決着
羅一の武器、百足が僕に巻き付き捕らえた
「落ち着いてみるとお前かわいい顔してんじゃねえか」
羅一がニタニタ笑っていた。身動きが取れない龍二は気絶してるし応援も呼べそうにない。
「ぐあっ!」
急に締め付けが強くなり声を上げてしまった。液体の感覚が服を伝って感じた。酸であることは間違いない このまま放っておくと肌がやかれる
「安心しな 酸の威力は弱めてある。お前のそのきれいな体は傷つけはしねえよ」
「うるせぇ変態野郎 そんな武器使わないと僕に勝てないのか」
安い挑発だが乗ってくれれば勝機はある。羅一はさきほどのニヤニヤが消えた。突然百足の締め付けが強くなった。僕は動けず声を上げるしかなった 金属の塊が体に食い込む意識も朦朧としてきた。締め付けは軽くなり羅一は百足に巻き付かれてる僕を近くに寄せてきた
「さっきはむかついたが今のお前の顔めっちゃいいぜ」
羅一は僕の頬や口をベタベタ触ってきた。さっきの激痛でほぼ感覚はないがまだ奥の手は残ってる
「お前の国には似たような奴らがいるんだろ 連れてってくれよ」
次は僕の髪を嗅いできた。鼻息が頬にかかる気持ち悪い。だが奴が接近したことで僕は爆裂魔法を使った。捨て身の一撃だがこの至近距離の爆破なら確実にダメージを与えられる。
武器を手放したせいなのか百足の拘束がほぼなくなり僕はそのまま床に倒れた。
「クソがぁ! あのやろう!」
羅一はさっきの爆破で大きいやけどを負っていた。僕は百足に締め付けられたおかげで軽症で済んだ。だが服はボロボロでところどころはだけてしまっている
「まだ生きてんのかよ・・・」
このまま死んでくれれば話は早かったが羅一は百足を手探りで探していた。目の前の爆破のせいで視力も一時的に失っているのだろう。だが僕もダメージが意識を保てているのがやっとだ。このまま武器を見つけてしまったら確実にやられる。さっさと武器を破壊したいがもう魔法を使う体力も残ってない
「やっと見えた 今から殺してやるから覚悟しろ」
羅一の視力が戻り百足の方に向かっていくのが見えた。僕はなんとか体を起こしたとき衝撃的な光景が目に映った。羅一が百足に吹き飛ばされていた。百足の柄には誰も触れていないだが百足は自発的に羅一を吹き飛ばしたのだ。原因はレナだ。彼女は無機物に命を与え使役する能力を持っている。先ほどのどさくさで百足に触れて彼を吹き飛ばしたのだろう。羅一は壁にめり込み意識を失っていた
「失敗しおって!もういいお前だけ捕まれ。」
スピーカーからドワーフの声がした。羅一を見捨てて逃げるのだろう百足突如壁に向かって突進した。崩れた壁からドワーフが姿を現した
「創造主に逆らうとは使えないゴミめ」
ドワーフはリモコンを取り出し百足に向かってスイッチを押すと先ほどまで暴れていた武器が突如シャットダウンしたかのように動かなくなった。レナは動かそうと両手で武器に触れたがもうビクともしない。あのドワーフは電源を消したのではなく完全に壊したのだ。あいつだけ逃がしてしまうとは 何もできない自分が不甲斐なかった
「ぎゃーーー!なんだお前は!」
ドワーフの悲鳴が聞こえた。ドワーフの目の前に音が立っていた。
「あれは龍二か」
龍二らしき男はドワーフの顔面に右ストレートを喰らわせノックアウトさせた
「今、あいつの手光らなかったか?」
意識が朦朧としてそう見えたのかもしれない。僕はそのまま倒れてしまった
目を覚ますと龍二とレナがじっと見ていた
「兄貴ぃ 心配しましたよ!」
龍二が飛びかかってきた。やめろ痛い
「お姉ちゃん心配したんだよ!」
レナも飛びかかってハグしてきた。やめろ痛いってば
「あの二人は!?」
「あの二人なら俺が縛っときました」
龍二が指さす方にはボコボコにされたドワーフと火傷がひどい羅一が結束バンド腕を固定されていた
「こいつらどうするんすか?」
「正直殺したいがレナを匿う予定の刑事に引き渡すことにするよ。あいつにはドタキャンして迷惑かけちゃったしな」
僕はスマホを取り出し刑事に電話を掛けた
「まぁ無事でよかったよ」
彼は刑事の黒田平治だ。龍造が存命のころから親交が深く何かと組のしりぬぐいを手伝ってもらってる
「黄金組の組長とそれに加担してた武器商人だ。かなりでかいだろ」
「まぁそうだけどさぁ とりあえず黄金組が爆弾開発してそれが暴発したってことにしておくよ。もう君たちは帰りな」
黒田が二人をパトカーに入れるのを見届けた後長い1日が終わったと感じた




