第29話「採掘ポイント:大岩石オオヤドカリの背中」
お久しぶりです、かなり短いです。すみません。
あ、これ楽しいかも。
大岩石オオヤドカリにツルハシを振り下ろすたびに岩殻が砕けて落ちていく。
普通の採掘ポイントだと採掘しても岩に変化が無いから物足りないんだよね。
ファナが言ってたプライベートダンジョンが手に入ったらこういう感じで掘れるのかな?
なんか更にやる気が湧いてきた……!
「鋏が光ってます! 注意して!!」
ろくろ回しさんの声が響く。
しまった、掘るのが楽しくて失念してた。
ツルハシをインベントリに慌てて戻すと伏せて岩殻にしがみつく。
同時に風切り音、イベリコさんが光る大鋏に矢を撃ち込んだみたいだけど弾かれてる。
溜めが終わって大岩石オオヤドカリが大鋏を振り回すように一回転を始めた。
「うわわわっ!?」
これは気合入れてしがみつかないと振り落とされる!
「くぅぅぅ」
気合でこらえていると激しい動きがやっと止まった。
インベントリから再度ツルハシを出しつつ状況確認。
吾郎佐さんは、巧く凌いでるけどちょっと疲れからか集中力落ちてるように見える。
ろくろ回しさんは、MP消費を抑える為か少し下がって支援魔法の継ぎ足しのみに注力してる。
リゲルさんは、だいぶ慣れてきたのか小型の左鋏を上手に躱してしっかり反撃を入れている。
イベリコさんは、細かく立ち位置を変えつつ要所要所で矢を撃ち込んで前衛2人のフォローに専念かな?
大岩石オオヤドカリの攻撃に合わせてカウンターで関節部に矢を撃ち込んで勢いを削いでいる。
ランペイジさんは、物凄い勢いで地上から岩殻を砕き落としていってる。
……これは負けてられないよね!
よし、最後の採掘ポイントもだいぶ削れてきた。
「上面そろそろ終わります!」
「側面はもう一息だの」
え、ランペイジさんの声が最初と反対の側から聞こえた。
もう背面も終わってリゲルさんの近くまで、掘るの凄く早い!
驚いていると……んん?
イベリコさんが弓を大きく引き絞ってるのが見えた。
手元と鏃が光ってるしチャージ系の戦技?
「鋏がまたきますよ!」
大岩石オオヤドカリが振り上げた右の大鋏が光りだす。
その瞬間、ズガンと鈍く響く音がしてイベリコさんの矢が大鋏に突き刺さった。
うわっ、凄いな……大岩石オオヤドカリの動きが完全に止まった。
チャンス、今のうちに全部砕いて離脱しよう!
「上面終わりますよー」
言葉と共にツルハシを振り下ろすと最後の岩殻が砕け散って大岩石オオヤドカリの柔らかい内部があらわになった。
よし、これで楽にダメージを通して倒せる。
「あっ!」
リゲルさんの声が聞こえたと思ったら視界がひっくり返った。
浮遊感が僕を包む……よくわからないけど空中に放り出されたのは確か、地面はどっちだ?
落下し始めた事で地面とのたうち回っている大岩石オオヤドカリが見えた、他のみんなが慌てた様子で僕を見上げてるのも見える。
この高さなら受け身を取ればダメージは受けるだろうけど大丈夫なはず、未だに離さずに左手に握ってたツルハシをインベントリに収納。大丈夫、落ち着いてる……いける。
意識を集中して落下の衝撃に備える。
「……あれ?」
思ったよりも柔らかい衝撃。
「大丈夫?」
目立つピンクの髪と綺麗な顔立ちの女性が僕を覗き込んでくる。
「あ、えっと、はい、大丈夫です」
ゆっくりと地面に足から降りる、どうやらイベリコさんが抱き止めてくれたらしい、結構離れた位置にいたと思ったんだけど……。
「これで貸し借りは無しね?」
離れ際に耳元で囁かれた、貸し借り?
首を傾げつつ大岩石オオヤドカリを見るとランペイジさんと吾郎佐さんのパワーファイター2人が凄い勢いで武器を叩き付けていた。
リゲルさんは2人の勢いにちょっと引き気味になりつつも片手剣で剥き出しになった柔らかい部分へと斬りつけてダメージを与えている。
これは早く戦線復帰しないとボス相手にスキル上げるチャンスを逃しそう!!




