第23話 偶然と必然
暗闇の建物内に光が発生しました。
この日を待っていたのです。もう余命宣告された妻との時間を考えれば、この日しか無いということを私は悟っていました。何度もグラッドと話し合いを重ねてこの日を決めました。
数日前・・・・・・・
守衛室内の指令室にて・・・・・・・
アル「業務日報をここ10年分、確認をしていたんだが・・・・」
グラッド「おいおい、そんなに遡ったのか?」
アル「この幽霊騒動には規則性があることが分かったんだ」
私はこれまでこの大学という勤務地で様々な業務を行ってきました。グラッドからの報告資料を見ると、うんうんと頷く事が出来る箇所がいくつもありました。
アル「この膨大なデータを調べた結果、とある共通点のある会社が入館する時に心霊現象の報告が多い事が分かったんだ」
グラッド「共通点がある会社??・・・・どういうことだ?」
グラッドは首を傾げながら考えました。
アル「先ずこのシェル&ビルド、ユニメイド金属加工、ニヘン興・・・・・・・」
私は調べた会社名を全て読み上げました。全部で20社以上の会社名をここで挙げました。中にはグラッドも入館対応した会社もあったようで、ハッとするシーンがありました。
グラッド「その中で、何社か覚えている会社がある。その会社は確かに全て心霊現象が起きている物理実験棟及びその周辺での作業を許可した業者だったような気がするな・・・・何故この会社をピックアップした?物理実験棟なんかしょっちゅう業者の出入りがある筈だろう」
アル「俺は先ず、心霊現象が起きた時に警察を呼んだケースを遡って調べたんだ。先ずはそこが出発点になるかと思ってな」
この事件は突き詰めていくと間違いなく、幽霊ではなく『人間の仕業』であるということが分かったのです。
アル「これらの業者は全てシェルター事業の協力会社だ。中にはもう廃業している会社もあるけど間違いなくシェルター事業と共にシェルターを作っている会社なんだ」
シェルター事業と言っても本質は中身の部分を作る会社であり、外身や別の発想が必要になった時には、親会社単独でシェルター全てを作り上げて、それを全国に広める事は不可能に近い話なのです。
ここでティミーの話をしますが、彼はお金持ち向けにシェルターの販売や、その周辺機器、そしてサテライトの体験チケットを売っていただけであって、中身の製作については一切関わっていないと言っていました。所属していたのはあくまで販売・宣伝を担っていた会社であることを事前に聞いていたのです。販売や宣伝に関わらず、製作や管理、そのようなことに携わる協力会社が他にも無数にあるという事を言っていました。
ここまでの話を整理すると、
① 心霊現象はティミーが言っていたシェルター事業の協力会社が入館する時に起きるという規則性があるということ。
② シェルター事業の協力会社が入館する際は必ず、心霊現象が起きる物理研究棟か物理研究棟周辺での入館申請であること。
③ 今日が第3金曜日であること。これは隊員からの『心霊現象→見間違え』の報告があった曜日の遭遇率を計算すると第3金曜日の比率が68.8%の確率になります。これは他の曜日と比べて群を抜いて高い比率となります。思った通り夕方の巡回前に『国家シェルター事業連合会』の方の入館がありました。
この3つの偶然が奇妙に重なり合っているという事に私は気づいたのです。
ここまで分かった所で、もうこれは必然だと私は感じています。
真相に迫るのはもう今日しかありません。
今宵信頼できる同期グラッド、副隊長に昇進したジュリと共に、この長い間私達を苦しめていた事件を解決したいと思っています。
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