54.再見③ 愛称
「キャロラインは――、あー、キャロライン、愛称で呼ばれるのが嫌だとかあるか?」
キャロラインに質問する。
「んー、特にないけど、なんで?」
「キャロラインってちょっと長いだろ? 素敵な名前だとは思うけど、探索者は長い名前の人には愛称で呼ぶことがあるんだ」
第一部隊でも、ウィルクスをウィルって呼んだり、ルクレーシャをルクレと愛称で呼んだりしている。
「そうなんだ。名前にこだわりとか無いから全然いいよー。素敵な名前つけてね!」
軽い口調で了承してくれた。
(キャロラインだから、やっぱりキャロか? うーん、安直かなぁ……。だったら――)
「キャロル、とかどうだ?」
「おー、キャロル! スッキリしていいね! じゃあ今日からあたしの名前はキャロルだ!」
「……いや、愛称な。名前はそのままキャロラインだよ」
気に入ってもらえたみたいだ。よかった。
「オルンさん! そう言うことでしたら、僕にも愛称を付けてください!」
ローガンが目を輝かせた子犬のようなつぶらな瞳を向けてお願いしてくる。
「ローガンはそのままでも長くないだろ」
「そこを何とか! お願いします!」
不要だと言ったら食い下がってきた。
そんなに付けてほしいのか?
「……じゃあ、ログ、なんてどうだ?」
「ログ……。オルンさんが付けてくれた、僕の名前……!」
なんかすごい感動しているような表情で、呟いている。
いや、だから愛称なだけで、名前は変わってないって……。
まぁ、そんなに喜んでもらえるなら、嫌な気分はしないけどさ。
そんなやり取りをソフィアが羨ましそうに眺めている。
一人だけ仲間外れは寂しいよな。
「ソフィアはソフィー、なんてどうだ?」
俺が急に言うもんだから、ソフィアはポカンとしている。
「ソフィアにも愛称を付けてみたんだが、安直すぎだよな。嫌だったか?」
「い、いえ、そんなこと無いです! とっても嬉しいです! ソフィーかぁ……えへへ……」
ソフィーがすごく幸せそうな表情をしている。
喜んでもらえたようでよかった。
「でしたら、オルンさんも別の呼び方をしたいのですが……」
ログから提案を受ける。
「いや、俺はこのままでいいだろ。短い名前だし、省略する必要もないだろ?」
俺の名前を省略すると、オルとかルンとかか? なんかイヤだな……。
「いえ、愛称で呼ぶとかではなく、オルンさんのことを、師匠と呼ばせていただきたいです!」
真っ直ぐな瞳で提案してくる。
……どうやら本気みたいだ。
にしても、コイツ、本当にあのローガンか? 性格変わりすぎだろ……。
「あー! ローガン――じゃなかった、ログだけズルい! あたしもお兄さんのこと、ししょーって呼ぶ!」
「そう呼びたいなら、呼んでくれて構わないぞ。……ソフィーもそう呼ぶか?」
ソフィーに問いかけると、
「い、いえ、わ、私は、その、オルンさん、のままが、いい、です」
顔を真っ赤にしながら俯いて、蚊の鳴くような声でそう言う。
「全然かまわないよ」
こうして第十班におけるメンバーそれぞれの呼び方が決まった。
次はパーティ名かな?
急ぎじゃないけど、いつかは決めないとな。
なんか、今の感じを見ると、俺が決めることになりそうだから、今の内から考えておこう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
短くてすいません。
切りどころが無くて、最後短くなってしまいました。
短いので、本日はもう一話投稿しようと思います。
投稿時間は21時の予定。
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