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第一王子アポロ・ファタージュ

俺は、ファタージュ国の第一王子アポロ・ファタージュ。

婚約者探しのための社交界に慣れた頃に、一目惚れをした。

ルナ・アルテミス子爵令嬢。

他の令嬢みたいにガッツかなく、静かに佇む睡蓮のような女の子だ。

身分が低いながらも、人脈があり人気の令嬢。

他の男どもが彼女に声をかけようとするが、彼女の周りには社交界の花と呼ばれる令嬢たちがガードしているので、全く声をかけられない。

俺はすぐに、父である国王陛下に「ルナ・アルテミス子爵令嬢を婚約者にして欲しい」と頼んだ。

国王陛下や王妃である母が諌めてくるが、俺の必死の説得により折れた。

晴れて、彼女が婚約者だ。

聞いたところによると、アルテミス子爵家では俺とルナ・アルテミス子爵令嬢の婚約に反対だったらしい。

だが、ルナ・アルテミス子爵令嬢本人が周りを説得して俺との婚約を納得させたようだ。

その時の国王陛下と王妃の条件が、「ルナ・アルテミス子爵令嬢との婚約破棄をする場合、彼女を側室にしない」だった。

当り前だ。俺が彼女以外愛するはずがない。

そう思う時もあった。

彼女との時間はとても穏やかで、やがて国王陛下と王妃も認めることとなる。

しかし、俺は本当に愛する人を見つけた。

アンリナ・ソル子爵令嬢。

太陽のように明るく人懐っこい可愛らしい女性。

俺の身分を気にすることなく、気さくに話す。

本当の俺を見てくれた。嬉しかった。

だから、国王陛下と王妃に「ルナ・アルテミス子爵令嬢との婚約を破棄して、アンリナ・ソル子爵令嬢と婚約したい」と言った。

思った以上にすんなり済んだ。

これは、ルナ・アルテミス子爵令嬢が俺との婚約の了承時に「俺が本当に愛する女性を見つけたら、婚約破棄をして欲しい」と彼女が国王陛下と王妃に願ったためだと言われた。


国王陛下と王妃は、ルナ・アルテミス子爵令嬢の時と違ってアンリナをなかなか認めてくれない。彼女と同じ身分にかかわらずだ。

その時に王妃は俺に冷たく言った。

ルナ・アルテミス子爵令嬢は、王妃に協力を仰ぎ俺の隣にいるに相応しくなるように努力したと。

俺との婚約は彼女自身が一番難色を示していて、それでも王家に逆らうことのリスクを考えて、俺との婚約するしかなかったと。

彼女が俺との婚約を周りに説得したのは俺を愛したわけではなかったのだ!


アンリナと密月を楽しんでいる最中に国王陛下と王妃に呼ばれた。

「アンリナ・ソル子爵令嬢は、王族になる努力を全く見受けられない。側室か日陰の愛人のどちらかにしろ。でないと認めない」と言われた。

悔しくて反論したが、最終的に俺は折れてしまった。

このことをアンリナに話すと、「私は、アポロ様の傍にいたいだけです。側室でかまいません」と言われた。

心優しいアンリナ。


あれから一年後、ルナ・アルテミス子爵令嬢が結婚することになる。

俺の側近のウィル・ブックメイカー侯爵子息だ。

これは、王妃である母の勧め。

王妃は非常にルナ・アルテミス子爵令嬢を気にかけていて、少しでも接点を持ちたいがために、俺の側近との婚約をさせて結婚するよう仕向けたらしい。



数ヵ月後、アンリナと無事結婚した。

アンリナと結婚してから知ったことだが、色々あらが見えてきた。

笑顔で俺を出迎える彼女を愛おしく思うのだが、同時に王族として何もできない彼女にイライラする。

本当に、アンリナでよかったのだろうか?

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