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この本に引き込まれた時に着ていた、既に傷んでいた勇者の装備。それらの買い替えに行く前に、鍛冶屋に立ち寄ってみることにした。
ダンジョンに聖剣を取りに行くにしても、もし何かと戦闘しなければならない場合、折れている剣なんかでは戦えない。それに、この剣もそこそこ値が張った上等なものだ。直せないにしても買い取りしてくれるかも知れない。
鍛冶屋は剣を見て、直すには時間がかかるという。
なので買い取りしてもらうことにしたら10ゴールドの資金になった。
そしてついに、冒険者用の武器や装備を売っている武器屋へ向かった。ここはこの町で1番評判が良い店だ。
何故だかこの武器屋の、その装備たちが発する匂いと、この静かで落ち着いた店の空気が混じり合う空間が心地よく思える。
『エイト。この《呪われた小手》なんて楽しそうです♪あ、あちらの《死のスカーフ》はいかがですか?』
変な装備を見つけては嬉しげにいちいち声をかけてくるアド。完全に邪魔。
しかし、まるで高価なブランドショップにきた気分だ。
店主と相談しつつ、実用的な装備を揃える。
その一部分とはいえ高価なミスリルが使用された軽い銀製の胸当てが45ゴールドなんて掘り出し物だと思うし、折れた剣の代わりに上質な鋼のロングソードを25ゴールドで手に入れた。
あと、丈夫な軽いコンバットブーツに似たブーツ、対魔用にもなるシャツとスボン。簡単な魔法を退けるマントなど。
俺は常連だしまとめ買いだからと金額をおまけしてくれ、全部で135ゴールドとなった。日本円で考えると震えるような高額だが、命を守る装備だからあまり妥協はできない。
手持ちで良い買い物できたーとホクホクしつつ、ファンタジーとはいえお金って必要なんだな…と遠い目。
残り7ゴールド(約7万円)か……まあ聖剣取りにいくついでに魔物を狩れば良いかとバイト感覚で思うくらいにはこの世界に急激に馴染みつつある自分に、俺は少し愕然としていた。いやいや、きっと今日は買い物で興奮しているからだ。
『エイト、あの《死のスカーフ》、お洒落で素敵でしたのに……』
「そんなの死んでも要らん!」
さて、明日はいよいよダンジョン攻略かな。




