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ほうかいにっき  作者: 梅で鯛を釣る
とある男の日記帳
2/10

崩壊世界でも熱中症には気をつけよう

2034年7月1日(土)

 

夏だ!海だ!海水浴だー!

というわけで海水浴場にやってきた。

この世界ではクーラーも扇風機もない以上何らかの方法で涼をとらなければ熱中症で死んでしまいかねない。

だからこそ海水浴をして涼しく過ごそうと思い今年は海にやってきた。

誰もいない海水浴場はなかなかいい。

水着を着ないで泳いでいても誰にも咎められることもない。癖になりそうだ。

こういうのをキチゲ解放というのだろうか。

 

 

2034年7月2日(日)

 

飽きた。

そもそも海水浴場に一人で来てもすることがない。

そうだ 山 行こう(唐突)

山でも涼しいはずだし山にいって虫取りや釣りでもしよう。

自転車で向かえば明日にでも山に着くだろう。

 

2034年7月3日(月)

 

山間の民家の畑で野生化した野菜たちをみつけた。

ナスにトマト、スイカそれにcucumber...キュウリもある。

とりあえずトマトとスイカとキュウリを川の水で冷やしておく。

そのあいだに釣竿でも作ろうと思う。

にしても暑い。人類が滅亡したんだからもうすこし涼しくなってくれてもいいんじゃないか、と思うがやはり温暖化が収まるにはもっと時間がかかるものなのだろうか?

そんなことを考えているうちに釣竿が完成した。

さてきゅうりでもかじりながら釣りをするとしよう。

…キュウリうまっ!!?

いやこんなキュウリってうまかったっけ?

最近まずいキュウリもどきばかり食べていたからこんなにもおいしく感じるのだろうか?

いやcucumberグミも冷やして塩振ればおいしくなるのだろうか?

人類が滅亡した直後ぐらいに一緒に行動していた学者のおっさんも言っていた。

挑戦と記録の蓄積こそが人類を進歩させる...らしい。

というわけで冷やしcucumberグミに挑戦してみよう!

...だめだな普通にまずい。

”cucumberグミは冷やしてもまずい”とここに記録を残しておく。

ちなみに釣りはボウズだった。

 

2034年7月4日(火)

 

せっかくバカンスに来てるのにcucumberグミにばかり気を取られて余り楽しめていない気がする。

とりあえずいったんグミのことは忘れて楽しもう!ダース単位でグミが残っていようと俺は気にしない。

気にしないったら気にしない。

キュウリから離れてスイカでも食べよう。

せっかくだしスイカ割りをすることにしよう。

目隠しをして...大丈夫ボク最強だから(イケボ)

...よく考えたら目隠ししてたら誰かの指示がないとスイカの場所がわからないじゃん。

なんだかスイカに嘲笑われているような気がしたので全力で棒を振り降ろし砕いてやった。元剣道部なめるんじゃねえぞ。

やっぱりスイカはうまい。

そして5メートル以内ならねらった位置にスイカの種を飛ばせるという謎の才能があったことが発覚した。

 

2034年8月13日(日)

 

今日からはお盆だ。

きっと幽霊が見えたら周りは幽霊だらけで人類滅亡以前のような賑やかな景色なのだろう。

俺は両親の墓参りのためにバカンスを終え地元に戻ってきた。

墓参りといっても結局死体も見つけることができなかったので、手作りの墓石のようなものを磨くだけだが。

そういえば前に図書館からかっぱらった本のなかに死後の世界について書いてある本があった。

内容は抽象的過ぎてよくわからなかった。

死後の世界がどんな世界なのか俺にはわからない。ただ友人や家族達が今度は心から笑みを浮かべられるような世界であることを願っている。

 

2034年8月26日(土)

 

そろそろ夏が終わる。

うっとおしいほどに鳴いていたアブラゼミは短い地上での生を終え、また土に還っていき

聞こえる声はツクツクボウシのものだけになった。

夏のむせかえるような生の気配は薄くなっていった。

せっかくだし線香花火をした。

半分は残しておいてまた来年、今度は誰かと一緒にやりたいと思う。

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