表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今さらだけど異世界満喫! 〜気づけばアラサー冒険者ですが、ゲーム知識で強くてニューゲーム〜  作者: しんこせい(『引きこもり』第3巻2/25発売!!)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/78

ヴェラの森


 この世界は、一週間は七日で一年は三百六十五日という前世と共通した暦で動いている。

 曜日なんかの呼び方に差異はあるが、基本的には同じものと認識してもらって構わない。


 ちなみに休日は、一週間のうちの最後の日である安息日の一日だ。

 だが俺のクライアントはどうやら大分先進的な発想をしているようで、俺は最初の安息日がやってくるよりも早く、休暇をもらえることになった。


「毎日働きづめではアルド殿も疲れるだろう! うちはしっかりと休めるから、安心してくれて良いぞ!」


 安息日にすら働かせるブラック体質な雇用主が多い中、なんとツボルト子爵家では週休二日制を導入している。

 それで家の中のことは回るのかと不安になったが、人材の層が厚い分何も問題はないらしい。


 むしろしっかりと休みの日を作り、子爵から払った金を使ってもらうことで、経済を回しているんだと領地経営を習っているリーゼロッテは鼻高々な様子であった。


 というわけでせっかく手に入った休日。

 ゆっくりと身体を休めようか……とも思ったが、そもそも護衛依頼自体ほとんど体力を使っていない。

 これで休日も家に引きこもっていれば、流石に身体が鈍ってしまう。


 というわけで特に依頼を受けるでもなく、日帰りで行ける範囲にある東のヴェラの森へと潜ってみることにした。

 ここなら人目にもつきにくいし、色々と実験もできるだろう。

 スカイに狩りをさせるのにも、ちょうどいいはずだ。






「相変わらずすごいな……」


 鬱蒼と茂る葉を適宜枝ごと断ち切りながら先へ進んでいく。

 まるで全ての侵入者を拒絶するかのように、木は茂り、足はぬかるみ、そして遠くからは魔物の遠吠えが聞こえてくる。


 魔物と同様、この世界では植物の生命力がとにかく強い。

 どれくらいかというと、山火事が起きても一月もすれば痕が消えてしまうくらいだ。


 そのためたとえ魔物や野生の生物が出現して多少の危険があろうが、大都市の近くでは森は枯らすことなく維持するところも多い。


 そうすれば木材の値段をかなり安くすることができるからな。大都市では木材はいくらあっても供給過多になることはない。


 ただ森を維持するためには、森の魔物達を定期的に間引きする必要がある。

 魔物という生き物は基本的に自分のテリトリーを出ることは少ないのだが、それにも例外がある。


 それが魔物の軍勢(スタンピード)と呼ばれる、魔物がテリトリーの外へ溢れ出す現象だ。

 千を超える魔物が街にやってきてしまえば、いかに堅牢な都とはいえその防衛に四苦八苦することになる。


 そのため魔物の軍勢が起こることを避けるためにも、森を維持している領地貴族は定期的に(領地にもよるが、およそ四半期に一度ほど)の割合で討伐を行い魔物達を間引きしていく必要がある。

 それは王の直轄領である天領である王都も同様で、二月ほど前に騎士団による間引きが行われていたとのことだった。


 むろん、定期的な山狩りだけでは魔物の増加に対応することができない。

 そのため冒険者ギルドにおいて、森での魔物の討伐は常に推奨されている。


「よし、それじゃあちょっくら試してみるか」


 視界が開けていない森の中だろうと、『光点探査』を使えば森の中の魔物の反応を見つけることは容易い。


 これは他の冒険者達と比べると、かなりのアドバンテージになるだろう。

 護衛依頼が終わったら、森や霧の中なんかの視界の悪い狩り場を選ぶのもありかもしれない。


 そんなことを考えながら木々に身を潜め、光点の在る場所へとゆっくりと歩いていくと――そこには、緑色の鬼がいた。


 体躯はおおよそ百四十センチ前後。

 ドワーフ族よりも小型である身体はうっすらと緑色をしており、垢や汚れが堆積することで茶色がかっている。


 粗末な腰蓑を纏い、手に持っているのは錆の浮いた銅の剣。

 人型の魔物であるゴブリンだ。ちなみにランクは魔物としては最低のEであり、得物を持った成人男性であれば問題なく倒せるくらいの強さしかない。


 ただその弱さが、今の俺にはありがたい。

 ほら、だって――人間と同じで簡単に壊れてしまう生き物なら、対人間用の戦い方の練習するのに都合がいいだろう?


 盗賊なんかは生きて渡すのと死骸で渡すのとでは、討伐報酬が倍近く違う。 

 また、相手を殺さず無力化した方がいいという場面も往々にしてあるものだ。


「スカイ、右のはお前がやるんだ。左のは――俺がやる」


「――きゅっ!」


 自信ありげに頷くスカイが、ゴブリンを見ながらじゅるりと舌なめずりをする。

 ゴブリンは到底食べられないくらいマズいんだが……やる気に水をさすのもあれだし、黙っておくことにしよう。


 俺とスカイはゴブリン達がこちらに背を向けると同時に、駆けだした。


「きゅううっ!!」


「――『汚泥の縄(ボルモア)』」


 こうして俺達はヴェラの森での特訓を開始するのだった――。


【しんこからのお願い】


この小説を読んで


「面白い!」

「続きが気になる!」

「二人とも、頑張れ!」


と少しでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

ブックマークもお願いします!


あなたの応援が、作者の更新の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ