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ホラー・ミステリ系の短編集

暗号解読

作者: ハルカゼ

 僕は同僚の川崎 亮(かわさき りょう)と二人で夜道を歩いていた。

 街灯も少なく、月が僕らを嘲笑(あざわら)っているのではないか、と思わせられる暗さであった。


「今日も疲れたな」

「よく言うよ。恨みばっかり買ってて」

 川崎は同僚の、合谷あいだに そら広間 海(ひろま うみ)に恨まれている。

 合谷に関しては、借金を抱えていた。

 いくらかは定かではないが、多額であろう。

 川崎が家にまで請求をしてきたこともあるのだ。

「俺は当然のことをしただけだ」

「でもな……」

「合谷のやつはチビだし、広間は巨人だし」

「大きさは関係ないだろ」

 暗いのにもかかわらず、川崎が笑っているところが目でとらえた。


「広間にも恨まれているだろう」

「どうしてだ?」

 どうやら、全く罪悪感がないらしい。

 広間は、いつも川崎に奴隷のように扱われて振り回されていた。

 仕事だって、無理やり川崎の分までやらされていて、金なども奪われていたこともある。

「お前は気楽でいいな。そのうち、痛い目に合うぞ」

「そんなもの知るか」

 道は二手に分かれていて、そこで川崎と別れた。


 数分後、一人寂しく歩いていると、静寂を切り裂くように携帯電話が鳴り響いた。

 すぐに取り出し、電話に出てみると先ほどまで一緒にいた川崎からであった。

「どうした?」

「助けてくれ」

「いきなり、なんだよ」

「お願いだか……」

 そこで電話が切れた。

 嫌な予感がした。

 僕は、すぐに来た道を引き返して川崎と別れた場所まで走っていった。

 息を切らす。でも、足を止めなかった。


 川崎と別れた場所に辿り着くと、川崎が行ったと思われる道に入る。

 そして、走る。

 無我夢中になりながらも進んでいくと、壁際に人が倒れているのが分かった。

 恐る恐る近づいていくと、倒れている人の顔が見えた。

 信じたくはなかった。でも、受け入れないといけないのだ。

 正真正銘、川崎であった。


「川崎!」

 すぐに川崎の元へ駆けつけた。腹部の下の方に果物ナイフが刺されているのだ。

 僕は川崎の体を揺らす。

「おい、起きろよ」

 川崎はぴくりとも動く気配がない。

 僕はコンクリートの壁に書かれている赤い字の文章に気づいた。恐らく、川崎が書いたのだろう。

 その文章を読んでみる。


『ハンニヘハウ

 ンハコーヘル

 イツダロロエ』


 急いでいたのか、汚らしい字であった。

 僕は全く分からなかった。

 どうすればいいんだ。これは暗号だろうか?

 いや、ダイイングメッセージというべきか。

 カタカナで書いてあるが……。


 まさか、合谷か、広間がやったのか?

 色々な疑問があるが、川崎をもう一度、見たときに分かってしまった。

 この暗号の意味を。


 早く警察に電話をしないと。

 しかし、手が震えていて、なかなか携帯電話が持てない。

 やっと携帯電話を握り締めた、と思ったときであった。

 いきなり、後ろから硬いもので殴られた。


 僕は痛みでその場で倒れた。

 もう犯人はわかっていた。


 でも、もう……。

 誰か、僕の代わりに犯人を捕まえておくれ。

 ただ、そう祈るしかなかった。

 まぶたが重くなっていく。


 そして、静かに僕の意識が途切れた。


==========================


ここから先は暗号解読の解答編となります。


犯人は『合谷 空』か『広間 海』のどちらかです。

暗号に答えが記されています。


これからご説明するのは解答編なので、まだお考えの方はお引き取りください。


==========================


 では、ご説明させていただきます。

 川崎の書いた暗号は以下のようなものです。


『ハンニヘハウ

 ンハコーヘル

 イツダロロエ』


これを二つに分けます。


『ハンニ ヘハウ

 ンハコ ーヘル

 イツダ ロロエ』


 左側の方を読んでいくと、

『ハンニンハコイツダ』


 つまり、『犯人はコイツだ』と書いてあるのです。


 そして、重要なのは右側です。

 右側を1列、2列、3列に分けていきますと、


『ヘ  ハ  ウ

 ー  ヘ  ル

 ロ  ロ  エ』


 になります。

 実は(たて)で一列ごとに1つの漢字になっているのです。


 1列目は、『合』

 2列目は、『谷』

 3列目は、『空』


 と、なっているのです。

 川崎の暗号を解読していくと、


『犯人はコイツだ 合谷空』

 つまり、川崎を殺したのは「合谷 空」です。


 ご理解いただけない、納得できない、と思う方は、

 感想でお声をかけてくれると嬉しいです。


 この度はお読みいただき、ありがとうございました。


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