第13話「出会いと初めての鍛冶」
初めて感想を頂きました、嬉しすぎてテンション上がりすぎました。返信は落ち着いてから書かないと危険ですね。
――4月29日19時前(リアル午前1時前)
猫車を押しながら商業区の外れへ向かう、各店舗や屋台の明かりで想定してたよりは明るいし人もかなり多い。
――《生物知識》が0.5上昇しました→3.5
すれ違う人達やお店の中をチェックしてみると冒険者も多いけど町の人も結構多い。屋台で食事をしている人、千鳥足でお店から出てくる人、狩りの収穫を分配しながら宴会しているPT、巡回する衛兵、様々な姿が見られる。
そしてそんな喧騒が減り、少し薄暗く人通りの減った道をガンツさんから借りたカンテラで照らしながら進むと前方から大きな明かりが見えてきた。
あれ? 未開放エリアなのに人が入っていくのが見えた。開放されるのって5月1日からだったんじゃ……。
首を傾げつつ近付いてみると入り口で立ち往生してる人もちらほらいる、みんなPCみたいだしNPCだけが出入り可能なのかな。
さてさて、僕はカリンさんを探さないとね……猫耳さんはいるかな?
往来の邪魔にならないように少し離れた場所から色街の中を探ってみる、通りの右手にある建物はオープニングイベント前に美人のダークエルフさんがいた建物だ。
通りを挟んだその建物の向かい側はレストランっぽい建物で何人かのNPCが入っていくのが見えた。女の子のお酌で食事とかそういうお店かな?
と、そのレストランからメイドっぽい格好をした猫耳の女の子が出てきてこちらに歩いてくる、カリンさんだろうか。
しかし、声を掛けようと一歩踏み出した所で別の人に先を越された。何か僕みたいにクエスト受けてる人かな?
ひとまず近くで用事が終わるまで待とうかな。
「キミ可愛いね、名前教えてよ」
あら、ただのナンパだったり?
「ニャッ? えっと、その、困りますニャ」
ニャ語尾! それはそれとして本当に困ってるのか猫耳がペタンとなってる。
「まぁまぁ、そう言わずにさ」
割り込んだ方が良さそう。
「あのー、すみません」
「あ? ぁんだよ、邪魔すんなよ」
わ、なんか凄まれた。
「えっと、クエスト受けててその子に用があるんですけど」
正直に言おう、嘘ついても仕方ないし。
「あーマジ? クエスト用NPCかよ。口説いて損した」
あれ、なんで損?
「え、どうしてですか?」
つい聞いてしまった。
「どうしてって、おめークエスト用のNPCなんてどうせ誰かがクエスト受けてる間しか出現しねーだろ、口説くだけ無駄じゃねーか」
そういうものなのかな? よくわからないや、首を傾げてる間にナンパ男は何処かへ行ってしまった。
「とと、カリンさん?」
まだおどおどしてる猫耳さんに声を掛ける。
「ニャッ! ハイ、ですニャ」
茶色のショートヘアを揺らして猫耳さんが頷く、どうやらカリンさんで合ってたみたい。
「これ眇の妖精亭のガンツさんから頼まれ物ね、ちょっと重いから気をつけて」
インベントリから出した"眇の妖精亭の紙箱"を渡した。
「あ、ハイですニャ」
膝下くらいの丈のスカートの後ろ部分が揺れてる、尻尾かな?
「じゃあ、僕は他にも用事があるのでこれで行きますね」
軽く会釈する。
「ニャ! え、と、ハイですニャ」
カリンさんもわたわたと会釈を返してくれた。可愛い仕草でちょっと和む。
さて、メモってた情報を見ると魔法使いギルドがここから一番近いはず、魔法だよ魔法!
総司が風魔法使ってたけど僕はまだ何も覚えてないし楽しみだなぁ。
――《運搬》が0.3上昇しました→5.3
――スキルUPに連動してSTRが1上昇しました→31
商業区を抜けて行政区へ、オープニングイベントがあった広場へ向かう大通りの手前側にある杖と書物があしらわれた看板が出ている大きな建物、ここだ。
逸る気持ちを抑えて中に入る。
室内はかなり明るい、魔法の明かりかな?
ぐるっと見回すと左手側に本棚、正面に受付カウンター、右手側は魔法の練習場っぽい。
ひとまず右も左も分からないので受付カウンターへ。
「すみません魔法を覚えたいのですけど、どうすれば良いですか?」
うつらうつらしているおじさんに声を掛ける。
「んぁが……? ぁ、お、おおぅ! 新人さんか」
おじさんが慌てて居住まいを正してキリッとした表情になる。
「あー、そっちの本棚の手前に初級本があるからそれを読めばOKだ、必要な属性の本を買えばいい」
本を読むとスキルが1.0になって習得になるのかな。
「ありがとうございます、選んできますね」
礼を述べて本棚へ向かおうとするとおじさんに呼び止められた。
「あー、初級本1冊銀貨1枚するからしっかり吟味した方がいいぞ」
意外と高い、本棚にある初級本は地、水、火、風、光、闇の6冊、銀貨6枚かぁ。
「あの、これ1冊買って回し読みとかしてもスキル覚えられますか?」
カウンターのおじさんに声を掛ける。
「あー、無理だ。1冊読み切ると消滅するんだ、酷い話だよ」
言ってから慌てて口をつぐむおじさん、寝起きでうっかり本音が出たのかな。
ひとまずは自分の分の6冊かな。
「お、おいおい、大丈夫か?」
6冊の初級本を持って受付に戻った僕を見ておじさんが驚いてる。
「お昼それなりに稼いでたので大丈夫ですよ」
本と一緒に中銀貨1枚を出す。
「お、おう、初日で中銀貨をぽんと出せる奴が出るとはねぇ」
総司と2人でがんばったもんなぁ。
「ほいじゃ、お釣りだ」
銀貨4枚を受け取ると本と一緒にインベントリへ仕舞う。
インベントリの表示窓の端にある時計は午後7時20分となっていた、まだ時間は……あれ、リアルだと午前1時20分?
じっくり見て回るのは明日以降にしないとマズい、駆け足!
木工ギルドで初級レシピ、細工ギルドでは初級レシピを、裁縫ギルドでは初級レシピに布、針や糸、鋏が入った初級裁縫セットを購入した。
錬金術ギルドにも行ってみたけどある程度《製薬》を上げないとダメらしい、という事で薬学ギルドで初級レシピ、すり鉢とすりこぎと作ったポーションを入れるガラス瓶を購入した。
――《運搬》が2.1上昇しました→7.4
――スキルUPに連動してSTRが2上昇しました→33
――《荷車革命》が0.1上昇しました→5.0
――《ランニング》が0.1上昇しました→1.1
よし! まだ8時にはなってないし待望の鍛冶ギルドへ!!
逸る気持ちを抑えて鍛冶ギルドに入るといきなり槌の音が聞こえた。外だと全く聞こえなかったのに、防音の魔法とか掛かってるのかな?
まずは銅貨5枚で鍛冶初級レシピを購入、ざっと読んでみると鉄と銅の精製と銅の剣の作り方が載っていた。
このレシピも魔法の初級本と一緒で読んじゃうと消えるのかな?
読み終わったレシピを見ていると突然表示窓が表示されてレシピがそこに吸い込まれていった。
びっくりした……表示されたままのメニューに生産レシピの項目が追加されてる、消滅するってこういう事だったのね。
気を取り直して奥の鍛冶場を覗くと結構な人数のPCとNPCが作業をしてる、すごい熱気に圧倒されそうだ。
いやいや、僕もあの中に加わらないとね!
30分間の利用料として中銅貨3枚を受付で払って空いてる初心者用の炉へ移動、利用料には備品やコークスのお代も含まれてるらしい。
猫車から鉄鉱石と銅鉱石を取り出して積み上げていく、周囲がどよめいた気がするけど何かあったんだろうか……気になるけど時間もないし作業に集中しよう。
レシピの手順通りに鉄鉱石を溶かして不純物を取り除く、まだ《鍛冶7》だからかちょっと失敗も多いし手際も悪い、504個あった鉄鉱石から"インゴット/鉄"が187個作れた。
――《鍛冶》が1.3上昇しました→8.3
――スキルUPに連動してDEXが2上昇しました→22
――これまでの経験で《耐暑》がレベル1相当に達しました
――有効化しますか? 有効化/保留
《鍛冶》は上がったけどこの結果は厳しい、スキルレベルがまだまだ足りてないみたいだ。
レシピの解説によると適正のスキルレベル以上で鉄鉱石100個を精製すると50~60はインゴットが作れるとなってる。
今回は504個使ったので最低でも252個は作れてないといけない、少なく見積もっても65個ロスしてる。
これはまた採掘からがんばらないとね……!!
決意を新たに《耐暑》を有効化、少し鍛冶場の熱気が和らいだような気がした。多分気のせい。
さて、次は銅鉱石276個だ。こちらもレシピの手順に従って作業を進める……。
――《鍛冶》が0.6上昇しました→8.9
――スキルUPに連動してDEXが1上昇しました→23
――《耐暑》が0.7上昇しました→1.7
――スキルUPに連動してVITが1上昇しました→15
うーん、鉄以上にロスが酷い。
"インゴット/銅"は97個、ちょっとこれは……明日以降更に気合を入れて掘ろう、うん。
ちょっとしょんぼりしつつ鍛冶の初級レシピ3つ目を作ってみようと思う。
"銅の剣"だ、あれですよ、あれ、冒険の最初に勇者がよく装備してる武器。
あんなので殴ったらすぐ曲がって使えなくなるとか言われたりして、後の作品で青銅装備が出てきても銅の剣は銅の剣のままで、青銅の剣では無かったといういわくつきのアレです。
初心者用炉の備品に"銅の剣の鋳型"があるのを確認、溶かしたインゴット/銅を1つ流し込めばOK、後はグリップ部分にすべり止めの加工をすれば完成だ。
まず鋳型を10個用意してインゴット/銅を10個溶かしてそれぞれに流し込む。
さて、冷えて固まるのを待つ間にグリップ部分に巻く布か皮を……ってあちゃー、草ネズミの皮は眇の妖精亭の箱の中だ、失敗した……。
仕方が無いので受付横の材料売り場で草ネズミの皮を3枚買う、これ無駄な出費だよね。
ちょっと悔しい思いをしつつふと鍛冶場の壁を見ると沢山の武器や防具が飾ってある、短剣、長剣、大剣、槍、斧、鈍器、兜、鎧、小手、脛当て、小盾、盾、大盾その他様々見るだけでも勉強になるし飽きないよね、こういうのって。
――これまでの経験で《武器鑑定》がレベル1相当に達しました
――有効化しますか? 有効化/保留
――これまでの経験で《防具鑑定》がレベル1相当に達しました
――有効化しますか? 有効化/保留
おっと、システム的にも勉強になったみたい、どちらも有効化。
さて、そろそろ冷えたかな……?
鋳型には冷却を促進する魔法が付与されてるらしい、きちんと冷えるまで待ってたらすごい時間かかる所をかなり短縮してくれるみたいだ。
「あの、すみません。私は"仙台茶釜"という名前でプレイしてる者なんですが、ちょっとお聞きしたい事がありまして」
自分の作業場に戻ってきた所で1人の男性に呼び止められた。
「え、あ、はい、なんでしょう?」
仙台茶釜さん……確か掲示板で名前見た!
というか、彼の書き込みで石納入のクエ知ったんだよね。
その彼が僕に何の用だろうか。
名 前:レイ 種 族:人間 性 別:男 レベル:9
H P:271→281 M P:278
STR:30→33 VIT:14→15 AGI:23
DEX:20→23 INT:15 MEN:19 余剰:24
加 護:《妖精の祝福2》
スキル:《採掘10.7》《鍛冶8.9↑》《鉱物知識7.0↑》《細工3.0》
《木工1.0》《身体バランス3.6》《生物知識3.5↑》《殺気感知11.0》
《耐寒2.1》《回避2.7》《片手剣11.6》《片手刺突剣3.4》
《片手鈍器3.1》《蹴撃2.4》《武器受け3.4》《解体1.1》《食材鑑定1.0》《植物知識1.0》《投擲/片手剣1.0》《投げ2.2》《荷車革命5.0↑》
《ランニング1.1↑》《運搬7.4↑》《握力3.0》《耐暑1.7》←NEW《武器鑑定1.0》←NEW《防具鑑定1.0》←NEW
余剰:8
目 標:
《鍛冶》スキル上げ
《製薬》習得
各初級本の読破
プライベートダンジョン入手
2015年12月13日
時刻表記を変更




