5日目 衝突そして対峙
かなり短いです。
5日目前半です。
昨日、遅くまであれこれと考えていた私は寝過ごしてしまい、朝からドタバタと慌てていた。何とか遅刻にならずに教室に着くと例の挨拶が押し寄せる。
「おはよう、高波女史」
「おはよう、真実女史」
胸に手を当て口々にそんな挨拶をするクラスメート、皆、背筋が伸びてやたらと丁寧な口調で辟易する。
「ま…真実女史、今日はいつにも増して遅かったね」
加奈ちゃんが語りかけてくる。
「…昨日少し寝るのが遅くなって……加奈ちゃん、やっぱりやめよう、それ距離を感じる」
私はもう取り繕うのをやめた。加奈ちゃんの顔が青くなる。周りで私に向かってくる人の気配がした。
「…まっ…真実…ちゃ…ダメだよっ、そんなこと…」
「何を止めるって言うの、高波女史?」
加奈ちゃんの言葉を遮り、須藤桜が話しかけてくる。だいぶ声に険がある、分かりやすいことだ。
「決まってるじゃん、団のルールなんて守ってられないってこと」
「それはどういう事なのかな」
もう声が震えている、堪え性の無いことだ。でも、都合がいい、霧島君が愛猫団の括りを使ってクラスを支配するつもりなら、こちらは其処に穴を開けてやるだけだ。開き直ってみれば、同年代のクラスメートが凄んでるくらい、どうということもない、そう自分に言い聞かせる。
「いや、先生が止めると一度言った以上、継続したとこで雪代君の言った通り、ただのごっこ遊びだよ、私は興味もないし、恥ずかしい呼ばれ方するのは正直嫌なんだよね、クラス揃って厨二病とか痛すぎてきついよ」
言い切るとクラスの雰囲気が明らかに変わる。あー、この感じだ、昨日、先生や雪代君にかかったプレッシャーよりも数段上な重みがくる。
「ずいぶんな物言いね。そんなに自分は偉いわけ」
言葉を返そうとするもチャイムとともに先生が入ってくる。
「おら、席に着け、出欠を取るぞ」
先生の声が響く、加奈ちゃんが心配そうにこちらを見ながら席に戻っていく。後で大丈夫とメールしないと。
「高波真実」
「はい」
「…高…波」
「はい、いますよ」
「そ、…そうかじゃあ次、高橋由紀」
「…閣下、はい…閣下」
クラスの視線が集まっているのが分かるが無視する。これでいい、私が愛猫団の異分子になる、同調する人は必ず出てくる。
勝負だよ、霧島君。
ふと見えた霧島君の横顔が深く深く笑っているように見えた。
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