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除霊師の婆さん(霊)の助手にされた俺は中二病と呼ばれるようになった

小説家になろうラジオ大賞用の作品。

応募条件に従い1,000字の超短編。


 俺は昔から霊が見えた。

 四歳の頃に初恋の杏奈ちゃんに太郎君キモいと言われてからは、霊のことを口に出さなくなり、その存在も無視するようになった。


 最近、俺の通う中学で急に悪霊がウロつくようになった。

 先日屋上から女子が飛び降りたのも悪霊の仕業かもしれない。植え込みに落ちて幸い命は助かったが。

 霊が見えても俺には何もできない。そんな考え事をしていたからか。

 校門前に立ってる婆さんに「誰か待ってるの?」と聞いてしまった。

 はっきり見えたから生きている人間と見間違えた。霊だったんだ。


『見つけたぞ、わが力を行使できる者よ』


 やべぇのに話しかけちゃった。

 無視して通り過ぎようとしたら、婆さんが俺の体の中に入ってきた。とり憑かれた!?


「何すんだ!」


『今日からお前は除霊師おタエの助手だ』


「何言ってんだ、離れろよ!」


 おタエは俺から離れず、勝手に話し始める。

 俺の通う中学は平安時代の陰陽師が凶悪な悪霊を封じた場所で、時とともに弱まっていた封印が最近解けてしまったこと。

 それを察知したおタエが悪霊を封印しにきたが、校門前で心筋梗塞で死んだこと。

 俺とおタエは力の波長が合うので、とり憑くことで除霊や封印の力を使えること。

 勝手にとり憑かれて腹が立ったが、悪霊の親玉を封印しなければたくさん人が死ぬというので、最終的には受け入れた。


 だが。


『見えるか太郎。あやつ悪霊に憑かれておる』


 そうだな。学校一の不良の田中が黒いモヤにとり憑かれて虚ろな顔してるな。


『あのままじゃ死ぬ。破邪(はじゃ)と言いながらやつの背中を思いきり叩け』


 いや相手やばいやつだよ? しかも破邪だよ? 俺中二だからって中二病? てか俺どうなるの?

 さんざん迷った挙句俺は田中の背中を「破邪!」と言いながら思いきりぶっ叩いた。

 俺はあとでボコられた。


 その後の俺の学校生活は悲惨だった。

 破邪破邪言いながら人を叩くから、嫌われるわ中二病太郎とか言われるわ。親にも泣かれた。

 それでも俺は除霊を続け、ついに悪霊の親玉が現れた。

 国語の授業中、教室のど真ん中に。


『これで終いじゃ、教えた通りにやれ』


 くっそぉぉ。

 俺は立ち上がり、先生の問いかけも無視して教室の真ん中まで行って床に手をついた。


()く闇の世界へ帰れ! 悪霊封縛陣(ふうばくじん)!!」


 教室が静まり返る。


「鈴木。廊下に立っとれ」


「はい」


 俺は悪霊を再び封印することに成功した。俺の恥と外聞を生贄にして。

 おタエは満足げに成仏し、俺は県外の高校に進学することを決意した。



1000字以内って難しいということを知った。

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― 新着の感想 ―
救いがないw
[一言] 主人公に与えられたのは、心に大きな傷と黒歴史。 婆さんも、せめて知識や技術を残せばよかったのに。 闇堕ちしたりして。 オチで笑いました。 面白かったです。
[良い点] 何回読んでも最後のオチに笑わされてしまう。 太郎君が大学生だったら、オカルト研究会で無双しそう(あくまでオカ研内限定で)。 時代が時代なら陰陽師にでもなれたのに。
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