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緑間組

天才エルフのリフェル・シュトラウスが披露した次元転移魔法が暴走して行きついた先は血と薬と暴力が広がる世界だった

ここはどこだ?僕は今ベッドの上にいるらしい。これは困った見知らぬ世界で気絶してしまうなんて早く起きなくてはと思い起き上がるがどうも体が重い。首を上げると男と目が合った

「おっ!嬢ちゃん目覚めたんか。昨日は危ない所を救ってくれて恩に着るぜ。」

キッチリした服装の男性が僕が目覚めるとわかった瞬間喜んでくれているそうだ。悪い気はしない

「ここはどこですか?あなたは誰ですか?」

我ながら頭が回っていない質問をした。

「ここは歌舞伎町っていうんだ。女の子1人で出歩くような街ではないんだけどな。俺の名前は坂田敏文(さかたとしふみ)。トシさんって呼んでくれい」

カブキチョウ?ここの国の名前か。昨日の出来事を見るに別の国と争ってるのか?なんかヤバい世界に来てしまったなぁ

「嬢ちゃんはどこから来たんだい?」

こんな国の連中がこちらの世界に来たら困るからうまく濁そう

「魔法の国です」

トシさんのリアクションは穏やかな顔からかわいそうな目で見る表情になって僕を見た

「嬢ちゃん・・・もう少し休みな・・・」

あれ?なんでそんなこと言われるの?もしかしてこの世界は魔法が存在しない?しかしトシさんは少し考え込んだ後口を開いた。

「昨日の銃を防いだ変な壁と爆弾ってのが魔法のことかい?」

確かにそうだ。ここで嘘ついても逆に面倒だから正直に答えよう

「そうだよ。ちなみにこういう風にやるんだ」

僕はトシさんに小さな風魔法で髪の毛をクシャクシャにしてやった。少し慌ててたので笑いそうになったが怒らせてしまうと怖いので堪えた。

「嬢ちゃん。あとで親父のところに一緒に来てくれねえか」

真剣な表情で言われたので頷くしかなかった。あれ?これって結婚前のあいさつ?出会って1日も経ってないよ ていうかあいつ嬢ちゃん、嬢ちゃんって僕は男なんだけど

「わかった。今から行くよ」

ベッドで寝ててもすることないし十分調子は良くなってきたので彼についていくことにした。そろそろこの世界の情報を集めたいしね。

寝室を出て右の廊下の奥がお父様がいるところらしい。トシさんがドアを開けた瞬間思いもよらぬ景色が目に入った。

そこにいたのは多数の人間。人間はまだいいこちらの世界にも存在している。しかしここにいる人間は目が血走っており銃や刀の手入れをしてる者やカードで賭け事をしている者がいた。あと何人か腕や顔に絵が描かれている者もいてあまりの文化の違いに眩暈がした。

「よお、金髪のねーちゃん 目が覚めたのか?」

声をかけてきたのは歴戦の戦士のような顔をした男だ。明らかに上等そうな椅子に座りながらニタニタした顔をこちらを見ている。この方がトシさんのお父様なのだろう

「俺は緑間組の組長 緑間龍造(みどりまりゅうぞう)だ。こいつらから親父と呼ばれてんだ。お前も呼んだっていいぞ」

なるほど。周りから親父と呼ばれてるわけで本当に父親というわけではないんだな。しかし、いやに周りの視線が気になる。気を抜いたら殺されそうだ。

「話はトシから聞いてる。変な道具を使って助けてくれたそうじゃないか。」

龍造という男はニタニタ顔から凄みのある顔に変わった。返答次第では周りの部下に一斉に攻撃されるだろう。冷や汗が流れるのを感じ口を開こうとしたら龍造は大笑いした

「そうビビるな。悪いな怖がらせてしまって。名前を教えてくれい」

部屋の緊張がとれたのを感じたので言われた通り答えた

「リフェル・シュトラウス・・・」

龍造は続けざまに質問してきた

「その金髪と耳は日本人じゃないな。どこから来た?年齢は?」

ここで嘘をついても意味ないがどこから来たについてはあやふやに答えよう。こいつらが次元移動できる技術がないとは言えない。こちらの世界に攻め込まれたら大変だ。

「魔法の国からきた 年齢は325歳」

答えた瞬間周りの人間がドン引きしたような表情でこちらを見ている。あれ?なんかミスった?そう思った瞬間一斉に笑いが溢れた。

「ねーちゃん面白いねぇ 気に入った!さすがにレディに年齢を聞くのはよくなかったな」

龍造がガハハと気持ちいい笑いをしたのでまぁ大丈夫でしょ。あと一つビシッとこれだけは訂正しないと

「あと僕は男だ!」

この発言が火に油のようでまた笑いが起こった。すると隣にいたトシさんが龍造のところに行き耳打ちした。

「おいおまえら 休憩は終わりだ仕事に戻れ!」

龍造の一声で部下がゾロゾロ外に出ていった。僕もどさくさに紛れて出ようとした瞬間

「兄ちゃんは残っとけ」

どうやら男と認識を訂正してくれたらしい よかった。龍造は先ほどとは違う真剣な顔になり僕に話しかけた。

「本当に魔法が使えるのか?」

はいそうですとしか言えない質問が突然来た。とりあえず首を縦に振る

「やってみてくれ」

寝室でやった風魔法を規模を少し大きくして部屋の中をかき乱してみた。龍造は驚くこともなくむしろ笑っていた。

「なぁ兄ちゃん 魔法ってのはだれでもできるのか」

僕は嘘偽りなく酷な事実を伝えた。

「学べば誰でもできる。僕たちエルフとは違ってお前たち人間の寿命では小火すら出すことはできない。」

「そうか・・・」

龍造は表情が変わらなかったが声質だけで落胆しているとわかった。

「だが例外がある。それは固有魔法だ。学習してできる基礎魔法とは違い突如発動する魔法だ。人間でも使える可能性は0ではない」

風魔法の発動を止めた。

「リフェル・シュトラウス お前俺の組にはいらねぇか?」

龍造から予期せぬプロポーズを受けた。

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