始まりは、
怖いもの百科。この世の怖い話をまとめた本。その中の話を1つ紹介しましょう。
始まりは15の誕生日を迎えた次の日だった。最初は物の位置が少しズレるような、気にしなければ何でもない事だった。1ヶ月経つと少しずつ位置のズレがだんだん大きくなっていった。半月後には、物が無くなるほどになった。
このことは家族や親には言っていなかった。言えなかった。信じてもらえる訳が無かった。さらに半月後には、原因不明の体調不良が何度も起こった。頭痛、吐き気、高熱、度重なる体調不良と誰にも相談できない恐怖感で、俺は心身ともに追い詰められていた。
中学を卒業した頃、俺はあらゆる手を尽くしてこの現象を起きなくするために、試行錯誤していた。そして、そういう事に関して詳しいという神社を見つけた。はっきり言って怪しい…。しかし、これしか頼れるものは無い。俺は仕方がなくその神社に行くことにした。
神社は隣町。中学の先輩にバイクで連れて行くことにした。だが、すぐ事件が起こった。先輩のバイクが二輪ともパンクしてしまった。間違いない、「呪い」だ。でもやっと見つけた希望、諦める訳にはいかない。俺は死に物狂いで隣街へと向かった。途中吐き気や頭痛がした。とても辛かった。でも止まらなかった。今止まったらこの呪いは一生消えないような気がした。
俺はやっとの思いで神社についた。神主さんに訳を話すと、早速呪いを解く儀式を始めてくれた。これで呪いから解放される。俺は気の遠くなるような儀式を行った。気の遠くなるような。
それから呪いは起きなくなった。結局呪いの正体はつかめなかった。
この話には続きがある。俺が20歳になった時のことだった。最初は物の位置が少しズレるような、気にしなければ何でもない事だった。