仲直り
ちなみにムカつくことにレオンの礼法はとても上手かった。
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「女らしくしたらどうだ」
レオンに言われた言葉が思い出される。
「私だって言われなくてもわかってるわよ」
面と向かって言われたのは初めてかもしれない、それも異性に。
言われたのがレオンじゃなかったら?
他の3人だったらこんな気持ちにはならなかったかもしれない。
「だけど、しょうがないじゃない」
戦争でお父さんとお母さんが死んじゃって、ここまで必死にやってきたんだもん。
女らしくって言われてもどうすればいいのかわかんない。
お母さんはそういうの教えてくれる前に死んじゃったから。
自然と涙が出てきた。
「大丈夫……レオンも売り言葉に買い言葉で……ハンナのことちゃんと……女として……見てる」
クロエはそっと私を抱きしめてくれた。私が泣き止むまで。
「ありがとう。もう大丈夫だから」
「本当に……?」
「本当に大丈夫だから。いつもありがとねクロエ。私はこんなんだからいつも迷惑かけちゃって」
クロエはいつも私のそばにいてくれる。私を助けてくれる。でも私は私は……、
「私もこういう……内気な性格だから……いつも……ハンナに……助けてもらってるし。それに……友達だから……当然」
また涙が出そうだった。私もクロエを助けてあげれてるんだって嬉しかった。もう一度私たちは抱き合った。それから私はクロエに今の気持ちをすべて話した。
トントン
私たちが友情を確かめ合って少しすると誰かが来た。
ドアを開けると目の前にレオンがいたので私はドアを閉めた。
「ちょっと待てって。いきなり閉めることはないだろ。こっちはお前に話があるんだ」
「だから何?私はあんたと話すことなんかないけど」
クロエに話して少しはスッキリしたが、やはり本人が目の前にいると動揺してしまう。
「頼むから俺の話を聞いてくれ。さっきはいくら売り言葉に買い言葉とはいってもデリカシーがなさすぎた。お前の事ちゃんと女として見てるから」
いつになくレオンが必死なのがドア越しでも伝わってきた。
私がこのまま意地を張ったままだと6人の空気も悪くなるよね。
「しょうがないわね。許してあげるわ」
私はドアを開けてレオンに言った。
「ただこれだけは覚えておいて。私だって女の子なんだってこと」
「わかった。本当悪かった。これ、傷つけちゃったからお詫びみたいなもんだ」
そう言ってレオンは小さい紙袋をくれた。
「開けてもいい?」
「いいけど大したもんじゃないぞ」
中身は可愛らしい髪留めだった。
「俺の頭じゃこんなものしか浮かばなかった。気に入らなかったら捨ててくれ」
「こんなものなんかじゃない。ありがとう。本当に嬉しい、大切にするわね」
私がこう言うとレオンは安心したようだった。
「みんなにも心配かけちまったからな、ハンナとクロエみんなまだ食堂にいるから2人も行こうぜ」
「そうね心配かけたものね」
「早く……行こ」
こうして私たちは仲直りをした。
それと、私に宝物ができた。
しばらくの間1週間に1話投稿になりそうです。
すいません。




