第7話 同期との会話
医者の話だと、私はこの事故で右膝を痛めてしまっており、リハビリが必要との事でした。更に両腕、左足の骨にヒビが入っているようでした。幸い内臓や強く打った頭にはダメージは現状無いということでしたが、これから長い入院生活が待っていました。
体が強くて良かった。この程度で済んだと思う方が良いかもしれません。
アル「いよいよ引退か」
私はもう63歳です。定年退職になる65歳まであと2年ありましたが、少し早く退職することになりそうでした。
グラッド「何言ってんだお前は。まだ引退は早いよ。誰が大学の警備責任者するんだよ」
グラッドは笑いながら、妻が置いて行ったリンゴの皮を剥いてくれていました。
アル「もういいんだよ。若い奴に道を譲らなきゃ。満足に歩けない人間が隊長じゃあ格好がつかないだろ」
グラッド「ははは。リハビリして戻ってくればいいんだよ。ただそれだけの話だ」
アル「グラッド・・・・お前がティミーを教えてやってくれ。将来的にはあいつを俺の後釜にしたい」
私は自分が思っている現場の将来像を初めて人に話しました。
グラッド「俺がか?(笑)・・・でもお前がそんなに言うってことは、期待しているんだな。」
アル「新人の頃から俺がずっと教えてきた。粗削りで性格的に治らない部分はあるが・・・・」
少し間が開いて、グラッドは口を重たい口を開きました。
グラッド「・・・・残念だが、ティミーは今会社と大学側の両方から詰められてる。ティミーがバリケードを閉め忘れた関係で、ガラ空きの出入り口からバンが平然と敷地に進入している映像が駐車場の防犯カメラに映っていたらしい」
どうやら私が思っていたことは間違いないようです。私を車で轢いた犯人は、ティミーが閉め忘れたバリケードから敷地に入り、300mほど車を動かし薬品庫に車を付けたのです。
アル「そうか・・・・」
グラッド「責任問題に発展している。大学側から守衛室の派遣隊を他社に切り替えるという話も浮上してきているようだ。みんなの仕事が無くなる可能性が今出てきている」
無理もありません。こっちの不手際で第三者が侵入し、世間では危険物になりうる薬品を盗まれたのです。「実験で使う薬品が盗られて無くなりました」では、済まされません。こうなったら悪用されない事を祈るしかないのですが・・・。
アル「犯人は分かってるのか?」
グラッド「お前も見えただろ?ナンバー無しのバンだ。恐らく登録されていないと思われる」
アル「どうやって敷地に入った?ナンバー無しなら敷地に入る前の公道で掴まるだろ」
グラッド「今警察が導線を調べているらしい。町中にある監視カメラの記録を歩いて確認しているようだが」
一つの失敗で責任を追及されるのです。契約先の立場になってみればこれは当然の事です。このような状況にならないように私達を雇っているのですから、契約先から守衛の任務を外されてもしょうがない事なのかもしれません。
恐れていた事が起きました。起きた事はしょうがないですし、怪我をしてしまった自分も仕方がないです。私が現場に居ない中、この事件はどのように終幕を迎えるのでしょうか。
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