決意
第9話です
俺はすっかり冷めてしまった昼飯をベットの上で食べたのだった。
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レオンは座学が終わってから自室に戻り証明もつけずにベットに寝っ転がっていた。
「あいつは見た目はジャスティだか中身は別人だ。だか見た目だけはジャスティだ。あいつの言ったことが本当だったとしたらあいつの中にジャスティはいる」
俺とジャスティはいつものメンバーの中でも一番付き合いが長い。
俺たち6人はは7年前のセントヴェリア帝国がこの国クラスタリア王国に攻め込んできたことがきっかけで起こった大きな戦争で両親を失い孤児となった。
1つだった孤児院は4つ増えたがそれでも数は足りずに路上で飢えと寒さの中死んでいく奴や腕や足目などを失った奴も大勢いた。
その中でも俺たちは運がいい方だった。俺とジャスティは引き取られた孤児院で出会った。
出会った当時は両親を失ったショックから俺とジャスティだけでなくほとんどの奴がふさぎ込んでいてほとんど会話はなかった。
さらに悪いことは続き孤児院に入られる年齢は15歳までという王様からの命令が下った。
俺たちはまだ11歳だったがすぐに15歳になってしまう奴もいた。
ティメルとグルンデの態度からわかるように孤児はあらゆるところで下に見られ仕事も日銭稼ぎ程度しかない。まだ仕事がある奴はましで男なら奴隷として売られ、女なら娼婦として娼館などに売られてしまう。俺はそんな風にはなりたくないと思っていた。
ある日孤児院のおつかいで街に出た時大人たちがこんな話をしているのを聞いた。
「おい聞いたか?この前の戦争で兵士の数が足りなくなりこれから騎士学校の入学試験を貴族の紹介がなくても受けれるようにするらしい」
「聞いた聞いた。でも相当狭き門なんだろ」
「でも剣術だけ出来ればいいらしい。読み書きや算術なんかは入学してから教えてもらえるらしい」
俺はこれだと思った。これから15歳で孤児院を出るまで剣術の特訓をしようと。騎士学校に入り騎士になり両親の仇を取ると。
俺は孤児院に戻るとすぐに木の棒を削って拙い木剣を作り剣術の特訓を始めた。俺はあまり目立たないように裏庭で始めようとしたがそこには先客がいた。そいつは少し前から木剣を振っているようで俺が木剣を持っていることに驚いた様子で
「レオンお前も騎士になりたいのか」
といきなり聞いてきた。
「ジャスティだっけか。そういうお前も騎士を目指しているのか」
「ああ3日前に街に行った時に騎士学校のことを聞いたんでな」
「お前もやっぱり騎士になって両親の仇を取りたいのか?」
「両親の仇?そんな気持ちが少しもないというわけではないが毎日日銭を稼ぐような生活や奴隷なんか俺はごめんだ。だから俺がまともな生活を送るには騎士になるしかない」
どうやらジャスティも騎士を目指しているらしい。俺と動機は違うが。それから俺たちは毎日剣を振り続けた。週に1回は騎士の人が孤児院の近況を知りにやってきていたため俺たちはお願いして毎回稽古をつけてもらった。
騎士の人が言うには他の孤児院にも俺たちのような子供がいるらしい。騎士の人が来ない日はジャスティとともにひたすら木剣を振り続けた。時にはジャスティと打ち合い何本も何本も木剣を使いつぶした。
4年経って15歳になる頃には俺たちの身体もかなり大きくなり力もついていた。
騎士学校の入学試験には100人近く受験生がいたが合格したのは6人だけだった。それが俺たち6人だ。俺たちはすぐに仲良くなった。実力で騎士学校に入った俺たちは他のほとんどの奴らより強かった。その時からグルンデとティメルは俺たちに嫌がらせを始めた。どうやら小さい頃から剣を習っていたらしく俺たちに負けたのが悔しかったらしい。
ところが1年前からジャスティの様子がおかしくなっていた。咳が止まらなくなったり顔が青白くなったり。自室にいるときはほとんどベットで横になっていたが、他の奴らの前では強がっていた。
「レオン。俺は今日医者に行ってきた。かなり悪い病気らしくあと1年もつかわからないらしい」
突然の告白だった。
「だけどあいつらには伝えないでくれ。俺は同情されたいわけではない」
「でも……」
「頼むぞ」
そう言われて俺は何も言えなくなってしまった。俺はどうすればいいのかわからなかった。
時間だけが過ぎていく。みんなの前では強がっているがもうみんな気づいていた。気づいた上で何も言うことができなかったのだろう。
宣告されていた1年が過ぎ今日おかしなことが起きた。ジャスティが
「俺はジャスティの見た目をしているが別のやつだ」
と言い出したのだ。そしてジャスティは俺の心の中にいる。俺1人では何もできないから協力してくれと。
そんなこと急に言われて即答できるはずがなかった。
だかあいつは、あいつの身体はたしかにジャスティのものだった。俺はジャスティに戻ってきてほしい。だったらもう答えは決まっている。
「俺はあいつに協力してジャスティの戻ってくる場所を守る」
そう決心して俺は再び医務室に向かった。
なかなか王女様でなくてすいません。