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ルナ・アルテミス子爵令嬢

社交界の別名は、『美形鑑賞会』と言われています。

綺麗なお顔をした令嬢や子息たちが集まるので、毎回楽しみにしています。

社交界で培った人脈がある程度できた時に、私自身に不幸なことが起きました。

この国の第一王子アポロ・ファタージュ様から婚約を申し込まれたのです。

知った時の私の顔は顔面蒼白で、体の震えが止まりません。

この王子様は、なぜ身分制度があるのかも理解できていないのでしょうか?

子爵令嬢程度では、『王族の妃が務まるはずがない』と思うのが当たり前でしょう?

周囲もこぞって反対しました。

何より、私自身がそういうことに全く向いていない性格だったためです。

ですが、王族からの申し出。

子爵家ごときが反対できるはずもありません。

下手したら、この子爵家が取り潰しにあってしまいます。

この家に勤めている人たちへの責任、この家がしている仕事への責任などなどを考えた結果、私は第一王子アポロ・ファタージュ様の婚約の申し込みを受け周囲を説得することにしました。

家への被害を防ぐためです。

母は、「愛する人と結婚できるのね。すてき!」と喜んできたのですが、私は顔が引き攣るのを隠せませんでした。

貴族として生まれたからには、家に利益をもたらす方と結婚するのが当たり前でしょう。

恋愛結婚を夢見るなんてどこのバカでしょうか?


アポロ・ファタージュ様の婚約の申し込みの返事をするのに、国王陛下と王妃様から私だけ王城に呼ばれました。

その時に、婚約を受けるにあたって条件を出しました。

「アポロ・ファタージュ様が本当に愛する女性を見つけたら、婚約破棄をして欲しい。側室にはならない。婚約破棄するなら、婚約で縛りつけた期間の代償として、家に利益をもたらす相手を見つけて欲しい」と。

こんなことを言った理由はあります。

王族にもかかわらず恋愛感情だけで決めたといういい加減な男性は正直、信用できません。

王族なら、もっと自分に対しても責任を持つべきでしょう。

不相応な身分の娘と婚約したいという相手の正気を疑ってしまいます。

それに、側室にならないというのは子爵令嬢としては王族に対して生意気ですが、新たな相手を見つけたとしたら結果が見えているでしょう?

そして、私は王族の隣に立つのに少しでも相応しくなるために国王陛下と王妃様に助力を請いました。

子爵家は王族になるには身分が低すぎて、そういう教育を元からしません。

なので、私との婚約を許してしまった国王陛下と王妃様に助けを求めたのです。

友人であるパレット・ブックメイカー侯爵令嬢にも助けを求めました。

彼らの助けと教育もあり、なんとか国王陛下と王妃様に認められうことができました。


そしてある日のこと、案の定アポロ・ファタージュ様は私に婚約の解消を告げてきました。

「本当に愛する人ができたから、婚約を解消する」と。

数日後に知ったことですが、彼の新たな婚約者はアンリナ・ソル子爵令嬢。

「また、子爵令嬢!?」と思ってしまいました。

友人のパレット・ブックメイカー侯爵令嬢は呆れかえり、翌日にはとある公爵家の長男と婚約しました。

後から聞いた話、私の婚約期間中アポロ・ファタージュ様の婚約者候補のままだったそうです。

彼とまた婚約しないために先手を打った形だとも言ってました。

権力ある家が、また王家の馬鹿息子に振り回されるなんてお話になりませんからね。


婚約破棄の数日後、パレット・ブックメイカー侯爵令嬢の兄ウィル様と婚約することになりました。

身分不相応な気がしなくもないですが、王家の王子に無理やり婚約させられた上、婚約破棄された身では傷ものです。

そんな物好きが他にもいると思えず、王妃様とブックメイカー侯爵夫人の勧めもあり、家の利益につながるということでウィル様と婚約することになったのです。

ウィル様は、アポロ・ファタージュ様の側近です。

アポロ・ファタージュ様との婚約期間中、王城に呼ばれた時には毎回私の護衛をしてくださいました。

色々な話題を振って気を使って下さった方です。

ですので、恐れ多くも良好な関係を築けたかと思います。



王族にもかかわらず恋愛に生きる変な王子様との婚約破棄から一年後、ウィル様と結婚することになりました。

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