5日目 雪代君からの誘い
5日目 中編です。
主人公と雪代君が動き出します。
昼休み、私は図書室で一人考えていた。あのあと、積極的に話しかけてくる者はおらず、加奈ちゃんはどうしようか迷っているようだった。
加奈ちゃんにとりあえず自分は大丈夫だし、万が一の事があるといけないので、暫くは距離を取って貰った方がお互いのためにいいとメールする。
校内での持ち込みや使用は原則禁止のスマホだが、その決まりは有名無実なものになっているし、そもそも決まり自体が改定される見込みだ。
スマホを使っての伝言が活用され、無料通信アプリ、スリングを使ったグループチャットサービスで繋がったクラススリングは緊急時の連絡用に加わることが推奨されている。それなのにスマホを禁止するのはという感じで、すでに守られていないことが黙認されている。
まぁ、クラススリングを活用してるのはスクールカースト上位のメンバーや運動系部活の者ばかり、プライベートを堂々と公開する精神には尊敬しかないが、見ていて面白いものでもないので、未読がたまったら開いて既読にするだけになっている、正直入る意味が無かったように思う。
つらつらとこれからの事を考えていると、声がかかった。
「よう、今日は学校終わってから空いてるか」
振り返ると雪代君がいた。
「なに、呼び出し、勝手に名前使って怒ってる」
「朝の件か、怒る訳無いだろ。昨日先にキレてるし、むしろ良く言ったって感じだよ」
そう言って軽く微笑んでいる。どうやら、本当に怒ってないらしい。
「で、空いてるかって、何。一応、予定は無いけど」
「愛猫団のことだ、流石に校内だと聞かれたらまずい、俺が奢るから、隣の市までいってファミレスあたりで話さないか」
「話すって」
「今後の対応だよ。霧島は下部組織を計画してる」
「下部組織!!」
「声が大きいって、…すいません、…すいません」
雪代君が声を小さくして私に注意したあと、周りに頭を下げている。そう言えば図書室だったと思いだし、私も周囲に頭を下げる。
「倉持も誘えよ、他の奴は兎も角、霧島は何か変なこと考えてんのは間違いないからな」
「加奈ちゃんは巻き込みたくないかな」
「心配すんなって、俺が何とかするよ」
「昨日、言い負かされてたくせに」
私がジト目で返すと、少し苦笑いしながら、それは言うなよ、と返して来る。うん、いい感じだ、ここ数日のクラスメート達のぎこちないか、少し高圧的な感じと違う自然な会話が出来ている。
「じゃあ、信用するから頑張ってね」
そう笑いかけると、なぜか顔を赤くして小声で任せろって返す雪代君だった。
次話で5日目が終わりますm(_ _)m
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