それでも
言えなくて言いたくて
言葉は思いの断片を
ちぎったものでしかなくて
わかってよ、ねえ
どうしてわかってくれないの
喉元に詰まった言葉は
ひしゃげて
歪んで
もう、原型をとどめておらず
冷たい空気になって
消えていった
何をしても
無駄なことなんてない、を
頼りにしてきたけれど
どうあがいても
伝わらない
通じあえないことは
ある
必死に分厚いガラスを
叩いても
ヒビひとつ入らない
あの、虚しさ
分厚いガラスに背をむけて
うずくまりながら
私はちいさく
それでも…
と、つぶやいた
たくさんじゃなくていい
直ぐでなくていいから
たった一言でも
思いが伝われば
ありがとう
でも、伝わればいい
分厚いガラスの隙間から
そっと
ありがとう、を
差し入れた