表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/6

謎の少女とのほのぼのした朝ごはん

「美味しい!

 君って料理作るの上手いんだね」


トーストを頬張りながらそういう少女はハムスターのように両頬が膨らんでいた。


「落ち着いてくえよ。

 いくらでもおかわりはあるからな」


台所で目玉焼きを焼きながら俺は言う。

扉をぶち壊してやって来た謎の少女に何で俺は飯を作ってやってるんだ?と不思議に思いながらも作ってやってる自分のお人よしさに呆れた。


扉が無くなった玄関にはくの字に曲がった元の扉を無理やりつけておいた。

どう考えても外見はボロボロになったが修理業者を呼ぶまでは仕方あるまい。


半熟に焼き上げた絶妙な焼き加減の目玉焼きを皿に載せレタスとトマトを載せた簡易的なサラダを作って

いるとおかわりお願いします!と元気な声が聞こえてきた。

はい、はいと言いながら出来上がった目玉焼きとサラダを持っていく。


「お待ちどうさま。

 ほら、目玉焼きとサラダ作ったぞ」


「目玉焼き?サラダ?何それ」


少女は相変わらず両頬を膨らましながら首を傾げる。


「お前、知らないのか?

 目玉焼きってのはな…………卵を焼く料理だ。

 サラダは……野菜を盛った料理だ」


わざわざ答えたってのに少女は聞く気も無く目を輝かせて目玉焼きを興味深そうにつついていた。


「ちゃんと人の話は聞け」


「すみません。見たことが無かったもので」


「まぁ、分かれば良いんだけどさ。

 そんなことよりお前は何者なんだ?

 ドアを吹き飛ばしたり俺が思いっ切り振ったバットを軽々しく掴んだり目玉焼きを知らなかったり」


俺は目玉焼きに醤油をかけるのを止めて本題に入る。

少女は俺を真似て目玉焼きに醤油をかけながら言う。


「そういえば言ってなかったね。

 私はマリアント・アリス。

 あなたに能力をあげた吸血鬼の孫よ」


少女はなんでもない話でもするかのようにさらっと言った。

俺は驚きのあまり持っていた箸を落とす。


「昨日のあの出来事は夢ではなかったのか……」


急いで落とした箸を拾っていると昨日俺の脳内に聞こえた謎の声がよみがえる。


「ていうことはあの時、俺の脳内に話しかけてたのはお前か?」


「最初は私が言ってたけど後は私のお姉ちゃんだよ。

 あまりにも君の行動がじれったかったから思わず言っちゃったんだって。

 あとお前っていうのはやめてよね。私にはマリアント・アリスっていう名前があるんだから」


「ごめん、ごめん。

 成る程、だから途中で口調やトーンが違ったのか。

 しかしの君の姉は怖いな」


昨日の悪魔のような声を思い出し軽く身震いをする。

それを聞いたアリスは笑っていた。


「お姉ちゃんは普段優しいんだけどちょうど彼氏に振られたばっかだったからね。

 むしゃくしゃしてたんだよ。ドンマイ!」


アリスはそう言いながら親指を立てた右手をこちらに突き出す。

愛らしい笑顔で胸が苦しくなるように感じたがロリコンでは無いのできっと気のせいだろう。


「吸血鬼って実在したんだ。

 ファンタジーの中だけかと思ってたわ」


コップを両手で持ちながら美味しそうに牛乳をごくごくと飲んでいたアリスはコップをテーブルに置いた。


「私が来た世界には普通に存在してるけどこちらの世界には存在してないよ。

 しかしもし遭遇したら命の保証は無いぞ。

 吸血鬼は圧倒的な力を持っているからね」


口周りに牛乳が白い髭のようについていたのでティッシュを渡す。


「へぇ~、そういう物か。

 あれ?ていうことは君はこの世界の人間ではない?」


ティッシュを物珍しげな目でじろじろ眺めていたアリスに聞く。

アリスは新たにコップに牛乳を注ぎながらそうだよ~と答えた。


「ここと私がいた世界は時空が異なってるから行き来出来る人はほんの僅かしかいないよ。

 恐らくここの世界でもそのことを知っている人は首相とか大統領といった重鎮しかいないと思う」


「そんな知られていないことなんだ。

 ……じゃあ俺の身危なくない?」


そう言いながらアリスの方を見るとアリスは分かりやすく目を逸らし顔を合わせようとしない。


「あのなんか言って!

 不安になるからお願い!」


「ばれなきゃ大丈夫ですよ…………たぶん……」


不安しか生まれなかったが気にしてもしょうがないことは気にしない。


「そうそう、俺の能力についてなんだけど……」


そこまで言うと急に爆音とともにベランダが爆発する。

飯を食っていた俺たちはあまりに突然の事だったので吹き飛ばされた。

視界が二,三度反転し漫画のように転がりながら壁に叩きつけられようやく動きを止める。

しかし既にその時にはベランダがあったところは白煙と共に炎上していた。


俺は痛みに耐えながら立ち上がるとそこには倒れたまま動かないアリスがいた。

こんな内容、誰得かと言われれば俺得です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ