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短編集

最後のキス

作者: 古葉一樹

 彼女にムリだと言われた。

 だから部屋を出た。




               ❇︎

               ❇︎

               ❇︎




 晩秋の小春日和、ほがらかな天気に僕が何気なく呟いた一言。

 それに対する彼女の言葉が「もうムリでしょ」だった。


 ムリだと言われて、僕は認めたくなかった。子供っぽい考えだけど現実を受け入れたくなかった。

 だから部屋を出た。

 僕は一人で海に向かった。


 人が居ない砂浜。冷たい秋風が吹いている。浜風だから、街中の風よりも強い。そのせいで体感温度が低い。体を動かしてないと、ちょっと肌寒い。

 海水浴シーズンが終わったせいか清掃してないらしく、砂浜に石が落ちているのが目についた。投げるのに手頃なサイズだ。


 投げた。

 投げた。

 投げた。

 秋風が吹き荒ぶ砂浜で投げた。


 投げた。

 投げた。

 投げた。

 一心不乱に投げた。


 投げた。

 投げた。

 投げた。

 ひたすら投げた。


 投げた。

 投げた。

 投げた。

 僕にはそれしか出来ることがなかったから。


 投げた。

 投げた。

 投げた。

 だけど何も変わらない。


 もうムリかも知れない。

 だけど認めたくなかった。

 だから、投げた。


 投げた。

 投げた。

 投げた。

 ……プルプル


「!?」


 確かな感触にリールを巻くと鱚がかかってた。

 今年最後の(・・・)(キス)


 彼女に、季節外れで投げ釣りではムリだと言われた(・・・・・・・・)魚。

 だけど、今年最後の一匹が釣れた。

 僕の粘り勝ちだ。


「また来年の夏に鱚釣りに来よう」


 僕は彼女が待ってる部屋に帰った。


タイトル落ちです。ごめんなさいm(_ _)m




【要約(舌足らずの補完)】


 主人公「いい天気だなぁ。鱚釣りに行ってこようかなぁ」

 彼女「時期的にムリなんじゃない?」

 主人公「ダメ元で釣りに行ってくる」

  ↓

 砂浜で投げ釣り

  ↓

 主人公「たった1匹しか釣れなかったけど、釣れたんだから家に帰って彼女に自慢してやろう!」




【釣り人じゃない人のための補足】


 鱚は、夏の砂浜で釣れる魚です。冬は深いところに移動するので陸から釣るのは難しいです。夏の間だけ浅いところに来るので、砂浜から投げ釣りで釣ることができます。

 天ぷらにすると美味しいです。

 某釣りアニメにも登場した魚です。


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