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第5話 油断

 バリケードを設置する為に、私は敷地内にあるバリケード置き場に向かいました。

 このようなイレギュラーが発生すると、1時間で終わる筈の巡回が1時間半かかったり、2時間かかったり、余計な時間がかかってしまうのです。

 こっち側のミスであれば完全に無駄な時間になります。日報を書く仕事や休憩時間に充てる事も出来るのに、少しだけ残念なことです。

 勤務時間が長いのです、どこかで上手に休憩が出来ている人がこの業界では間違いなく長く続きます。


 でも仕方がありません。間違えたり忘れたり、失敗をするのが人間ですから。悪気が無いのも分かっています。もし怠けようとしてわざとバリケードを設置していないのであれば、私に巡回をさせるのではなく、ティミーがこの時間帯の巡回をしていたことでしょう。間違いなく失念です。

 

 私は目標のバリケードをライトで照らした時に、少々建物側に違和感を感じました。


 とっさにライトを消して、暗闇の中目を凝らして植物研究棟の方を見ます。

 本当に静かな夜でした。何かが起こる雰囲気も無い、いつもの夜勤でした。雰囲気というのはこちらの気持ち次第のところが多々あります。

 いつもの情景と違う部分を見つける事によって急に自分の中に緊張感が走るのです。


 薬品庫に車が停まっているのが見えます。白色のバンでした。

 職員か或いは教授のものでしょうか。

 しかし、この時間の残業はあまり考えられません。特にこの棟に関してはバリケードを閉鎖する業務もあるので20時以降の残業については守衛室に一報があるようになっていました。


 誰が居るのか想像がつかないまま、私は振り向き、駐車場をもう一度見渡しました。

 駐車場側に車は1台も停まっていません。

 無線を取り出します。


アル「こちらアル、守衛室どうぞ」

ティミー「・・・はい、こちら守衛室。どうかされましたか」

アル「植物研究棟の薬品庫前に不審車両1台あり。本日の残業申請と、大学の年間行事予定を確認願う」

ティミー「了解。調べます。・・・応援は要りますか?」

アル「いや、結構だ。私の質問だけアンサー頼む」

ティミー「了解」


 守衛室に居るティミーと連絡を取り、こちら側の伝達間違いであるのか、契約先の連絡し忘れなのか確認をしてもらう事にしました。


アル(・・・こんな事・・・今までにあったか?・・・・そうだそうだ、写真撮らなければ・・・)


 嫌な予感がします。

 一度開放されているバリケード側の写真を撮る為に駐車場の入り口側に戻ることにしました。何かあった時の為に、どうしても写真が必要になります。

 歩きながら小さいデジタルカメラをカバンから取り出し、バリケードの対してレンズを向けます。


 その時、遠くからエンジン音がしました。先程のバンが動き出す音がして、こちらに向かってきているのが分かりました。

アル(あの車両が来る前に写真を撮らないと・・・・)


 状況が分かる写真を何枚か撮り終えて、振り向いた時、無灯火のバンは私の直ぐ近くにありました。


アル「えっ・・・と・・・停まって下さい!!聞きたい事があります!!守衛です!!」

 私は両手を広げて大声で叫びました。



 ドンッ!!!


 猛スピードで走って来たバンに私は轢かれてしまいました。


 そのまま走り去るバン・・・・。吹っ飛ばされてアスファルトの上に勢いよく投げ出される私・・・・。


 ・・・リアガラスに貼ってある独特な怪鳥のステッカー・・・リアバンパーは割れているのかあれは・・・・あんな車が大学内で停まっているのを見たことが無い・・・・部外者の車で間違いない・・・・。

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― 新着の感想 ―
いやもう、まさかの轢逃げ展開でめちゃくちゃ驚いた…。 最初の「ちょっとしたミスの尻拭い」から始まって、そこからジワジワと違和感が積み重なってく流れがすごく巧い。植物研究棟っていう辺鄙な場所と、夜の静け…
2025/06/16 21:21 退会済み
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タイトル「油断」ってあるけど、油断してたの絶対バンの方な。警備員のアルさん、夜の闇と同化しながら人類の秩序守ってんのに、まさかのクルマ側がぶっちぎってきたの笑えないどころか、完全に攻撃判定出してきてて…
2025/06/14 22:39 退会済み
管理
これまで静かに、堅実に日常を描いてきた作品の流れに突如として現れる「異変」と「暴力」の回であり、まさにタイトルの「油断」が象徴する一撃を物語全体に与えた印象的なエピソードでした。 序盤ではいつも通り…
2025/06/08 17:46 退会済み
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