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夢をみた。

目が覚めると、見慣れない白い部屋。つるつるの壁に、つるつるの天井。

「あれ?ここどこ?」

どうやら通勤途中に事故にあって、十年も眠っていたらしい。

浦島太郎かよ!玉手箱はどこだ、玉手箱は!ってか、浦島太郎でも、せいぜい数日だろ?十年て、もう、人生の夏休みどころか、人生の冬眠じゃん!

そんな浦島太郎な僕の病室に、突然テレビの取材がやってきた。

昔テレビでよく見かけた、あの美人アナウンサーだ。

「最新の医療技術の取材で来ました」

ナノマシンとかいう、ちっちゃい機械を体に入れて、ボロボロになった体を修復したらしい。

ナノマシンは、人のタンパク質から作られていて、役目が終わると体に吸収されるという。

「ナノマシン、すごくね?プロテイン感覚で、機械が飲めるってこと?」

懐かしいアナウンサーさんに興奮して話しかけると、衝撃の事実が判明した。

彼女、もうアナウンサーじゃないらしい。記者が肩書だという。

「え、じゃあテレビでニュース読んでるのは誰なんですか?」

僕がそう聞くと、彼女は少し寂しそうに答えた。

「あれは、AIなんです。放送局が作ったAI動画。私をモデルに作られたAIが、毎日ニュースを読んでるんです」

なんと!僕が知っているあのニュース番組は、人間のフリをしたAIがやっていたのだ。

「AIって、そんなに人の温かさを出せるもんなんですか?」

「もちろん!だって、私をモデルに作られてるんですよ?昔のアナウンサーの話し方を全部学習してるんですから!」

「…それって、自分のクローンがテレビに出てるってことですよね?毎日、自分を見るのってどんな気分ですか?」

「最高ですよ!おかげで、取材先で『AIに似てるね』って言われて、話が弾むんです!AI様様ですね!」

そう言って、自慢げに笑う彼女。

AIが作ったニュースを、AIが最終チェックしているという話を聞いた時には、もう、人間いらなくね?って思った。

人間は取材に行って、AIにデータを渡すだけ。なんだか、AIのペットになった気分だ。

さらに驚いたのは、昔聞いていたラジオ番組が、まだ続いていたことだ。

あのタレントさん、もういい歳のはずなのに、まだやってるんだ!と感心していたら、また衝撃の事実が。

「あれも、AIの自動音声ですよ」

「えっ、じゃあ、あのタレントさんは?」

「タレントさん自身は、エグゼクティブプロデューサーとして、指揮を執ってます。リスナーからは、『ピュー太郎』って呼ばれてます」

「ピュー太郎って、タレントさんの愛称?」

「いえ、プロデューサーの『ピュー』と、太郎を合わせて、『ピュー太郎』です」

もうわけがわからない。

「じゃあ、『ピュー太郎』は、AIにリスナーのメールを読ませて、あんなことやこんなことを言わせようと頑張っているわけですか?」

「その通りです!まさに、AIを操る神ですね!」

浦島太郎が目覚めたら、周りはすっかりAI社会になっていた。

テレビも、ラジオも、AI。

僕の人生、これからどうなるんだろう。

まずは、浦島太郎が持っていた玉手箱を探してみようかな。

開けたら、僕の体が十年前の体に戻ってたりして……。

なんて、甘い夢を見てしまうのだった。

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