらが魔族である事を忘れちゃならん。

あやつらは飯も食べるしクソもする。要は囲んで兵量攻めにするだけでいいってわけじゃよ。

あやつらの弱点として『防護魔法に弱い』というのもあるしな」


「防護魔法に弱い?」


「そうじゃ。お主もそうじゃが、聖騎士は『悪意』や『攻撃』を跳ね返す力があるだけで、

『補助魔術』や『防護魔法』に弱い。自分を守ろうとする力はそのまま受け入れてしまうんじゃよ」


「なるほど……」


「それで砦かどこか、ひとところに兵士どもを集めて周辺に防護による壁を作る。

敵の攻撃は受けないが、自分達も出れぬくらいの強力なやつをな。

人間なら3日もすれば食料は尽きるじゃろ。そこを叩けば弱いぞ。結局は意思の力じゃからな、あれ」


「…………」



――これが、『叡智』のサルガタナスか。

最初の出会いがこれで助かったといえる。というか魔人十傑は片っ端からとんでもない能力持ちが多すぎる。

ていうかそもそも、最初に会って戦ったのがサルガタナスなら俺は死んでいたのでは……?



「出会いが今でよかったとか思っとるか?ふふ、わしもじゃ」


「心を読むな!!」


「読んでおらんって。わしも以前までは人間など実験道具の一つでしかなかったのだが、

ここで商売を始めてから、ちょっと情が湧いてしまっての」


「夢の国の子たちか」


「そうじゃ。彼女らはだいたい父も母もおらん。それゆえかわしの事を母親のように慕ってくれる。

かような事は今までそうそうなかったものでの。長いこと生きてきたが、中々ここは居心地が良い」


「なら、砦も……」


「ならん。あれは実験用の大切な小屋じゃ。こちらで人間を使った実験などしてみろ。

隠匿の魔術すらかるく壊してしまうじゃろうて。命を使った魔術は基本的に禁忌、異様な魔力が渦を巻くぞ」


「だからわざわざ町から出てやってるのか」


「そういうわけじゃ。人里離れた場所でなければあのような実験はできんよ。

谷はものを捨てるのも便利なんでな」



だから「谷」に砦を建てたのだろうか……。

一筋縄ではいきそうにないな。



「ただ」


「ただ?」


「お主はあの子達の病魔を祓ってくれた。それに対する礼はしたい」


「あっ……」


「ふふ、識っておるよ。あの病魔、この時代には治療手段がなく、

その上発見も難しく、感染経路も幅広いのじゃろう?」


「そこまでわかってるのか」


「伊達に『叡智』を名乗っておらんよ。それくらいは余裕じゃ」


「……あの病気は、医療が進んだ現代でも、簡単には治らない」


「……そこまでか!」


「俺の予想が正しければ、だけどな」


「ふむ。まあ菌類は世界や時代によって違うからの……」


「え!?菌を知ってる……!?」


「ああ、顕微鏡もあるぞ?ふふ、まあこの話は別の機会でよかろう」



凄まじい現代さ……JKルックに顕微鏡。これが『叡智』のサルガタナス……。



「うむ、砦の撤去は難しいが……何か手は考えておいてやろう。要するに、

あそこを商用の道路として使いたいだけじゃろう?別段砦の有無は関係あるまい」


「何でそこまで知ってるんだ?全く話してないのに」


「見ればわかる。わしはここを根城にする前は周辺諸国を風来坊として歩いておったからな。

か弱い女一人と見れば王都の騎士団とて警戒せんかったわ」


「逆に女性一人でこの辺りをうろつくのは怪しいような」


「ふふ、そこは頭を使えばどうとでもなる。馬車が壊れたとか、道に迷ったとか、

意外と単純な理由の方が人間というヤツは信じてくれる。下手に芝居をするより一度泣いた方がいいの」


「えげつない……!?」


「魔族じゃからのう。人間の感情は見知りこそすれ理解はできんよ」




魔人十傑、彼らは圧倒的な力や能力は持つものの、

考え方はかなりしっかりしており、普通のこちらの人よりも仲良くなれる気がしてきた……。

サルガタナス、見た目はJKなのに何故こんな言葉遣いなのか……?



とかく、これで王に対しての面目は立ちそうだ。

まずは王宮に戻って……あっ、そういえば騎士団の見学中だったの忘れてた!?



「ありがとう、サルガタナス、俺は戻らなきゃいけないけど……また後で」


「後で、か……うーん、機会があるといいが……」


「え?」


「いいや。まあお主とはいずれまた会うことがあるじゃろ。最終的にはこちら側に下るじゃろうし」


「え?え?」


「今言ってもどうせ理解できん。さっさと行け」


「ああ、ありがとう!」


「何度も礼を言うやつじゃな!?……こちらこそ、助かったぞ」




そうして俺は、少し歩を早め、騎士団の稽古場へと向かった。

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