第26話 笑顔
長かった本日の夜勤も勤務終了を迎えようとしていました。
久々の夜勤でしたので少し疲れ気味でしたが、今日は収穫が大きかったです。心霊現象の原因が分かったからです。
アル「よし、そろそろ総務課に行こうか。先ずはその、今日出て来られる総務課長に会おう」
グラッド「アル、さっきジュリと話をしていたんだが・・・・・お前は帰れ」
アル「え?・・・・・なんで?・・・・・」
グラッド「ここからは現場の俺達に任せろ。アルが先方に言いたい内容ってのはもう分かってるから。それを俺達が伝えるだけの話だ」
ジュリ「ローズさんの所に行って下さい。お願いします、アル副指令」
話しているグラッドの後ろから急にジュリが姿を見せ、その後ろからも交代勤務の後輩達が顔を出しました。
妻であるローズが待つ病院に行って欲しい、その気持ちが伝わってきました。
こんなにも頼もしく、良い仲間が自分の周りに居てくれて本当に誇らしいです。感謝です。この「感謝」というものが他方へ誘発している会社だからこそ、私はこれまで辞めずに続けることが出来たのです。
アル「おいおい昨晩一緒にやってきたんだ。仲間外れか?俺も行くよ」
グラッド「正直今日アルは来ないと思っていたんだが、俺は驚いたよ。こんな時でも現場の俺達の姿が浮かんできたんだろ。今日はもうここまでだ」
なんだか今の言葉、元上司のハーツの言葉に似ていました。実際に昔、そのように言っていたかもしれません。
そのように聞こえた為、私はここで退出する事にしました。
アル「それじゃあ、グラッド隊長、ジュリ副隊長、今日は任せたぞ」
ジュリ「任せて下さい。アル副指令こそ、絶対病院に行って下さいよ。このまま夜勤明けでギャンブルとか行ったら全員怒りますよ(笑)」
全員「はっはっはっはっはっは!!!!」
アル「こういう時に限って、いつもより手持ちが結構あるんだよな」
後輩「アル副指令、俺良い所知ってんすよ。教えましょうか?(笑)」
グラッド「馬鹿なこと言うなお前は(笑)アルはギャンブル駄目だ(笑)」
そうです、ギャンブルしたことがありません。
グラッドとジュリは、シェルター事業の職員を交え総務課長と話をつけました。
今後シェルター事業関連の職員が作業入館する時に限り、該当施設の巡回業務は無くなりました。
シェルター事業は安全確保の為、点検時バリケードを持参し、一般人の立ち入り禁止にしなければならなくなりました。
更にどのような作業をするのか、毎回申告が必要になりました。
これは大きな一歩です。現場業務は絶対に安全でなくてはならないという事を軸にして、一つの大きな業務改善が行われたんです。
きっと私のこの『副指令』という立場なんかお飾りに過ぎません。
自分より優秀な人間が現場をやっているのですから、私はもう居なくても良いんです。安心しています。
私が居なくなった後の現場を想像するのも、楽しかったです。いい方向に向かっているんです。いつか若いジュリが現場を仕切って、若い社員を鍛えてくれます。そういう未来を考えるだけで、私は笑顔になります。これが曇りの無い本当の笑顔なんです。
本当はティミーにやって欲しかった。という親心はありながら、車に乗り帰路につきました。
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