第二話 居候先の若見え美人母に宅配荷物を開けられた日
俺は大学進学が決まり、母の親友の梁井さんのお宅に居候させて貰っている。
梁井さんは母の大学時代の同級生だという事なので同い年の筈なのだが、10歳は若く見える。
しかも、とても美人さんだ。
ウチの母は完全なオバサン体型でウエストなどメートル級である。
一方、梁井さんは何とかいう有名企業の社長秘書をしているそうで、スタイルもスレンダーだし、服装のセンスも抜群で、とても母と同期だとは信じられないのだが。
そして、高二と中三の姉妹がいるのだが、この二人も梁井さんに似て〝べっぴん〟さんだ。
なので、遠目には三姉妹に見えるほどだ。
旦那さんは五年ほど前にお亡くなりになったそうで、『女三人では物騒だったから崇男くん(俺だ)が来てくれて良かった』と言ってくれた。
また、梁井さんは名前を『花織』というのだが、『梁井さん』では三人ともだから『名前で呼んで』と言われたのだが、恥ずかしくて名前でなど呼べない。
しかし、だからと言って、まさかウチの近所の同級生の母親のように『おばさん』などと呼んだら世間さまに顔向けできなくなってしまう。
まあ、美人姉妹は高二の姉は『珠美さん』、中三の妹は『玖美ちゃん』と呼んでいるのだが。
―― そして、絶対にこの美人姉妹に知られてはならない出来事を起こしてしまった。
その日の朝(と言っても、もう10時近かったのだが)、徹夜の試験勉強でボケた頭をスッキリさせようと風呂場に向かった。熱いシャワーを浴びてもうひと頑張りしようと思ったのだ。
基本的に、朝の早い時間は美人三姉妹(笑)が〝朝シャン〟をするので俺は風呂場には近づかないように気をつけていた。
万一間違いを起こしたら(事故だとしても)もうここには居られなくなってしまう。
そんなコトになれば母に……いや、梁井さんに顔向けできなくなってしまう。
―― しかし、その事故を起こしてしまった。
後になって考えれば脱衣かごに脱いだ下着とかあったのだろうから、注意していれば未然に回避できた筈なのだ。
しかし、徹夜明けで半分寝ぼけていた俺がその場で服を脱ぎ捨てた ―― そのタイミングで風呂場の戸が開き……
頭をバスタオルで拭きながらでてきた女神の裸身と鉢合わせてしまったのだ。
―― いや、大袈裟では、断じて、無いっ!?
普段はスレンダーだと思っていた梁井さんが〝脱いだら凄いんで〟したっ♡
ぼん、きゅっ、ぼん ―― その頭の悪い言い廻しがあり得るんだと知りました。
「きゃ……」
そこまででかかった悲鳴を呑み込んだ梁井さんの視線が下がっていくのを、俺は茫然自失で眺めていた。
いや、梁井さんの裸身に見惚れていた。
「ご、ごめんなさい、ね……こ、こんなおばさんの裸なんか…み、見せて…」
(でも、崇男くんの、すっごく、大きくなってる……わ、わたしの裸を見て?……ま、まさかね?)
「と、と、トンでもない、良いもn …いや、俺こそへ、ヘンなモン見せて…」
(や、ヤバい……〝疲れマラ〟でガチ勃●してたの…か、勘違いされてない、よな?……いや、勘違いだけでも、ない?)
―― その後、逃げるように部屋に戻った俺は、ダメだと思いながら『花織さん』で三回……シテ、しまった。
しかし、事件はこれだけでは終わらなかったのだ。
―― それは数日後の土曜日だった。
*
■ 梁井 花織 視点 ■
―― ど、ど、どうしましょうっ!?
わたしったら、わたし宛の荷物と勘違いして崇男くんの宅配荷物……開けちゃった。
正確には『わたし宛に届く社長の荷物』……なんだけど。
それは、社長が奥さまには内緒のネット通販した特殊なDVDなのだが……それだけなら開封する必要はないのだけれど。
―― 何故、そんな追加の要望を受けるコトになったのか、正直いって良く覚えていない。
主人が他界してから、なにかと迷惑を掛けている。
娘の授業参観とかで休みを戴いたり、娘の体育祭にムービーの撮影(わたしがメカ音痴なので)に来て戴いたり……
だから、断われなかった……今ではそう自分に言い聞かせている。
―― 今も、その『追加の要望』から意識を背けている。
その『特殊なDVD』を見て『感想を報告する』……コトになっている。
―― いえ、パワハラでも、セクハラでも、無い!
それだけは、社長の名誉の為に言っておく(いえ、だれに?)。
―― 実は、今では(自分にも、世間さまにも内緒だが)多少愉しみになっている。
わ、わたしだって……ま、まだ、終わった女では、無い……のよ…
だ、だから……ね、ネタn ……う、うん、感想を報告しなければいけないしぃ……
ただ、寝室に再生できる映像機器がないのよね…(自分で設置とか無理だし)…
だから、娘も崇男くんも学校や大学に行っている『土曜日の午前中』しか、チャンスが無いのよね。
なので、届いた荷物を良く確認しないで開けてしまってDVDプレイヤー(この使い方は必死に覚えた(笑))に入れようとして……えっ、と思った。
いつもと、タイトルの雰囲気が違う?
―― 『彼氏持ちの幼馴染みJKに押し倒された日』
えっ!?……なに、このタイトル?
JK……って、確か『女子高校生』のコトよね?
いつもは、わたしくらいのおばさn …いえ、熟女との〝不倫モノ〟なのに……
―― そこで、はた、と思い至った。
荷物の宛名を見ると、やはり崇男くん宛だった。
でも、これは、これで見てみたい……いえ、どう言い訳して返したら良いのかに目を反らしている自覚は、なくも、ないの、だが?
―― ふた呼吸後には再生していた(笑)。
最初の方の学園での〝小芝居〟には笑ってしまったが、そのシーンになると『すごーいっ!?……最近の女子高校生はこんなコトまでするの?』と、見入っていた。
―― その時、背後で大声があがった。
「あーっ!?……また、ママがえっちなビデオ見てるーっ!?」
―― 『また』?
現行犯認否より(いえ、確定だけど)、玖美のその『単語』の方が衝撃だった!?
【この項 つづく】
感想、誤字指摘、等ありましたら、是非に。
R18ですがCi-enで活動もしています。
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