第26話「猫派? 犬派?」
猫を飼ってますが、犬も好きです。
――4月30日16時前(リアル午後10時前)行政区冒険者ギルド前
冒険者ギルド前の通りは昨日以上に沢山の人達が行き交ってる。
まさかデスゲーム化や致命的な不具合を警戒して様子見してた人達が大丈夫と見て一斉にプレイ開始したとかだったりして……なんてね、連休前の金曜夜だからだよね。
ひとまず冒険者ギルドでクエストアイテムの"大狼の牙"を換金してから受けられるクエストの確認をしよう、明日以降の行動指針になるといいなぁ。
ということで冒険者ギルドに入った。
初めて来たけど中は広い、広いんだけど大勢のPC達でごった返しているせいで狭く感じる。
今夜から開始っぽい初期装備の人がかなり目立つ、まぁ僕も麻の服しか着てないから見た目は一緒なんだけどさ。
さて、複数ある受付窓口の行列の短い所に並ぶ。
行列の長い所は受付が女性、やっぱりみんな正直だよね。
あ、女性ばかり並んでる列もあった、若い男性が受付だ。
「次の方どうぞ」
「あ、はい」
《生物知識》上げを兼ねてギルド内の人達を見てると順番が回ってきた。
「これ、納入するクエストありますよね?」
大狼の牙を5本をカウンターに置いて受付に座る犬耳のおじさんに確認を取る。
「うっほ……これりゃまた大物を狩ってきたな。苦労したろ?」
おじさんの犬耳がパタパタ動いている……流石に可愛くないなぁ、これ。
「仲間とがんばったのでなんとかなりました」
みんなで頑張ったもんなぁ。
「おうおういいねいいね、青春だ。っと、これだな"サフナの一匹狼討伐"報酬は金貨1枚と中銀貨2枚で牙5つだから金貨6枚か、確認取るから身分証出してくれ」
インベントリから身分証を出して渡すと犬耳のおじさんがなにやら魔法のアイテムっぽい板に乗せた。
「はいOK、じゃあ報酬な」
身分証と金貨6枚がトレイに乗って返ってくる。
金貨1枚で銀貨100枚、銀貨1枚で5000円くらいだから……約300万円、なんかクラクラしてきたかも。
「鍛冶系向けのクエストって何かありますか?」
大金入手にちょっとびっくりしてたけどもう一つの目的を果たそう。
「ん? 鍛冶系のクエストか、あっちの掲示板に張り出してあるが」
犬耳のおじさんが指さした方を見ると色々貼ってある……けど見てる人はあまり居ない。
「正直鍛冶ギルドで受けた方が実入りは良いな、大口の依頼もあるし種類も多い」
そういえば昨夜鍛冶ギルドでクエストのチェックしてなかった、迂闊。
「ここで受けるなら討伐系、あっちな」
犬耳のおじさんが別の掲示板を指差す、あっちは凄い人だかりになってる。
「まー各ギルド毎にクエストがあるから一通り周って見ておくといい」
「なるほど、ありがとうございました」
お辞儀をしてから受付を離れる。
さて、討伐クエストの一覧を見たいんだけど……人が多過ぎて近付けそうもないや。
もう採掘に行こうかな、害獣系の討伐なら大抵クエストにあるだろうし確認しなくても平気だよね。
冒険者ギルドから外に出たけどほんっとに人が多い、ネットゲーム的には良い事なんだろうけど。
お陰でさっきから《生物知識》とINTが結構上がってる。
――《生物知識》が0.1上昇しました→10.0
――スキルUPに連動してINTが1上昇しました→27
――《生物知識》の効果が開放されました
何か効果が増えたみたい、なんだろ?
適当にそこら辺の人を《生物知識》で見てみる。
――〔戦士風の人物/人間〕
――〔魔法使い風の人物/エルフ〕
――〔鍛冶師風の人物/ドワーフ〕
――〔冒険者風の人物/人間〕
――〔剣士風の人物/人間〕
――〔盗賊風の人物/獣人(猫)〕
――〔サフナ衛兵/人間〕
――〔サフナ衛兵/リザードマン〕
んんん?
スキル解説でちゃんと確認。
《生物知識》知識スキル
生物として認識した対象の情報を表示
→基本種族
対象生物の名前を表示
→既知の固有名を表示
→知らない対象は不確定名を表示
→→やや詳しく表示←NEW
対象生物との関係を表示
→友好的なPCを青で表示
→同一クランメンバーを緑で表示
→同一PTメンバーを水色で表示
→友好的な生物を白で表示
→中立生物をオレンジで表示
→敵対生物を赤で表示
対象生物のステータスを表示←NEW
→対象のステータス上昇を表示←NEW
→対象のステータス下降を表示←NEW
→対象のステータス異常を表示←NEW
PCの表記が冒険者風のみだったのが戦士風とか魔法使い風とかなってたのもスキル上昇の恩恵だったのね……意味あるんだろうか。
でも、最後のステータス表示機能は戦闘でかなり便利だと思うし、スキル上昇で効果が増えていくならやっぱり知識系はどんどん使っていく方が良いよね。
――〔商人風の人物/人間/酩酊〕
あ、酔っぱらいはステータス異常扱いなんだ。
顔を赤くしたPCがふらふらと千鳥足で歩いて行ったのをなんとなく見送ってしまった。
それじゃ気を取り直して居住区西側へ移動だ、当然《生物知識》と《ランニング》上げも兼ねる。
――《生物知識》が0.8上昇しました→10.8
――スキルUPに連動してINTが2上昇しました→24
――《ランニング》が0.3上昇しました→1.6
――スキルUPに連動してVITが1上昇しました→31
西門近くの通りで昨日話をした衛兵さんと挨拶を交わした、見回り中かな?
それにしてもたまに《ショートダッシュ》や《バックステップ》を繰り返して移動してるPCがちらほらいるけど、怒られないんだろうか?
そんなこんなで門へ到着、門衛さんと軽く挨拶をしてから岩場が広がる西エリアへ。
さあ掘ろう、インベントリには午前中に港のバザーで買い込んだ性能が少し高めのスコップとツルハシが満載だ。
――《採掘》が2.8上昇しました→13.5
――スキルUPに連動してSTRが4上昇しました→49
――《鉱物知識》が2.1上昇しました→.9.1
――スキルUPに連動してINTが3上昇しました→27
――《運搬》が2.3上昇しました→13.1
――スキルUPに連動してSTRが1上昇しました→50
――《荷車革命》が0.7上昇しました→11.3
――スキルUPに連動してSTRが2上昇しました→52
――スキルUPに連動してVITが3上昇しました→34
――《握力》が2.9上昇しました→6.2
――スキルUPに連動してSTRが2上昇しました→54
はっ!?
無心で掘り続けてしまった、木製猫車も一杯だし色々上がってる。
一旦戻って衛兵詰所で石の納入をしてこよう。
戻る途中西門の前で昨日のマッチョさんを発見。
今日も石納入クエストをやってるっぽい、やっぱり凄い筋肉だなぁ……。
あ、目が合った、どうしよ。
どうしようかと戸惑ってるとマッチョさんが笑顔で両腕を曲げて力瘤、ダブルバイセップス……だっけ? ポージングしてくれた、サービス精神旺盛な人みたいだなぁ、拍手を返すと親指を立ててニッと素敵な笑顔、健康的な白い歯がキラッ。
思わずサムズアップを返してしまった、うーん見た目通り濃いキャラでした。
さてさて、石の納入を済ませて岩場へ戻ると……人増えたなぁ。
昨日よりも人が多い分取り合いになるかと思ってたけど、《鉱物知識》で反応する採掘ポイントも増えてる気がする。
フィールドの人数に対応して湧き数が変わってるのかもしれない、そうだとありがたいんだけど。
でも岩ネズミまで増えててちょっと邪魔、狩る人全く居ないし。
「きゃっ」
改めて空いてる場所で採掘してると近くで女の子の悲鳴が聞こえた。
「大丈夫? オレがやってみるよ」
声のした方を見ると小柄な獣人2人組が身体のサイズに合わないツルハシで採掘をしようとして四苦八苦してる、2人とも中学生くらい? 小学生かもしれない。
むむむ、採掘ポイントじゃない岩にツルハシを打ち込んで弾かれてる、教えてあげた方が良いかな?
「こんにちは、ちょっといいかな?」
ツルハシを弾かれて尻餅をついてる子に手を差し伸べつつ声を掛ける。
「ありがと、で、オレらになんの用だよ、にーちゃ……ねーちゃん?」
立ち上がった茶系短髪の犬耳少年――オレって言ってるし多分少年――が連れの三つ編み黒髪の猫耳少女を後ろにかばうようにしてこちらを見上げる。
「にーちゃんでお願いします。で、2人は《鉱物知識》ってスキル持ってる?」
2人の様子を伺うと顔を見合わせた後同時に首を横に振った。
「やっぱりかぁ、《鉱物知識》が無いと採掘するのはかなり苦労するから覚えておいた方が良いよ。例えば、今2人が掘ろうとしてた場所は《鉱物知識》があると掘ってもダメな場所ってのがわかったりもする」
んー、2人ともちゃんと話は聞いてるけどピンときてないっぽいなぁ。
「で、掘ったら石や鉱石が出る場所もわかるようになるんだ。例えば……そこの右側にある岩ね。ちょっと掘ってみて」
また2人で顔を見合わせると犬耳少年の方が頷いて僕が示した岩にツルハシを振るった。
「わ、石が採れた! チホもやってみなよ!」
犬耳少年大はしゃぎ。
「う、うん」
猫耳少女も恐る恐るツルハシを使って採掘する。
「わ、採れたよ!」
2人ともとても嬉しそうだ。
「にーちゃんすげぇな! 《鉱物知識》って奴を覚えればいいのか!?」
犬耳少年が目をキラキラさせて詰め寄ってくる。
「ちょっとユーキ、言葉遣い」
猫耳少女が犬耳少年をたしなめる。
「え、あ、うー……ごめんなさい」
犬耳がぺたんとしてる、凄いなNLO。
「気にしなくていいよ、それで《鉱物知識》だけど……覚える方法はちょっと退屈かもしれないけど我慢してね」
インベントリから石を1つ出して2人に見せる。
「この石をを3秒くらいじっと見つめてみて」
2人とも頷いて真剣な目で見つめる。
「OK、次はこれね」
「だーっ! つまんねー!」
15個目で犬耳少年がひっくり返って大の字に、そのまま動かなくなった。
「わ、私は大丈夫なのでお願いします」
猫耳少女が慌ててフォローするように声を出す。
うん、いいコンビだなぁ、微笑ましい。
「りょーかい、次はこれ」
たまに鉄鉱石や銅鉱石も混ぜつつ25個目。
「あ! 覚えました!」
猫耳少女の声に動かなくなっていた犬耳少年が飛び起きた。
「マジ!?」
かなりびっくりしてるなぁ。
「ん、キミも覚える?」
犬耳少年に新しい石を見せると物凄い勢いで頷かれた、子供って現金だよね。
名 前:レイ 種 族:人間 性 別:男 レベル:12
H P:509 M P:394
STR:45→54 VIT:30→34 AGI:31+1
DEX:43 INT:22→27 MEN:21 余剰:6
装備:布の服、布のズボン、木靴
《片手剣11.6》《片手刺突剣3.4》《片手鈍器3.3》《槍8.2》
《蹴撃2.7》《投擲/片手剣1.0》《投げ2.4》
《回避2.7》《武器受け3.4》《軽装2.9》
《動物調教2.1》
《地魔法1.2》《水魔法1.3》《火魔法1.1》《風魔法1.1》
《光魔法1.1》《闇魔法1.0》
《採掘13.5》《鍛冶10.4》《細工3.0》《木工6.4》《裁縫1.0》
《製薬1.0》《伐採1.0》
《耐暑2.5》《耐寒2.1》
《状態異常耐性:恐慌1.0+0.2》
《身体バランス3.6》《ランニング1.6↑》《ショートダッシュ1.1》
《バックステップ1.0》《握力6.2↑》《跳躍0.0+0.2》
《解体1.1》《運搬13.1↑》
《殺気感知11.6》《気配察知1.6》
《荷車革命11.3↑》
《生物知識10.8↑》《鉱物知識9.1↑》《植物知識6.5》《武器鑑定4.6》
《防具鑑定8.3》《食材鑑定5.3》《素材鑑定5.9》
余剰:3
〈切り上げ〉〈二連斬り〉〈二段斬り〉
〈薙ぎ払い1〉〈十字斬り〉
〈直突き3〉〈螺旋突き1〉〈二連突き1〉〈三連突き1〉
〈二段突き〉〈槍撃三段1〉
〈叩き伏せ〉
今日の予定
西門外で採掘
衛兵詰所に石を納入
集めた鉱石で鍛冶上げ
2015年12月13日
時間表記を変更




