第31話「掘り砕く者」
ドリブルを使って無事に衛兵詰所まで石と石材を運ぶ事が出来た。
しかしドリブルだと《運搬》上がらないっぽいね。
「おう、お疲れ様。今日もありがとうな……って珍妙な事してるがなんの呪いだ?」
昨日応対してくれた衛兵さんが出迎えてくれたけどドリブルしてる僕達を見て首を傾げてる、そりゃそうだよね。
「いやぁ、ちょっと石を詰め込み過ぎちゃったんで普通に運べなくて」
横でランペイジさんもうんうんと頷いているけど衛兵さんは不思議そうな表情のまま。
「よくわからんが、とりあえず石の納入だな?」
「あ、はい、お願いします」
インベントリと猫車から石と石材を取り出して床に置いていく。
「ちょ、ちょ、多い、多いって」
僕とランペイジさんが出した石の量を見て衛兵さんが慌てて奥の控室へ声を掛けて応援を呼んでいる。
そんな事言われても採掘したのと大岩石オオヤドカリドロップ6人分の石だから仕方ないよね。
「ひとまず時間が掛かりそうだし待たせるのも悪いから精算はこっちでやって報酬は冒険者ギルド経由で払っておくよ」
最後の石材を床に置く。
「わかりました、これで全部ですね」
「ワシもこれでラストだの」
「OKOK、後は任せてくれ。あと2人とも"掘り砕く者"を得てるな、後で鍛冶ギルドの受付に顔を出しておくと良い、色々と便宜を図ってくれるはずだ」
"掘り砕く者"って大岩石オオヤドカリを倒した時に得た称号だけど……えっとメニューから詳細表示出来るかな?
"掘り砕く者"
石系モンスターを砕いた者に与えられる称号
《採掘》《鍛冶》に関係するNPCや組織からの友好度上昇
称号獲得でイベントがあるのかな、鍛冶ギルドに行ってみればわかるよね。
「それでは精算はお任せしますね」
衛兵さんに会釈。
「ランペイジさんはどうされるんですか? 一緒に鍛冶ギルドへ行きます?」
「む、ワシはログアウトだな。明日も早くての」
仮想ウィンドウの時計を見ると午後6時を過ぎてる、リアルだと日付変わってるのか。
「僕は鍛冶ギルドに寄ってからログアウトかな、それではランペイジさんお疲れ様でした」
あらためてお世話になったランペイジさんにお辞儀をする。
「うむ、また縁があれば、だの」
ぬんっと気合を入れてポーズを決めてから去っていった。
うーん、やっぱり凄い筋肉だ。
さてさてそれでは西門前の衛兵詰所から出て鍛冶ギルドへ急いで行こう。
――《運搬》が0.1上昇しました→13.2
――《ランニング》が0.1上昇しました→1.7
納入した石以外の収穫物が入った猫車を押して鍛冶ギルドへ到着、相変わらず外からだと槌の音とかの作業音が一切聞こえない。
そして中へ一歩入ると作業の音が押し寄せてくる、遮音の魔法とかあるんだろうか、不思議だよね。
ひとまずギルドの受付らしきカウンターへ行ってみよう。
「おぅ? おーおーよー来た、よー来た。鍛冶ギルド会員になるか? なるな?」
黒髪黒髭のドワーフの男性がゆったりした口調で畳み掛けてきた。
「え、えっと……?」
これが称号でのイベントなのかな?
「会員特典あるぞ、あるぞ。これ作ってくる、よろしく、よろしく」
え? え?
鍛冶初級レシピ2って書いてある本と銅のインゴットに木片を渡された。
――「鍛冶ギルド入会試験1」クエストを受注しました。
――鍛冶初級レシピ2を読んだ後、渡された材料で「銅の包丁」「銅のダガー」をそれぞれ5つ作成しましょう。
おぉ、生産系クエスト!
勝手に受けた事になってるけど……まぁ、気にせずにやってみよう。
さてさて、入会試験中は炉が無料らしいのでありがたく使わせてもらう事に。
まずはレシピ2にざっと目を通してみる……銅の包丁、銅のダガー、銅のナイフ、銅のフォーク、銅板が作れるらしい、日用品もあるんだ。
渡された木片は包丁とダガーの柄になるのか、では早速。
――《鍛冶》が0.1上昇しました→10.5
――スキルUPに連動してDEXが1上昇しました→49
――《耐暑》が0.2上昇しました→2.7
――スキルUPに連動してVITが1上昇しました→35
【武器】銅の包丁 斬突 価値1 攻撃力+2 耐久30 重量0.1
製作者:レイ
基本対応スキル:《料理》《短剣》
料理に使う銅製の刃物、戦闘には向かない
【武器】銅のダガー 突 価値1 攻撃力+1 耐久20 重量0.1
製作者:レイ
基本対応スキル:《短剣》
銅製の小型刃物、刺突には使えるが斬撃には向かない
――《武具鑑定》が0.1上昇しました→4.7
むむ、普通の出来かな?
ひとまず後4本ずつ作ってしまおう。
――《鍛冶》が0.3上昇しました→10.8
――スキルUPに連動してDEXが1上昇しました→50
――《耐暑》が0.6上昇しました→3.3
――スキルUPに連動してVITが1上昇しました→36
――《武具鑑定》が0.2上昇しました→4.9
結局耐久が1多いのが1つ出来ただけで後は普通の出来だった、なんだか悔しい。
「すみません、これで良いですか?」
さっきのドワーフさんの所へ依頼品を持っていく。
「おーおーよー出来とる、出来とる。次な、次な」
今度はレシピと銅に銅板と木の盾、布、糸を渡された。
――「鍛冶ギルド入会試験1」クエストを達成しました。
――報酬として鍛冶初級レシピ3を受け取りました。
――「鍛冶ギルド入会試験2」クエストを受注しました。
――鍛冶初級レシピ3を読んだ後、渡された材料で「銅のハチマキ」「銅の腕輪」「ウッドシールド」をそれぞれ1つ作成しましょう。
さてさて、レシピ3をざっと読む、銅のハチマキ、銅の腕輪、ウッドシールド、青銅の作り方が載ってる。
渡された木の盾が気になるけどひとまずハチマキから。
――《鍛冶》が0.1上昇しました→10.9
――《裁縫》が0.2上昇しました→1.2
――《耐暑》が0.1上昇しました→3.4
【頭】銅のハチマキ 価値2 防御力+1 耐久15 重量0.2
製作者:レイ
基本対応スキル:《軽装》
布で作ったハチマキに薄い銅板を縫い付けた簡素な頭防具
うん、普通……アイラさんが作った皮の帽子の方が遥かに良い、当たり前だけど。
というかこれもうちょっとしっかり銅板入れたら銅の鉢金になりそうだよね、後でやってみようかな。
それはさておき次は銅から腕輪を作成。
【腕】銅の腕輪 価値2 防御力+1 耐久20 重量0.2
製作者:レイ
基本対応スキル:《軽装》
銅で作られた腕輪
防御能力は低く、装飾もされてない為価値は低い
――《細工》が0.2上昇しました→3.2
――《耐暑》が0.1上昇しました→3.5
むむむ、これも革製品の小手の方が性能は上っぽい?
あと《鍛冶》上がらずに《細工》が上がってるし……。
それと装飾って事は細工道具とかあれば色々手を加えられるのかな?
最後はウッドシールド……鍛冶? と思ったけど、木の盾を銅で補強する形で作るみたいだね。
で、木の盾がこれ。
【小盾】木の盾 価値2 防御力+2 耐久20 重量0.5
基本対応スキル:《小盾》
木で作られた小型の円盾
防御能力は低く、耐久性も低い
レシピを見る限り銅板で縁と裏側を補強すれば良いみたい。
――《鍛冶》が0.1上昇しました→11.0
【小盾】ウッドシールド 価値2 防御力+3 耐久25 重量0.8
製作者:レイ
基本対応スキル:《小盾》
木で作られ銅板で補強された小型の円盾
防御能力は低く、耐久性も低い
あまり変わらない、元が元だから仕方ないかな。
3つを持ってカウンターへ。
「おーおー、お疲れ、お疲れ。これからよろしく、よろしく」
――「鍛冶ギルド入会試験2」クエストを達成しました。
――報酬として鍛冶初級レシピ4を受け取れます。
ドワーフさんから新しいレシピを受け取った。
「会員、会員、新しいレシピ、レシピ、買える。がんばれ」
――鍛冶ギルドの正規会員になりました。
――鍛冶ギルドで新しいレシピの購入が可能になりました。
――鍛冶ギルドで中級炉の使用が可能になりました。
――清流騎士団との友好度が5上昇しました。
――レズム商国との友好度が5低下しました。
新しいレシピ! これは嬉しい……けど、友好度の上下も気になる。
帝国とレズム商国って仲が悪いのかな?
むむむ、世界設定とか調べてないから知らないんだよね、今度総司に聞いておこう。
あと購入可能品リストにいくつもレシピが増えるけど、採掘帰りでお金持ってきてないから買えないし!!
がっかりしつつ中級炉の部屋へ移動。
中級炉を使って鉄鉱石と銅鉱石を溶かしてインゴットへ……昨日よりも明らかにロスが減ってるけどステータスやスキルというよりも中級炉を使ってるせいかもしれない。
作ったインゴットで色々作ってみたいんだけど時間が遅い、土曜はバイトだからそろそろログアウトして寝ないと流石に支障が出そうだし今日はここまで。
「今日はありがとうございました、お疲れ様です」
「おーおー、お疲れお疲れ、またのー」
黒髪黒髭のドワーフさんに挨拶して鍛冶ギルドを出た。
鉄鉱石と銅鉱石をインゴットにしたのでだいぶ荷物が軽くなったけど《運搬》上げたいし猫車を押しながらでいいかな。
あと《鉱物知識》で鑑定出来なかった石がいくつかある。
これはもっとスキル上がらないとダメかなぁ、大岩石オオヤドカリの岩殻を掘ってる時に手に入ったものっぽいんだけど……。
うーん、考えながら猫車を押していると僕の横を《バックステップ》で駆け抜けていく人が居たり、《ショートダッシュ》で小刻みに前進を繰り返してる人が居たり結構カオスだ……みんなスキル上げ中かぁ。
片足立ちでケンケンしながら前進してる人は《身体バランス》上げかな?
しばらく進むと物陰にしゃがんでゆっくりと移動してる人がいた、なんだろ《忍び足》? 《潜伏》かもしれない、両方?
みんな色々スキル上げてるんだな、僕も頑張らないとね……明日から。
「ただいまー」
眇の妖精亭に帰宅、夕食の混雑後半戦って感じの喧騒に迎えられた。
ガンツさんはカウンターで忙しそうにしてる。
ファナは……奥のテーブルで他のNPCと話をしてるみたいだ、僕に気付いて手を振ってくれたので手を振り返す、ちょっと嬉しい。
あれ、後ろ姿しか見えないけどあのライトブルーの長髪にあの制服って……もしかしたらファナの話し相手って帝国清流騎士団団長のナーム女史じゃないかな?
前に彼女の事をナームちゃんって呼んでたし親しいのかもしれない、などと考えつつ自室へ到着。
さて、時間も時間だしさっさとログアウト……の前に、インゴットと鉱石、採掘道具をベッド脇の箱に入れる。
んー、採掘やボス戦に鍛冶仕事やって汚れたし汗かいたしシャワー浴びよう、明日ログインした時に気持ち良く始めたいからね。
名 前:レイ 種 族:人間 性 別:男 レベル:13
H P:519→539 M P:414
STR:58 VIT:34→36 AGI:36+1
DEX:48→50 INT:28 MEN:22 余剰:10
《片手剣12.8》《片手刺突剣3.4》《片手鈍器3.3》《槍8.2》
《蹴撃3.4》《投擲/片手剣1.0》《投げ2.4》
《回避3.0》《武器受け4.1》《軽装2.9》
《動物調教2.1》
《地魔法1.4》《水魔法1.3》《火魔法1.2》《風魔法1.3》
《光魔法1.1》《闇魔法1.0》
《採掘18.3》《鍛冶11.0↑》《細工3.2↑》《木工6.4》《裁縫1.2↑》
《製薬1.0》《伐採1.0》
《耐暑3.5↑》《耐寒2.1》
《状態異常耐性:恐慌1.0+0.2》
《身体バランス10.8》《ランニング1.7↑》《ショートダッシュ1.4》
《バックステップ1.4》《握力7.5》《跳躍0.4+0.2》
《解体1.1》《運搬13.2↑》
《殺気感知11.6》《気配察知2.0》
《荷車革命11.3》
《生物知識10.8》《鉱物知識10.3》《植物知識6.5》《武器鑑定4.7↑》
《防具鑑定8.3》《食材鑑定5.3》《素材鑑定5.9》
余剰:スキル15未満3、10未満1
〈切り上げ〉〈二連斬り〉〈二段斬り〉
〈薙ぎ払い1〉〈十字斬り〉
〈直突き3〉〈螺旋突き1〉〈二連突き1〉〈三連突き1〉
〈二段突き〉〈槍撃三段1〉
〈叩き伏せ〉
入手レシピ
魔法地初級、魔法水初級、魔法火初級、魔法風初級
魔法光初級、魔法闇初級
木工初級
細工初級
裁縫初級
鍛冶初級1、2、3、4
今日の予定
◯西門外で採掘
◯衛兵詰所に石を納入
△集めた鉱石で鍛冶上げ




