表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

187/305

187.果たされることのない約束

 ルシラ殿下がツトライルにやってきて俺たちに依頼をされた翌朝、俺たち第一部隊のメンバーは、ルシラ殿下に同行することになったセルマさんを見送るために寮のエントランスへとやってきていた。


「みんな、わざわざ見送りに来てくれてありがとう。しばらくクランから離れることになるが、これからのこと頼む」


 セルマさんが俺たちにも見送りの御礼を言ってくると、真っ先にレインさんが口を開いた。


「そんなの当然でしょ。セルマも王女様をしっかりサポートしてね!」


「あぁ、勿論だ」


「それにしても王女様直々に同行を依頼されるなんてね~。ボクにとってセルマさんは頼りになるリーダーだから王女様もセルマさんに頼りたいんだろうね! セルマさんの仲間として誇らしいよ! 大変だと思うけど頑張ってね!」


「そこまで言われるとこそばゆいな。でも、ありがとう、ルクレ」


「オルンも、もうここを発つんだったか?」


 会話の途中でウィルが俺に問いかけてくる。


「そうだね。探索者ギルドでフウカとハルトさんの二人と待ち合わせをしているから、合流のついでにギルド長から各迷宮の攻略許可証を貰って、そのままツトライルを出るつもり」


「そっか。オルン君も迷宮攻略大変だと思うけど、頑張ってね」


「ありがとう、レインさん。そっちも気が抜けない日が続くだろうけど、無理はしないようにな」


 俺たちはこれからバラバラに動くことになる。

 街に残るレインさんたちも、それぞれ奔走することになるだろう。

 全員が再び揃うのはしばらく先になりそうだけど、それぞれが目の前のことに全力で取り組んでいれば、そう遠くない未来で再び集まることも出来るだろうと思う。


「みんなこれから大変だと思うが、またこうして笑顔で《夜天の銀兎》として、第一部隊として、大迷宮の攻略に挑もう。私たちが次に集まった時、それは九十四層へと足を踏み入れる時だ。そして、私たちが次の勇者パーティ(・・・・・・・・)になろう!」


 セルマさんが凛とした表情でこれからの展望を口にしながら拳を前に突き出す。


「そうだね、そのためにもボクは街の防衛と同時進行で魔術の勉強を頑張る! もう誰も傷つかせないように、もう誰も死なせないように!」


 セルマさんの言葉を受けたルクレが自身の拳をセルマさんの拳へと突き出す。


「勇者パーティ、か。それにはあまり興味は無いが、オレは『大迷宮を攻略する』って夢をアルバート(あのひと)から受け継いだからな。成し遂げるまでくたばるつもりはねぇよ。そんでもって、攻略するならこのメンバーしか考えられねぇ!」


「みんな、上ばかり見てないで、足元もきちんと見ることを忘れないでね。一歩一歩確実に進んでいけば、その道の先に『九十四層攻略』――延いては『大迷宮攻略』に繋がっているはずだから! だからみんなで一緒にその道を進んでいこう!」


 続いてウィルとレインさんが自身の想いを口にしながら拳を突き出す。


 それから四人は俺の方へと笑顔を向けてくる。


「俺はこれから各地の迷宮を攻略してくるけど、それは俺の中で過程に過ぎない。俺の目的はフウカやハルトさんから新しいものを得て、自分の成長に繋げることだ。《夜天の銀兎》のエースとして、もっと強くなって帰ってくるよ」


 俺も自分の想いを語りながら四人の拳に自分の拳を添えた――。


最後までお読みいただきありがとうございます。


皆さま、明けましておめでとうございます!

本年もなにとぞよろしくお願いいたします!


さて、今話にて第五章は完結となります。

当初の想定より倍近く文量が増えてしまい、取っ散らかってしまった章となってしまった感は否めませんが、これでひとまず触れておくべきことには大抵触れられたかな、と。

第六章は第一部完結に向けて助走をつけてまいります!


現時点では第八章にて第一部完とする予定ですが、もしかしたらその第八章で物語自体を閉じるかもしれません。

その辺りは追々考えていこうかなと思っていますが、まずは目の前の第六章の執筆に注力いたします!


なお、有難いことに忙しくさせてもらっていることもあって、お待たせしてしまい申し訳ありませんが次話の投稿は2月3日(金)とさせていただく予定です。

その間に人物紹介を挟めたら良いなと考えています。

引き続き本作をよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 題名が不穏過ぎて……誰かが居なくなるから果たされないのだろうか。 元から出ている嫌な伏線を加味すると、このメンバーでオルン以外の誰も居なくなるもあり得るよな。 ハッピーエンドが好きなんで結…
[一言] それぞれが強くなるという想いを語り合うのはいいね、こういうの好き笑 その先に見据えているのが大迷宮攻略なのがまた何とも言えないけど()
[一言] それぞれがそれぞれの道を歩き始め強くなって戻ってくる。 ワンピース(笑)!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ