『四話』
マコトとチアキには剣がある。一方でイズモは武器を待たず、地面に座っている。
一応、彼は隊長代理。ならば今が一番のチャンスになる。
マコトは一気にイズモとの間合いをつめ、剣を振り下ろす。
イズモはマコトを見てはいるが、微動だにしない。
「隊長代理、あんたオレをなめすぎだ!」
しかし、剣がイズモに当たることはなかった。
マコトは何がおっこたのかわからないうちに吹き飛ばされてしまった。
「大丈夫?」
剣を構え、イズモから目を離さずにチアキが尋ねた。
「なんとか。」
かなりの距離を飛ばされたが、マコトにはほとんどダメージはない。
「なら、もう一度突撃して。」
「はい?」
「大丈夫。今度は援護する。」
正直もう突撃するのはいやだったが、他に良い作戦もない。
「了解!」
マコトは剣を握り直し、再び走り出した。
『また一人で突っ込んできたか・・・』
だが、マコトとチアキは何か話していた。つまり、今度はチアキも戦いに参加するだろう。
『さて、どうくる?』
その時、いきなりイズモの予想外なことがおきた。イズモの周りの地面が隆起し、蛇のように襲ってきたのだ。
「これは土流第五の術『土流弾』!」
間一髪で避けたが、イズモは驚きを隠せないでいた。
『入隊したばかりの奴が使う術じゃない。』
本来なら戦闘魔法は入隊してから学ぶものだ。
もちろん、毎年何人かの新人は戦闘魔法が使えるが、普通は第一の術が限界なのだ。
『ヤマトに目をつけられるだけのことはある。』
「もらった。」
チアキの攻撃に注意が向いている隙にマコトが斬りかかる。
イズモは斬撃を避け、後方にいるチアキの方へ向かった。
『中・長距離は得意なようだが、接近戦はどうかな?』
チアキは剣を振ったが、イズモの方が速かった。イズモのパンチがチアキの腹部に決まった。
「ウッ」と言ってチアキは倒れてしまった。
『体術はまだまだだな。』
だが、チアキの実力はかなりのものだ。イズモは自分の右腕の傷を見ながら笑った。
パンチを打つ瞬間にチアキは『水流』の術を使って攻撃してきたのだ。体術が向上すれば将来は隊長にもなる可能性がある。
「さてお前の才能をみせてもらってないぞ、マコト。」
斬撃を避けられた際に、マコトは勢い余って転んでしまっていた。