第8話 無音の朝
数日後、朝の陽光がカーテンを透かして部屋を照らす中、俺はいつものように椅子に座った。
コーヒーの香りを楽しみながら、電源オン。ピコン……ピコン……
Windowsロゴが回り、デスクトップがようやく現れる。
昨日よりはマシだけど、まだ少しもっさりしてる気がする。
「まあ、これで原稿進められるか……」
YouTubeでBGMを流そうと、ブラウザを開く。
動画を再生——……何も聞こえない。スピーカーアイコンをクリックしても、音量スライダーが動くだけ。
音が出ない。
「え……?」
もう一度クリック。
動画を一時停止・再生。
無音。ヘッドホンを挿してみる。
挿した瞬間、画面に「ヘッドホン接続」のポップアップが出るけど、音は出ない。
「マジかよ……音が死んだ……?」
心臓が早鐘のように鳴り始める。
BGMなしで原稿書くなんて拷問だ。
音楽聞きながら仕事するのが俺のルーティンなのに。
「グラン! 音が出ない! 助けて!」
【グラン】
「落ち着け、ゆうた。まずは基本を確認だ。」
【グラン】
「タスクバーのスピーカーアイコンを右クリックしろ。『サウンドの設定を開く』を選べ。」
俺は震える指で右クリック。
メニューから「サウンドの設定を開く」を選択。
サウンドの出力デバイスが「Speakers (Realtek High Definition Audio)」になってる。
音量は50%。
「これで合ってるはず……」
【グラン】
「次はトラブルシューティングだ。同じ画面の下の方に『トラブルシューティング』があるはず。クリックして『オーディオの再生』を試せ。」
画面をスクロール。
「一般的な問題を修正する」項目の「オーディオの再生の問題をトラブルシューティングする」→「トラブルシューティングを実行」。
オーディオの再生のトラブルシューティングが起動。
「どのデバイスで問題が発生していますか?」と聞かれて、Speakersを選択。スキャンが始まる。
数分待つと……
「問題が検出されました。オーディオサービスが応答していません。」というメッセージ。
「うわあ……サービスが死んでるって……」
【グラン】
「まだパニックになるな。トラブルシューターが自動で直してくれる可能性がある。指示に従え。」
「修復を試行中」の表示。しばらくして「問題が解決しました」と出た。俺は期待を込めてYouTubeを再生。……まだ無音。
「直ってねええええ!!」
【グラン】
「次はデバイスマネージャーだ。Windowsキー + X を押して、『デバイスマネージャー』を選べ。」
Win + X でメニューが出て、デバイスマネージャーをクリック。
Sound, video and game controllers を展開。
Realtek High Definition Audio が表示されてる。
右クリック →「ドライバーの更新」→「自動的に検索」。
「更新プログラムを探しています……」
数秒後、
「最新のドライバーがインストールされています」
「嘘だろ……」
【グラン】
「ならロールバックを試せ。同じメニューで『ドライバーを元に戻す』があるはず。」
「ドライバーを元に戻す」をクリック。
「以前のドライバーソフトウェアに戻しますか?」→「はい!」
再起動を促されて、PCを再起動。ブート音が……鳴った!Windows起動音がちゃんと聞こえる。
YouTube再生——BGMが流れる!
「生き返った……! 音が戻ったぞ!!」
俺は思わず拳を握った。
これでまた音楽を聞きながら仕事できる。
【グラン】
「よし、これで一時的に解決だ。だが、古いRealtekドライバは不安定になりやすい。次に似た症状が出たら、もっと深い原因を疑え。」
「またかよ……」
再起動後、PCは少し軽くなった気がした。
音もちゃんと出てる。
俺はホッとして画面の猫壁紙を見つめた。
ふと、一瞬だけ、猫の耳がピクッと動いたような気がした。まだ終わらない……




