『一話』
ここアトラスでは15歳まで義務教育であり、中学校を先月卒業し、無事に魔法騎士団の入隊試験に合格した『東マコト』は現在新人騎士の入隊式に出席していた。
そしてマコトは今眠っていた。ここで注目すべきは頭を揺らさずに眠っていることだろう。
たしかに頭は下がってしまっているが、離れたところからでは寝ているようには見えない。
中学生の時に会得したマコトの数少ない技の一つである。
黒色の髪と目、太っても痩せてもいない体型。マコトはどこにでもいる子供だった。
だが、今日からは違う。マコトは魔法騎士になるのだ。魔法と科学が存在し、魔力を持つ人も持たない人が共存している。その社会の秩序を守るのが魔法騎士だ。
それにしても、よく無事に合格できたものだ。
魔法騎士の試験には筆記試験、実技、心理テストの三つだ。
そのうちマコトが一番よくできたのは心理テストだろう。
筆記試験は半分も埋められなかったし、実技も試験管が苦笑するほどだった。
それから入隊式も終わり、新人騎士には紙が配られた。そこに自分の所属する隊が書かれているのだ
マコトは正直どこの隊でもよかった。ここには友達も知り合いもいないのだ。
そしてマコトの紙に書かれていたのは『青竜隊』