第六話
苦手な戦闘シーン。大丈夫かな?
俺は今、キールと二人で森の中を進んでいる。昨日の盗賊どものアジトを見つけるためだ。今回もケリアンには残ってもらっている。こうやって考えると、ケリアンと二人だけだったらまずかったかもな。しかし……
「跡がしっかり残ってるから、追跡が楽だな」
「そうね。そんな暇も無かったんでしょ」
そう、盗賊どもは自分たちの逃げた痕跡をばっちり残していったのだ。おかげでしらみつぶしに探す手間が省けた。これはラッキー。
しばらく無言で進んでいくと、小屋にたどり着いた。小屋といってもそこそこ大きく、結構な数の人が入れそうだ。
「ここみたいだな」
「そうみたいね。どうする?」
キールがたずねてくるが、決まっている。
「このまま突っ込むぞ。どうせ大したこと無いさ」
この間も余裕で倒せたし、問題ないだろ。俺が武器を持って立ち上がると、キールが手を引いてきた。
「さすがにそれは考え無し過ぎない?確かに問題ないとは思うけど、一応警戒したほうがいいと思うわ」
そうかな?ま、一応そうしとくか。俺は再びしゃがんだ。
「私が先に様子を見てくる。合図するまでここで待ってて」
そう言ってキールはこっそりと小屋に近づいていって、小屋の様子を調べ始める。
少しすると、キールが手を振ってくる。いいみたいだな。俺は武器を構えて立ち上がって真っ直ぐ入り口に向かう。
「おい!待……!」
「おらぁ!!」
『なっ!!なんだ!!』
そのまま扉を蹴破って中に入る。盗賊どもが驚く中、近くにいたやつにハルバードを叩き込み、
「ここから出て行きやがれ!!」
「へぶっ!!」
そのまま吹っ飛ばす。残りの盗賊どももようやく動き出し、腰の剣を抜く。
「てめぇ、昨日の!」
「くそ!やっちまえ!!」
そのまま三人の盗賊が斬りかかってくる。大したことも無いので左に避け、勢いをつけて三人まとめて吹っ飛ばす。
次は二人、時間差で斬りかかってくる。が、やはり大したことは無い。先に来たほうの剣を弾き、石突で突き飛ばす。後に来たほうは右に避け、蹴り飛ばす。
今度は三人、二人が挟み込むように先にくる。
「ったく。勝手に突っ込むな」
そう言いながら、キールは俺の右横を通って二人のうちの一人を斬る。俺はそれを見て、すぐに左側の盗賊に狙いをつける。そいつはいきなり現れたキールに驚いている。
ハルバードを一振り、そいつは見事に吹っ飛んで、後ろから来ていた三人目の盗賊にぶつかっていった。
盗賊どもは、いきなり現れたキールに警戒をしたのか、動きが止まる。
「てめぇら!!俺たちに何のようだ!!」
「こんなことしやがって、ただで帰れると思うなよ!!」
盗賊どもが怒鳴ってくる。
「ふん、先に襲われたのはこっちだからな。仕返しに来てやっただけだ。大人しく出て行くなら、見逃してやってもいいけどな」
「このガキ、なめやがって……!」
俺の言葉にさらに殺気立つ盗賊ども。どうやら出て行く気は無いみたいだな。
俺がハルバードを構えなおすと、盗賊どもが襲い掛かってきた。
「連携はとれないだろうから、個々で動くぞ!」
「おう!!」
キールの言葉に一言で返し、俺は左側に行く。
こっちには六人の盗賊。二人が挟み込むように斬りかかってきた。一歩下がり、両方ハルバードで受け止める。そのままハルバードを振り回して二人の盗賊を吹っ飛ばす。すると、次は正面から一人突っ込んできた。その攻撃を右に避け、ハルバードで刺突。盗賊の脇腹を抉る。そして、その盗賊の後ろから来ていた一人をハルバードでなぎ払う。そのまま吹っ飛んでいき、さらにその後ろから来ていた盗賊に当たる。あと一人か。左側から来る盗賊。今はハルバードは振り切っているので右側。だが、そのまま石突で突きを繰り出す。
「ぐへ!!」
その盗賊は俺のハルバードと、右から来ていたキールのレイピアを受け、吹っ飛んでいった。もう終わってたのか。
「さて、後はお前だけだが?」
「ふーむ……」
最後に残っていた盗賊にハルバードを向ける。すると、そいつは少し考え込む。何だ?
「ここは逃げさせてもらいましょう」
そいつはそう言うと、窓から外に出て行った。
「あっ、このやろう!」
俺も窓から外に出る。盗賊は村のある方とは逆の方に逃げていった。
「追わなくていいのか?」
「村に危害が加わらないならいいさ」
キールの質問にそう返す。俺にとっては、今のところ村が全てだ。村に関係ないようなら、無理に追う必要は無い。俺はそのままケリアンの元まで行く。キールもすぐについて来た。
第六話、読んでいただいて、ありがとうございました。
アレクトは基本、村が全てなので、関係ないことで動くことはあまりないです。
意見、感想、その他もろもろ、書いていただけると嬉しいです。
GWが終わったので、これからは間が開くようになると思います。