食べること=生きることだけではない
「今日のごはん、なにしよかな~野菜とチーズのささ身フライ、鶏もも肉のレモンソテーとかいいな~どうしよう」
食事は生きていくうえで欠かせないもの、楽しみでもある。
料理の美味いまずい、だけではなく“いつ”“どこで”“だれと”など状況も非常に大切だ。
友達とファーストフード店で話しながら、恋人と夜景がきれいなレストランで。
家族と囲う鍋、自分へのご褒美にプチ贅沢な一人飯。などなど
美味しい食事は大げさではなく生きる意味にもなり、希望にもなりうるのだ。
介護業界において料理、食事は大事な部分であり気を遣う部分でもある。
料理が上手いヘルパーはとても重宝され、利用者さんたちも離さない。
だが、独居の場合は食事管理が難しい。
高血圧や糖尿病をもっている利用者さんが塩分や糖分の多い料理を作ったり買うようにリクエストされることが多いが、医師やケアマネージャーにダメと言われていると断るしかない。
介護施設の方はと言うと。
正直言って介護施設では食事の楽しみはあまりないと言っていいだろう。
高級なホームだと話は別だが。
まず、好きなものを食べられない。今日、どうしてもハンバーグが食べいと思っても献立は決められていて叶わないのだ。
介護職員が最も恐れる事故が起こるのは食事の時間。そう、誤嚥だ。
誤嚥とは飲み物や食べ物などの異物が食道ではなく気管に入ってしまうこと。
誤嚥性肺炎とは気管に入った飲み物や食べ物などの異物が肺に入り細菌が繁殖し炎症をおこしてしまうこと。
医師でないので多少間違っているかもしれません。
私が、昔勤めていた施設では誤嚥性肺炎による死亡事故で訴訟問題にまで発展したことがあった。
そういうこともあり、リスクを避けるために食事関係は本当に制約が多い。
嚥下機能が弱くなったお餅が大好きな利用者さんが
「もう生い先短いから大好きな大福を食べたい。死んでもいいから」
と言われ上司に掛け合ってみたが答えは当然のようにNO。
身寄りがなく一介護職員でしかない私はどうすることもできなかった。
その方はもう十年以上前に亡くなったが今でも心残りの一つである。
食事イベントで、食堂で利用者さんたちと一緒に鍋を囲う企画を同僚たちと思いつき、るんるん気分で上司に掛け合ったら。
●調理場以外では調理はダメ。
●利用者さんが火傷する心配がある。
●料理場で鍋を作って皿に分けて配るはOK
……バッカキャロー! それじゃあ意味無いんだよ!!
食材がぐつぐつと煮える音、匂い、食事は食べることだけじゃない雰囲気だって大事!!
と上司に憤慨した経験がある。
介護士としての信念は変わらないが今では上司の気持ちもわかる。
だからこそ介護業界が歯がゆいのだ。
食事が生命維持のためだけじゃない。
楽しい食事は生きる気力の源になるのだ。




