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中学生の一日

作者: 葉佑
掲載日:2026/08/04

「ピピッ、ピピッ、ピピピピピッ」

 毎朝聞く目覚まし時計の音。部屋に不快な音が響き渡る。目を開ければいつもと同じ光景。耳に響くのは目覚まし時計の音。毎日この音を聞いているのに慣れることなんてないし、朝、この音が鳴っても目を開くことでさえ難しい。朝は一日の始まりで、一日で一番の困難でもある。


 バンッ。辛うじて目覚まし時計を止めたが起きることはやはり難しい。体を起こすことも布団から出ることも体が拒絶している。

 自分と体の意志が反対で、起きなきゃいけないことはわかっているのに布団から出て立ち歩くことができない。


 いや、それはただ言い訳か。毎朝起きたくないときは「まだ時間はあるから」とか「まだ疲れてるから」など、眠ってて良い言い訳を考えている。何度も何度もその考えで無自覚に数分という時間を無駄にしているのに。塵も積もれば山となるを体現しているようだ。


 まぁそんなことはどうでもいいので二度寝を開始する。数分という時間に囚われていたらストレスになってしまう。しかし、二度寝はストラスを解消できたり気分が上がったりするので無理して起きるよりもメリットだらけだ。


 なので瞳を閉じた。目には真っ暗な光景だけ。何にもない。でも時間が経てば夢になってくれる。面白い夢や楽しい夢、悲しい夢、不思議な夢など体や精神の疲れを忘れさせてくれる至福のひととき。一生夢から覚めたくないと思いたい。でもいつか終わりが来てしまう。


「朝だよ。起きなさい!」

 母親の咆哮が家中に響き渡った。さっきまで鳴っていた目覚まし時計なんて比にならないくらい音が大きく、音が不快だった。耳がキーンとして睡眠が反射的に途絶えてしまう、一番最悪な起き方をしてしまった。流石に二度寝はできないのでベッドから自分自身を降ろした。


 朝日はやはり気持ちが良い。神々しくひかっている太陽が自分を照らし、元気を与えてくれ、何でも朝は頑張れる。着替えや食後の歯磨き、ヘアセットなどそつなくこし、学校へ向かう。



 学校では主に授業を受ける。月曜日は五時間授業、その他の曜日は六時間授業でいろいろな教科を勉強し、技術を磨く。教科には五教科の他に技術や家庭科、音楽、美術、道徳、学活、体育がある。五教科以外の授業は当たりと呼ばれており、楽しくて面白いものが多い。


 今日の時間割は、一時間目が国語、二時間目が数学、三時間目が音楽、四時間目が理科、五時間目が体育だ。

 今日は月曜日なので五時間授業。それに二つ移動教室の科目が入っているので今日は当たりの日だ。


 おっと、気づけばもうホームルームが始まろうとしていた。担任の教師がそのことを伝えて皆を座らせている。俺も読んでいた本を閉じ、教卓の方向を見る。


 今日はなにについて話されるのか。いつもホームルームではいろいろな事が話される。締切のある書類の催促や近所からの苦情について、授業変更のお知らせなどがあり、大体退屈なものばかりだ。今日もいつも通り面白くもなく良いニュースがあるわけでもなく、退屈なホームルームだった。



「起立、礼、着席」

 号令係の号令により、一時間目の授業が始まる。今日の国語は漢字テストだ。五十問で一問二点のテストを四十五分をかけて行う。最初に勉強する時間がなく、朝からのテストでクラスメイトの多くが嫌な顔をしている。


「テスト開始!」

 教師の合図でクラスメイト一斉にテストの問題をめくる。テストは穴埋め形式で非常に答えやすくなっている。教室にはコソコソと文字が書かれる音が鳴っている。集中していて頑張りが後ろ姿からでも伝わってくる。俺もそのウェーブに乗るようにシャーペンを動かし、スラスラと問題を解いていく。


 しかし、そのシャーペンの動きは十分程度で終わってしまった。わかる問題がなくなって動かせなくなってしまった。頭をフル回転させても覚えたはずの漢字は思い出すことができない。どうすればいいのか考えているといい案が思い浮かんだ。


 テストを左側に縦向きで置き直し、体を突っ伏して寝る体制を整える。睡眠学習というのを聞いたことがあった俺は一か八か怒られることを覚悟に寝始める。幸い、国語の先生は五分前に注意点(主に名前の書き忘れ)について知らせてくれ、目を覚ますことを可能にしてくれる。

 目を閉じて深呼吸。何も考えない、音を気にしないことを意識して寝始めた。未来の俺、頑張れ。



 なぜか右肩に触れられる感覚がある。国語の先生が起こしてくれるのかと思い、目を開けて右肩の方を見てみると隣の席の人だった。

「授業始まるぞ、起きろ。」

 それを聞き周りを見るとクラスメイト全員が立っており、みんな俺を見ている。二時間目の号令まで寝てしまった。急いで立って、号令をする。今日の数学の授業は恥ずかしすぎて生きた心地がしなかった。


 数学の授業が終わると音楽の準備をする。ファイルと教科書、筆記用具を持ち、体に抱える。音楽の授業では音楽室に行かないといけないが、教室から少し遠い場所にある。そのため、貴重な休み時間が削られてしまう。できるだけ休めるように可及的速やかに移動する。



 音楽の授業では滝廉太郎や岡野貞一などの有名な曲を歌う。今回もいつも歌う曲を歌うことになった。歌ってみると男子には歌いづらい高音があった発声練習もしてなくて声が出ない。そうこうしているうちに歌が終わってメインの授業に移り変わる。


「四人組作って。」

 突然、困難がそびえ立つ。今日は琴の授業だ。この授業ではグループになって行う。だが、俺にはグループを作る友達などいない。周りが続々とグループを作っている。どんどん周りの人が少なくなっている。そのままじゃ余り物になってしまう。


「○!※□◇#氏、一緒に組まない?人数足りないんだ。」

 たまぁに喋るオタク友達が声をかけてきてくれた。見てみると三人集まっていて俺が入ればちょうどよく四人組になる。俺はそのグループに入ることになった。ヲタク友達よ、ありがとう。


 琴はやってみると案外簡単だった。箏爪をつけて弦を弾くだけで音を出せる。管楽器やギターと違って口や指が痛くなることをなく、楽しく引くことができる。


 でも琴にも難しいところがある。楽譜と技法だ。楽譜は普通の五線譜と違って数字が縦書きされている。数字を見ただけじゃ何処の弦を弾けばいいのかわからないし、十一、十二、十三本目の弦はよくわからない感じで書かれている。五線譜すらわからない俺には琴の楽譜も読めなかった。


 技法では色々な種類があった。弦を押したり引いたりして弾く技法や、連続で弾いたり二つの指を同時に使って弾く技法などを学んだ。案外、思った通りに音はでず、指にダメージが蓄積する。練習してもお手本のような音は出なそうだった。



 音楽の授業が終わると素早く教室に戻る。次の理科の授業は実験で理科室を使うので早めについていないといけない。最短ルートで無駄のない動きで素早く教室へと戻る。早く教室に入って音楽のファイルを片付け、理科のファイルや教科書、筆記用具を準備する。あとは行くだけなのでゆっくりトイレ休憩を済ます。



「きゃっ、」

 理科の実験中、女子生徒の黄色い声が理科室に響き渡った。炭酸水素ナトリウムを加熱する実験をしていたら試験管が割れたことに驚いたようだ。幸い、怪我をしておらず、他の班の実験をやめさせて先生は割れた試験管の処理を始めた。


 今日の実験では試験管の口を下向きにする必要があったが逆に試験管の口を上向きにしてしまったため、水が発生して割れてしまった。教科書に書いてあることが本当に起こることに驚いた俺は、不本意ながら自分にとって良い勉強になったと感じてしまった。



「いただきます。」

 いろいろなハプニングがあったが無事に昼休みになった。俺が通っている中学校では給食がなく、自由に昼休みを過ごせる。今日も早く弁当を食べて昼休みを謳歌する。弁当を開けて箸を持ち、ご飯やおかずを口いっぱいに詰め込んでお茶で流し込んだ。



 昼休みが終わり五時間目に入った。今日はいつもと違って保健をやることになった。


「体育は実技も大事だけどこっちの知識のほうも大事だから。実技の成績があんま良くなくても知識のほうの成績が良かったら5を貰えるかもしれない。でも実技の成績が良くても知識の成績が悪いやつには5を挙げられないからな。保健の授業もちゃんと受けるように。」


 この昭和脳の体育教師が初回の授業だけで大丈夫なのに毎回のように言ってくる。クラスメイトは「またかぁ。わかってるよ。」みたいあ雰囲気を出しているというのに。めんどくさい教師で学年では嫌われている。体育教師は今日もその空気感には触れずに授業を始めた。


 授業では教科書を読んで主に重要なところを教師が板書をしていく形だ。教科書を読むときは一人一行ずつ読む。今日は俺の番がきたが難なくこなした。



 帰りのホームルームは中身のないことばっかりだ。つまらなすぎて窓から空見てしまうほどに。早く帰らせてくれないかと考えていると運良く早めにホームルームが終わった。教室はだんだん人が少なくなっていった。


「帰るか。」

 色んな人を避けながら駐輪場まで歩いた。



「ただいま。」

 母親はパートに行っていて、父親は出張中。家には誰もいないのがわかっているのに言っている。汗を書いたので荷物を片付けてシャワーを浴びることにした。


 シャワーを浴び終わると自分の部屋に行った。ベッドにダイブして体を休める。目覚まし時計をセットして十九時前には起きるように設定した。


 目を閉じる。そうするといつもと違ってすぐに眠気が襲ってきた。抗おうとせずに深呼吸をする。だんだん意識が薄れてきて何も感じなくなった。

最後まで読んでくださりありがとうございます。感想待ってます。

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