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第二話
2008年3月、私はくも膜下出血で倒れた。幸い自宅で倒れたため、すぐに手当てを受けたので、1ヶ月弱入院したぐらいで退院出来た。この時にしっかりとリハビリをやっていれば、その後の事態を招かなかったのに、と後で悔やむことになるが、その時点では、杖をついて歩けることで、すぐに治るだろうとたかをくくっていた。 生来の楽天的な思想がここでは裏目にでた。2009年2月、私は再び倒れて、言葉と左半身に麻痺が強まり、そして車椅子生活となった。 こうして病気になって、自分のこれまでの人生を振り返って見ると、ツイテいた人生だった。いや今回、病気で二回倒れた時も、いずれも自宅だったから、ツイていた。これが駅のホームで転落していたら、今頃こうして携帯小説など書いていられなかったから、本当にラッキーだった。
私は、所謂丙午の生まれで、ベビーブームの狭間に生まれ、比較的競争がきつくなかった。そして平成元年、私は社会に出たが、世の中は空前絶後のバブル景気に湧いていた。私は、ろくに就職活動もせずに、一攫千金を夢見て、準大手と呼ばれていた不動産会社に入社した。