妹
少し早いし、短いですが続きです。
昨日も更新しなかったので、少し頑張りました。
うちの妹はおかしい……。
「ふんふんふふ~ん♪」
土曜の昼下がり、音楽を聞きながらフライパンを振るう。
俺は慣れた手つきで、料理を皿へ盛り付けると机の上に置いた。
「よし!」
両親がいなくなってから、炊事、洗濯、掃除と、全て俺がやってきた。
料理のレパートリーも大分充実してきたものだ。
俺はエプロンで手を拭きながら、廊下を歩いた。
妹の部屋へ向かう為だ……。
俺の両親は、碌な親じゃなかった。
父親は、いるのかいないのか分からないくらい家に居つかない人。
母親は、まるで壊れた人形のように支離滅裂な事を言う人だった。
家事も育児もせずに、父に捨てられたのが原因なのか……妹を産んですぐに自殺してしまった。
何故か養護施設にも預けられずに、父から毎月多額のお金が送られてきた。
家は持ち家、頼る親戚もいないが、お金だけはある……。
となると、俺が必然的に妹の面倒を見るしかなくなるわけで……。
「はぁ……」
妹は、本当に手のかからない子だった。
……何故なら、生まれた瞬間から話を理解して、言葉を話したからだ。
自分のことは自分でするし、まだ小学生だった俺に赤ん坊の妹が料理を振る舞ってくれたことだってあった。
小さい頃は良く分からなかったけど、どうやら妹は【天才】と呼ばれる特殊な身体異常者だったことを高校生になった時に知った。
生まれながら、意思の疎通が出来て、言葉を交わし、歩くことが可能。
そして、何か特別な能力を持っていると言われているが、妹はそれを俺に見せたことは無かった。
妹はすくすくと成長して、もう小学5年生になる。
「行く必要が無いから……」と一回も小学校に通っていないけど……。
俺は何度目かの重い溜息を吐いて、妹の部屋をノックした。
「アダモ、ご飯出来たから一緒に食べよう~。今日は、お前の好きな雑煮と小エビ炒めだぞ~!」
シ~ン。
中から妹の返事が無い。
「あれ?」
もしかして、何かあったのか!?
俺は慌ててドアを開けるが、中は真っ暗で何も見えなかった。
「はぁ……」
またしても、幸せが逃げていってしまった。
うちの妹は、ちょっとおかしいのだ……。
その原因が、……コレ。
俺は、部屋のカーテンを開ける。
太陽の柔らかい光が、アダモの部屋の中を照らした。
「……また、妙な物が増えてるなぁ」
うちの妹をおかしいと思う理由、それが【魔法】だ。
他国に伝わる【魔法】とか言う妙な物に、妹はハマり込んでいた。
毎月、決まった金額のお小遣いを渡しているのだが、明らかにそれ以上の物を購入してきている。
しかも、それは全部【魔法】に関係したりするものばかり!
「なんで、こうなっちゃったかなぁ……」
俺は床に描かれていた魔法陣の真ん中に転がっていた木製の人形を拾い上げた。
パッと見は、可愛らしい人形だが、よくよく見てみると木目に何やら怪しい文字が刻み込まれていた。
俺はため息をついて、人形を棚の上へ置いた。
おこがましいようだが、俺はしっかりと妹を育ててきたつもりだ。
今も愛情を持っているし、妹が世界の何よりも可愛らしい。
妹も俺を嫌ってはいなく、会話も普通にしている。
……だけど、俺には妹の考えていることが分からない。
妹のやっていることが分からない。
今日も、俺に黙って何処へ行ってしまったのだろうか?
玄関を出ていく音はしなかった。
「いってきます」も聞いていない。
過保護すぎると思われるかもしれない。
でも、お兄ちゃんは妹が心配なのです。
いつか、どこかへ消えていってしまいそうな妹が……。
これは、俺【カワセミ・メルサック】が妹【アダモ・メルサック】が心配だと言う独り言だ。
呪われた神と同じ名前を母親に付けられた妹が心配なのだ。
母は、その名を付けて大笑いした後に自殺をした。
もしかしたら、この一家にその神様の呪いが掛かってしまったんだろうか?と考えたこともある。
過去の俺は、その考えを頭を振って吹き飛ばし誓ったのだ。
何があっても、妹を守ろうと……!




