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おわり
何時の空とも知れない、そんな空。
くじら雲は飛んでいた。
いささか、元気がない様子だった。
ビー玉色の瞳は閉じられていた。
今日は、まだ何もしていない。
ふと、くじら雲は思った。
このお空とさよならをする日が来た。
そう思った。
くじら雲は上を見た。
空の、もっと上の上を。
宇宙を、果てない銀河を思った。
くじら雲はぷしゅうと潮の形をした雲を、長く長くゆっくりと吐いた。
そして上に向かって泳ぎ始めた。
どんどん、くじら雲は上へと登ってゆく。
そして。
宇宙へとくじら雲は到着した。
ビー玉色の瞳は、地球を見た。
綺麗な、綺麗な水と緑の惑星。
くじら雲はある願いを抱いた。
何を願ったのかは……。
何を思ったのかは……。
神様と、実はきみが知っていること、なのかもしれない。
くじら雲は銀河を飛んでいる。
ゆうっくりと旅をしながら、飛んでいた。
この連載童話作品を追い続けてくださって、感謝します。
お読みくださり、ありがとうございました!




