第3話 巡回
アル「これより、巡回業務に取り掛かる」
ティミー「了解致しました。安全に遂行願います」
無言で互いに敬礼をして、私は守衛室から外に出ました。守衛室にいるティミーは無線の番とその他の緊急対応を行う役をします。
ティミーは主任になりましたが、まだまだ私から言わせれば新人のようなものなので、緊急事態になっても巡回切り上げて、私が対応するために戻って駆けつけなくてはならないでしょう。でもいいんです、彼が仕事を辞めずに家賃も滞納せずに不自由なく暮らして貰うことができればそれでいいんです。
ルートはもう完全暗記しており、私から言わせればこんな楽な業務はありません。部屋に塞ぎこむのが苦手な私はこの業務の方が良いのです。これで給与を頂いてると思うと本当にいいのか?と思う位です。危険も当然ありますが、少なくとも私がこの隊を任されてからは、会社や契約先を巻き込むような大きな事故はありません。
この仕事は今派遣されている場所の事をしっかりと覚えてしまえば問題ないです。緊急以外はこちらが判断する事は無いので、道案内や各建物のルールをしっかり把握していればこの日常業務については差し支えありません。
私が居るのは大学なので、敷地は本当に広かったです。メインの敷地の他に研究棟が別の敷地にある為それらも確認する必要性があります。なので完了までの時間は長くて1時間以上かかる時がありました。もし異常があればそれ以上にかかってしまいます。
生徒「こんばんわー」
まだ残っている生徒が声を掛けてくれます。今0時を回った所くらいでしょうか。
アル「お疲れ様。気を付けて帰って下さい」
遅くまで残っている生徒は大体決まっています。院の研究過程に居る生徒か教授、或いは大学のサークル活動で残っている生徒です。
気さくな生徒さんとは顔なじみになり、時折立ち止まって話す事もありますが、こっちは仕事中なので大声で笑ったりするのは社会人としては厳禁です。一応無線も武器も所持している状態なのです。
先程は敷地入り口に一番近い通りを歩いていましたが、ここから建物が出てきますので、施錠確認をしていきます。無施錠があれば鍵閉めに入館します。基本的には外周を確認しますが、建物内部を通過するルートもある為、鍵とカードキーは必須なのです。
今日も何も変わらない一日が過ぎていきます。
アップダウンの無い毎日。これが苦しいという人も居ますが、私にとっては快適な毎日でした。ドラマを求めているのであればきっと他の職種に就いていたことでしょう。
実際に毎日同じ事の繰り返しが耐えられないと言って、辞めた先輩、後輩が大勢居ます。
この仕事にドラマを求めるという考え方は私には不可解でしかありませんでした。普通でいいんです。何事も普通で。
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