人質
慣れない寝床ではあったが睡眠は十分取れた。次の手となるとDDAを呼んで応援してもらうか。僕は神谷白蓮の名刺を取り出し電話をかけた
「はい、白蓮です」
彼女はワンコールで出たがイライラしてる様子だった
「エルフのリフェルだけどセイレーンが歌舞伎町に出没したんだけど興味ある?」
「セイレーン・・・あの人を惑わす生き物ですよね。ありがたい情報ですが今は手が話せないので」
なんか後ろから爆発音が聞こえるんだがこの人今何してんだ
「あの、今どこにいるんだ?なんかやけに騒がしいんだけど」
「北海道です。だいだらぼっち討伐の任務に出ています。」
だいだらぼっちってなんだ?と龍二にアイコンタクトで聞いた
「だいだらぼっちってあれですよ。日本の妖怪漫画に出てくる巨人。あれ実在するんすね」
妖怪ねぇ そりゃ手が離せませんわな
「もう用はないですね。では」
白蓮は電話を一方的に切った。巨人が相手とはな。DDAの手が借りれないとなるとこれ以上人員は確保できない。今いるのは龍二と馬鹿ホストと運転要員のケイだけだ。
「セイレーンって弱点ないんすかね」
龍二がボソッと聞いてきた。実際あるにはある。隠すものでもないし伝えた方がいいだろう
「セイレーンの洗脳は最大で24時間しか効果はない。このまま放っておけば組のやつらも今日の夜になれば洗脳は溶ける。だが問題点は洗脳は重ねがけ出来るんだよ。効果が切れる直前にまたかければ24時間更新される」
「セイレーンの魔法を防ぐ手段とかないんすかね。それさえあれば時間とか気にせず本人仕留められるんすけど」
「セイレーンの洗脳は魔法じゃないんだよな。僕も書物呼んだのはずいぶん前だからうろ覚えだけどあいつらの声が脳に直接どうのこうのっていうかんじだったような。まぁ蜘蛛が糸はったりコウモリが暗い中でも空間を把握できるみたいなその種族特有の能力と思えばいいよ」
馬鹿ホストはポカーンとしていたが龍二は渋々納得したような感じだった
「じゃあ洗脳の対策はあるんですか?そちらの世界で討伐作戦があったとすると対策はしていると思うのですが」
次はケイが質問してきた
「あるけどそれなりに技術がいるんだよ。例えば龍二、僕は君のお母さんだ」
突然のカミングアウトで龍二がギョッとした
「今の聞いてどう思った?一瞬だけそうかもと思っただろ?どんなにそんなわけない嘘でも聞いた直後一瞬その可能性を考えてしまうんだ。やつらはその一瞬を定着させてしまう。なので一番の対策は奴らの言葉を聞かないことだ」
「耳栓してでも聞こえちゃいますよね」
「聞かないというよりは理解しようとしないことだね。日常的な生活音とかは気にしないだろ?奴らの声もそれと同じレベルに落とせばいいんだよ。まぁそれが難しんだけどね。僕は一応できるけど人に教えるほどではないよ」
そうなると馬鹿ホストはなぜセイレーン対策ができてるのかが不思議になる
「なぁ桃瀬さん 前に奴らが来たときいろいろ喋ってたと思うんだがその時なんか感じなかった?」
「いや、何言ってるかわかんなくて・・・難しいことべらべら喋ってたなぁとしか」
なるほど考えるも何も理解ができてないだけか それなら納得できる
「あと職業柄女性の話はよく聞かないようにしてるんすよ。変に突っ込みすぎるとストーカー化して殺された同僚いるんで」
待て、こいつセイレーン対策を日ごろからやってたというわけか 見直した
「僕に一つ作戦がある。ケイと僕、龍二と桃瀬で二手に分かれよう」
作戦はこうだ 僕とケイが幸蒼会の施設を占拠し教祖を人質にする。龍二たちは事務所の近くでセイレーンが洗脳を掛けなおしに来るのを待つ。2人には交戦はしなくていいと伝え洗脳が解けるまでの時間稼ぎが最低目標
「教祖は堅気じゃないんですか?」
「あいつも洗脳されてるから十分関係者だよ。殺しはしないから」
幸蒼会本部
教祖の青山宝成は事務仕事を行っている。僕は後ろから銃を突きつけた
「あなたは緑間の!?なぜ入ってこれたんですか?警備員は?
「ゴタゴタ言うな 全員無事だ。僕はお前に用があるんだ。まずはこの施設にいる奴らを全員帰らせろ 従わないならお前の娘を殺す」
宝成は静かにうなづき。内線をとった。数秒すると教祖の体調不良により本日の礼拝は中止というアナウンスが流れた。10分ほどすると僕のスマホに電話がかかった
「組長、中に誰もいません」
ケイからの連絡を受け僕は銃を下した。さぁ後は龍二たちだ
緑間組事務所前
午後5時から待ち伏せして1時間、特に目立った動きはない
「あれ、じゃないっすか」
桃瀬が指さした先にはトー横系のような風貌した女性が事務所の向かっていくのが見えた。桃瀬は打ち合わせ通り彼女の前に立った
「よおこれから暇?これからお茶しない?」
よくあるナンパだがセイラは動揺している。だがすぐに能力を使って
「失せろ、そのまま私の前からいなくなれ」
だが桃瀬はナンパの手を止めない。これはおかしいと思いセイラは方向を変え逃げた。桃瀬は追いますか?というジェスチャーをした。龍二はステイというジェスチャーを返した。
数秒経つといかつい二人の男が桃瀬に向かってきた。洗脳されていると察知した龍二は助太刀しようと向かおうとした瞬間後ろから声が聞こえた
「あなたは私の下僕になるの」
下僕、この女の?そう考えたときには遅かった




