表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
08 ーHACHIー ~俺の彼女と私の彼~  作者: 由耀
第5部 08 ―HACHI―
93/124

EP89「8」

 ユイはカザン・カードをめくるMathewを見つめる。

 Mathewが手にしているカードは「8」だ。

 ユイの視線を追ってミカゲもMathewが持つカードを見つめる。


「あれは君のこと」

「……「8」が? どうして?」


 ミカゲの視線がユイの薄くなった右手の印に向けられる。

 薄く出たり濃く出たり、ユイの右手の印は生きているかのように現れる。


「この印を僕らはミシルシと呼ぶけど、これは“希望”を示す「8」だからさ」


 右手のミシルシ。

 それが「8」。

 その意味は、“無限の可能性”。


 ミカゲによるとこのミシルシにはふたつの「2」とふたつの「4」が組み合わさっているらしい。

 それを紐解くと――。


 「12」という“希望”を意味する数字になる、とミカゲは告げた。

 

「ミシルシを持つ女性を、女王と呼ぶ。ミシルシはただのマーキングに過ぎないけど、守護者を導く存在だと言われている」


 ”世界の守護者はこのミシルシの女王と出会うために、観測を続けているのかもしれない”と、

 ミカゲは呟く。

 

 あの3月15日、AIコアに何もないはずのルシー・フェルドが何故か自分のそばにいた。

 当時は左手にあったミシルシ。

 これがただのマーキングであるなら、それは何のために?

 否。誰のためのものなのか。

 ――答えはもう出ていた。

 

「ミシルシ……私が女王ってことよね? ならこの女王って一体なんなの……」

「さあね。例えば君にしかない何かがあるとかじゃないかな」


 それを聞いてユイはふと思った。

 ……因子。特異な自分の因子が何か関係しているのではないかと。


 ユイが自分の因子について、簡単にミカゲに説明する。

 マイナスを抱えた中性因子。環境に応じて変化した特異な因子だ。

 ところがミカゲは既に知っている様な様子を見せた。


 「8」は“全ての始まり”の象徴である「0」を二つ抱えている。

 これが二つ重なることで“無限”になるという。


「……だから私はいつも失い続けるの?」


 その問いにミカゲは答えないが、逸らした視線は肯定していた。

 

(失い続けるのが私の因果だというなら、何が最後に残るというのだろう)


 細いチェーンで首から下げているヒロトのファミリー・リングに触れる。

 指に嵌められないけれどお守りにしたくて身に着けてる。

 ヒロトがたったひとつ遺した言葉が心に響く。


『ずっと君のそばにいると誓う』

 

 それはヒロトの言葉。

 どうしてその言葉が響くのか、答えはもうわかっている。

 分かっていてもユイは否定することしか出来ない。


 否定をやめてしまったら。

 最後に残るのは希望さえも残らない永遠の「8」だからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ