DDA
黄金組との戦いから一週間後、怪我もある程度治りいつもの日々が戻ってきた。レナはロボット掃除機を3台に芸を仕込んでおり投げたごみを空中でキャッチしていた。ていうかこいつって跳べるのか・・・ 黄金組の事件は羅一とドワーフの逮捕に加え事務所の中に誘拐されていた子供も発見されて幕を閉じた。事務所の地下施設も爆弾を作ろうとしていたということになり肝心な百足は公には公表されないだろう。
「しかし、レナはどこに返せばいいんかねぇ」
「一緒に住むとかじゃダメっすか?学校とか通えなくはないっすよ」
龍二の言う通りここは東京 何でもそろってる
「できることなら住みたいけどさすがに僕らと一緒にいるのは今後の人生で影響でそうだし普通の学校に通ったら能力でトラブルは避けられないだろ。そのうえここに来る前は施設にいたとか言ってたし」
施設というのはいまだに謎だが・・・ 突然スマホが鳴りだした
「はい、あれ?黒田さんどうしたの?そちらからかけるなんて珍しい」
掛けてきたのは刑事の黒田だ。今回の件では緑間組は一切関わってなく黄金組による爆弾事件ということにしてくれた。まぁさすがにクソ猿との戦いは動画に投稿されてたらしくAI生成や映画の撮影だと今でも議論されてる。このまま風化してくれるといいな
「実は黄金と爺さんを収監してたんだがわけわからん奴らが2人を持って行ってしまったんだ」
「わけわからん奴らってなんだよ。まだ協力者がいたのか?」
まさか脱獄は勘弁してくれ。ていうか仲間がまだいたのか
「いやそれが政府直属の組織ということで引き渡すしかなかったんだ。」
政府の組織?なんかややこしくなってきたなぁ
「なんだお前 ぐあああ!」
外が騒がしいな。黒田さんにはあとで掛けると伝え窓から事務所の入り口を見た。黒くてごつい車が3台止まっておりそこから出てきたであろうスーツ姿の集団が事務所に入ってきた
「おいおい、カチコミかよ勘弁してくれ。龍二、レナを避難させといて」
龍二はレナを連れ組長室の隠し部屋に入っていった
「おやおや、そんなにお客さんが来てはお茶が足りないね」
スーツ姿の集団と一人だけ白を基調としたフォーマルな服を着ている長身の女性が入ってきた
「突然の押し掛け失礼いたします。私は神谷白蓮というものです。こちら名刺です」
「あ、どうも」
白蓮と名乗る女性は思ったよりご丁寧な所作で僕もただ受け取るしかなった。名刺には彼女の名前と【DDA】という組織の名前と長官であることが記載されていた。
「とりあえず用件を聞こうか」
「あなたたちが匿っている七瀬レナという少女を私たちに返してほしいため訪問させていただきました」
レナを?こいつらはなんなんだ
「レナを返してほしい?君たちが親というわけ?」
「いえ、親ではないです。我々が管轄している施設が襲撃に合いそこにいた子供たちを再度保護しています」
レナが言ってた施設のことか しかし実態が分からない以上彼女のためにも引き渡すわけにいかない
「DDAってのはなんなんだ?詳細が分からない組織にはレナを渡したくないんだが」
白蓮は手をメガネにあてため息をついた
「訳のわからない組織なのはあなたも同じでしょう。それにあなたはこの世界の人間ではない」
僕は耳を疑った。外国人や女性に間違われることがあったが世界が違うこともあてられたのは初めてだ
「極秘の組織ですがあなたは異世界人、特別に教えてあげましょう。DDAとは【Different DImensions Agency】の略で訳すと【次元防衛庁】とも呼ばれています。あなたたちのような多次元から来た脅威から国民を守ることが我々の役目ですね」
この世界は多次元を把握してるに加え対抗策まで打っているのか
「それがレナとなんの関係があるんだ。レナは多次元人じゃないだろ」
「はい、レナさんはこの世界の住人です。ですが彼女は超能力を持っていますよね」
それも筒抜けか 超能力というのは固有魔法のことだろう
「我々は多次元の脅威の対策に加え能力を持ってしまった子供たちを保護しています。能力の使い方を知らずに大人になってしまって事件を起こせば我々は彼らを処理しなけれなりません。たまに大人になって能力を発現する方はいますが大抵はトラブルを引き起こします。あなたも理解してるでしょう。彼女は普通の学校に通えない。能力をコントロールするのが先だと」
僕はこの世界での固有魔法の認識を改めなければいけないと思った。少なくとも日本では魔法を持った人間の対策と教育ができている。僕らの世界では固有魔法は比較的発現の確率が高いエルフを加味しても稀だというのに
「レナの件は承諾する。君たちに引き渡すよ。どうか僕たちとは違う立派な人間にしてくれ」
「それは保証します。我々の仕事ですので」
僕は隠し部屋にいる龍二とレナを呼んだ
「あ、白おばちゃんだ!」
レナは白蓮を見ると飛び跳ねながら喜んだ
「あれ?知り合いだったの?」
「そうだよ!白おばちゃんはたまに遊びに来てくれて勉強とか能力の使い方を教えてくれたんだぁ。見て、こんなのできるようになったよー」
レナは部屋に置いてあったロボット掃除機を並べさせ芸を見せた
「あ~らすごいわねぇ。でもね一度に複数を操るのはまだ体に悪いから気をつけようね」
まさに親戚のおばちゃんモードという感じだ
「お姉ちゃん、お話こっそりきいてたんだけどここでお別れなんだよね・・・」
「あぁそうだ。君はおばちゃんのところに戻るんだ。まぁ死ぬわけじゃないからどっかで会えるよ」
おばちゃんと呼んだところで一瞬殺気を感じたが置いておこう
「龍くんもまた会えるよね。また一緒にご飯食べようね」
「あぁもちろんんん」
龍二は号泣して返事どころではなさそうだ
「白蓮さん、最後に聞くけど超能力っていうのは鍛えれば変わるものなのか」
「もちろんです。度六の方向性を間違えなければ威力も変わりますし大きくもできます。筋トレと同じようなものです。あと龍二さん、あなたも扱いには気を付けてください」
龍二は突然名前を呼ばれたためキョトンとしていたが僕の見間違えではなかったようだ。あの時ドワーフを倒せたのは彼が能力者だということが・・・




