表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
露天掘をやってみたい!  作者: け~らく
・1日目(4月29日木曜日)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/32

第5話「オープニングイベントと草原の獣」

 ――4月29日9時過ぎ(リアル午後3時過ぎ)


「私が町長です」

 壇上に立つ恰幅の良い髭の男性の言葉に対して行政区の広場に集まっていた(プレイヤー)達は反応が出来なかった。

「私が町長です」

 2度目の同じ台詞で広場に戸惑いのざわめきが広がっていく。

「私が町長です」

 3度目の台詞の直後4割程のプレイヤーからブーイングと笑い声が上がった。

「温故知新、良い言葉だな。私が開拓団団長兼サフナ町長のガイエルだ」

 笑い声と拍手、魔将ktkr!! 等色々な声が各所で上がる。

「(レイ、どゆこと?)」

 総司はネタがわからなかったらしい。

「(あー……うん、僕らが生まれるよりも昔の名作ゲームのネタだね。意外とレトロゲーマーいるなー)」

 ひょっとしたらプレイヤーの平均年齢高いのかも……。

「フレンド申請を出すな、却下だ却下!」

 あ、NPCにフレンド登録って送れたんだ、送ってたらファナはOKしてくれただろうか……いや、GM(ゲームマスター)が中に入って動かしてるキャラかな?

「さて、よくぞ第二次開拓団に参加してくれた、町の方から君達にはサフナの建設や開発に関わるクエストを出す予定だ。将来的には第2、第3の拠点設営や街道建設、周辺地図作成などのクエストも発注されるだろう。そこの大通りにある冒険者ギルドか商業地区にある酒場で受けてくれ、宜しく頼む」

 必要な情報だけ話すとさっと壇上から降りていった、入れ替わりに銀の鎧に身を包んだ女性が上がってくる。

「開拓団の後援国家の1つログサム王国第二王女ティアリディアーヌ・ティア・ログサムだ」

 赤みがかった金髪をポニーテールにして意志の強そうなキリっとした瞳は水色、背は160cmくらい、鍛えられ引き締まった体を銀に輝く立派な鎧に包んでいる。見た目の年齢は多分僕より下だと思うけどかなりの美少女だ。

「姫騎士きたーーーーッ!!」

 総司のテンションがヤバいと思ったら広場全体から怒涛の歓声。お姫様も流石にこの反応は予想してなかったのか数歩後ずさってる。あ、腰に佩いてる剣も意匠が凄いな、魔法剣だろうか。

 狂乱が収まるまでの数分間お姫様は若干引きつった表情のまま観察するようにみんな(プレイヤー)を見渡していた。

「コホン、落ち着いたかしら? ログサム王国からは基本的に害獣や魔物の討伐依頼を出すわ。腕に自信のある者は頑張ってくれると嬉しい。以上だ」

 生真面目な武人という雰囲気だなぁ。お姫様と入れ替わりでまた誰かが壇上に上がってきた。

「私はレズム商国から派遣されたベルド・ラシューと申します」

 おお……青い肌に捻れた2本の角、魔族じゃ……?


 ――〔ベルド・ラシュー/魔族〕


 やっぱり魔族だ、このゲームだと悪役だったりはしないのかな? 首をひねっているとそこかしこから黄色い歓声。ハンサム眼鏡だもんなぁ、銀髪も綺麗だし。

「商国の方からは物資の調達依頼や商船絡みの仕事が主となります。またエーヴ大陸では希少な珍しい品を持ち込んで頂ければ大きく査定させていただきます」

 お辞儀をすると優雅な足取りで下がっていく。後何人くらい出てくるんだろうか……今度は静謐な雰囲気を湛えライトブルーの長髪をなびかせた長身美女が登壇した。体型はスレンダーだけどクールな社長秘書さんみたいな感じ。

「オクト帝国清流騎士団団長ナーム・セズガイエと申します」

 全く隙のない所作が凄い。でも帝国かぁ、なんか怖いイメージしかない。

「踏んで下さい!」「ゴミを見るような目で見て下さい!」「罵ってください!」「女将軍タマンネ!」

 勇者達(お馬鹿軍団)がアホな叫びを上げると同時に彼女が指を鳴らした。

「ありがとうございます! ありがとうございます!」「うわぁぁぁぁっ!」

「ご褒美キター!」「ひぎぃぃぃぃぅ!!」

 寒い寒い寒い寒い!! 地面と勇者(変態)達の腰から下が凍りついてる。


 ――これまでの経験で《耐寒》がレベル1相当に達しました

 ――有効化しますか? 有効化/保留


 有効化でお願いします、寒すぎます!!


 ――《耐寒》が1.1上昇しました→2.1

 ――スキルUPに連動してVITが1上昇しました→11


 勇者(ドM)達は《耐寒》とVIT沢山上がったんだろうなぁ、全く羨ましくないけど……。凍った連中(下僕達)は根こそぎ体力バーが残り3%位まで減ってる、絶妙の匙加減だね。

「帝国からはノースランド沿岸部の魔獣討伐と鉱物資源、軍需物資の調達依頼が主になります。よろしくお願い致します。」

 騒ぎなど一切無かったかのように表情ひとつ変えず下がっていった、凄い……。

「《耐寒》《魔法耐性:水》《状態異常耐性:氷結》にVITとMENが上昇したわ、キツいけどウメェ」

 HP残3%かつ下半身氷漬けのままで総司がなんか言ってる、割に合ってるんだろうかなぁ。

 呆れていると唐突に澄んだ音が辺りに響いた。

 いつの間にか壇上にイベント前僕に殺気を叩きつけてきたエルフさんが立っている。どうやら右手に持っている長い木製の棍で床を突いた音だったらしい、場の全員が彼女に注目した。

 雰囲気に全員が飲まれたのか誰も身動き1つしない中、彼女の右手がまたゆっくりと動いて床を突いた。

「うわっ!?」

 音とともに暖かい光が広がって何も見えなくなる、一体何が……。

 光が収まって目を開くと壇上中央に若草色のドレスを着た優しそうな美女が立っていた。

「でけぇ……!」

 さっきの光の影響なのか氷が溶けてHPも全快している総司が呟いた。確かにエルフの女戦士さんよりも大きい。周囲からもマイナス補正付きでアレかよとか、NPCはマイナス補正掛からないのか? とか色々な声が聞こえる。

「みなさ~んこんにちは~。私はエルフの森の女王フェルーナ・アースレイトですよ~」

 わっと歓声が上がる。

「おっとり系金髪巨乳エルフの女王様とか最高じゃないか!」

 総司のテンションがまた上がってる、確かに綺麗で包容力ありそうな女王様だけどね。

「動植物達の循環を強化する加護を掛けたの~、いっぱい収穫してもすぐにまた育ってくるようになっているけど~、必要以上の乱獲は困っちゃうので程々でお願いね~」

「は~い」「わかりました~」「金! 髪! 巨! 乳!」「でけ~」等色々な反応が広がってる。

「それじゃ、おしまいかな~? 皆さん、ノースランドの開拓、がんばって! 楽しんでね~♪」

「おーーーーーーーっ!」

 イベントに集まったみんなの歓声が一気に広がる、僕達も楽しまないとな……。

「またね~」

 王女様が手を振ると光がまた広がっていき、収まった時にはガイエル市長たちNPC全員が居なくなっていた。


 ――オープニングイベントが終了しました。

 ――経験値+10、友好度上昇サフナ+1、ログサム王国+1、レズム商国+1、オクト帝国清流+1


「(おっしゃ! それじゃあ本探すか!)」

 総司が柔軟体操しながら個人対話を飛ばしてきた。

「(んー、総司、戦いたいんじゃない?)」

 総司の動きが止まった。

「(本探しは明日僕がやっとくから、外で戦闘の感じとか掴んでおかない?)」

「(確かに明日は道場の稽古もあるしログインする時間あんま取れないけど、いいのか?)」

 総司らしくない真面目な表情にちょっと笑いそうになった。

「いいよ、だいたいアイテム探しとか総司の担当外でしょ」

 内緒話する必要もなくなったので直接話す。

「そりゃそうだけどなぁ、むぅ」

「ついでに採掘できる場所とかも探しておきたいし。とは言え武器無いんだよね、鍛冶用ハンマーで殴るのもアリかな。スコップやつるはしという手もあるけど」

 総司は背中に大剣を背負って腰にも片手剣を吊るしてる。

「むーん……じゃあ、レイには悪いけどそれでいくか! よっし、駆け足!!」

 頬を両手で叩いて気合を入れた総司が走りだした。

「ちょ、相変わらず切り替えの早い……あれ?」

 リアルの総司ってもっと足早かった気がするんだけど、ゲーム内のAGIが低いから引っ張られてる……? まぁいいや、僕も追いかけないとね。駆け足とかダッシュとかそんな感じのスキル覚えないかなー。



「ちょ! なんやねん! 離せや!!」

 居住区に入って少し進んだ所で前方で何か騒いでいる声が聞こえてきた。

「スキル上げしとっただけやろ、離せっちゅうねん!」

 何やら訛りの強い男性が紋章の入った制式鎧っぽい姿の人達に連行されてる。

「はいはい、話は詰め所で聞くから大人しくなー」

 そのまま男性は僕達の目の前を通って連れて行かれてしまった。

「なんだったんだ?」

「さぁ? スキル上げって言ってたけど」

「何のスキル上げてたんだか」

 総司と2人で首を傾げつつも、外門へ向けて移動を再開した。



「うわぁ、草原だ……!」

 外門を抜けるとそこには一面の草原が広がっていた。

「うっしゃぁ! 狩るぜ!!」

 背中の大剣を抜くと総司が走りだした。

「ちょっと待って! PT組むとかないの?」

 走りだした総司がたたらを踏んで振り返った。

「おう、忘れてた!」

 総司が手元に窓を出して何か操作してる。


 ――総司さんからPT加入要請来ました。許可/保留/不許可


 おっけー、許可。

「よし、いくぜ!!」

 早いよーもう。総司を追いかけながら周りを見渡すとあちこちで30cm位の大きなネズミやウサギと戦ってる人が見えた、オープニングイベントに参加しなかった人や僕達みたいに町で準備せずに飛び出した人達かな?


 ――〔くさネズミ/害獣〕

 ――〔草原そうげんウサギ/獣〕


 うーん、《生物知識》で鑑定してみたけどイマイチ意味が無いような……微妙。

 それはそれとして総司がフリーの草原ウサギを見つけて斬りかかっていくのが見えた、僕もインベントリからスコップを出して右手に持つ。

「うりゃ!」

 総司が大剣を横薙ぎに振りぬくと草原ウサギはほとんど反応できずに一撃で倒された。

「ありゃ、最初の敵だしこんなもんか?」

 総司が動かなくなった草原ウサギに剥ぎ取り用ダガーを刺すとキラキラと光って消えていった。

「なんか取れた?」

 やっと総司に追いついたので聞いてみる。

「わからん、"皮?"と"肉?"って表示されてる」

「鑑定スキルがいるね」

 鑑定スキルって何種類あるのだろうか、ちょっと怖い。

「しゃーねぇ、次いくか」

「うん、町で準備してる人達が出てくる前に稼げるだけ稼ごう」

 僕もスコップを担ぎ直すと近くにいるウサギと対峙する。あちらもこっちの殺気を感じたのか即座に振り向いて身構えている。慌てず相手の動きをじっと見て隙を探る。


 ――〔草原野そうげんのウサギ/獣〕


 うん、わかってるから! 知ってるから! 表示窓が邪魔になる訳ではないんだけどじっと見ただけで発動するのがなぁ。

「……っ!?」

 出現した《生物知識》の表示窓に一瞬気を取られた隙に飛び掛ってきたのを半歩右へ身体をずらして回避、無防備な背中にスコップの腹を叩きつけた。

「うわっ……」

 草原ウサギは体勢を崩す事なく着地して反転すると即座に飛び掛ってきた、反応も回避も出来てるけどワンテンポずれる感じがする。

「このっ!」

 着地して再度反転しようとする所に右手一本でスコップを突き込む。しかし草原ウサギは身体を捻って回避を試みていた、手応えが浅い! 直撃じゃないのは明白、間髪入れずに踏み込むと左足で蹴りを叩き込んだ。

「ええぇ……」

 自分から飛んでダメージを最小限に抑えるとか、ウサギの所業じゃないよね。


 ――これまでの経験で《回避》がレベル1相当に達しました

 ――有効化しますか? 有効化/保留


 有効化で!

 うーん初戦闘でコレは先が思いやられるね……。



名 前:レイ

種 族:人間  性 別:男  レベル:1

H P:151→161/161 M P:174/174

STR:10 VIT:10→11 AGI:10

DEX:11 INT:12    MEN:18

称 号:-

加 護:《妖精の祝福1》

スキル:《採掘10》《鍛冶7》《鉱物知識5》《細工3》《木工1》

《身体バランス2》《生物鑑定1.7》《殺気感知10.3》

《耐寒2.1》←NEW 《回避1》←NEW

友好度:サフナ+1、ログサム王国+1、レズム商国+1、オクト帝国清流+1

目 標:サフナの町周辺の採掘ポイント調査、《製薬》習得、専門書を見つけてスキル取得、プライベートダンジョンを入手、ファナと再会


採掘や鍛冶仕事が出来るのは何話目だろうか。

6月14日

会話部分の改行ミスを修正、勇者達の台詞に加筆、レイの台詞を一部変更、ウサギとネズミにルビ追加。

7月21日

ルビの書式を勘違いしていたので修正

2015年12月13日

作中の日付表記を変更、一部台詞を変更

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ